GB iseki_main.jpg すると、そこには精霊とおぼしき女がいた。 CGWAIT G2 seirei.gif WAIT 精霊は大抵耳が尖り、髪の色がその源である元素に左右される為、カラフルである場合が多い。 妖魔は角が生えていたり、全身に模様があったり、人型ではあるものの妙な特徴がある場合が多い。 が、耳の尖った妖魔もいるし、髪がカラフルな妖魔もいる。 要するにパッと見ただけでは区別がつけにくかった。 WAIT 女は真っ直ぐにナジュを見ていた。 「ナジュ?」 WAIT G1 naju.gif 350 「おまえか」 と、ナジュが応じた。 この二人は、どうやら顔見知りらしかった。 WAIT 「ええ。久しぶりね。……侵入者があなたとは意外だったわ。そこの人間は何?」 「私の召喚主だ」 「あら……召喚獣に?」 どうもこの流れに、俺が口を挟んでいいのかわからなかった。 この女が本当に精霊だった場合、ナジュは戦ってはくれないだろう。 ここは大人しくお引取り願うしか手は無さそうだった。 駄目だった場合は逃げる事になる。 厄介だなあと思い、俺はため息をついた。 しかし一応、ナジュに訊ねた。 「こちらさんは……精霊?」 「そうだ」 即答され、俺は「ひー、やっぱり」と思った。 それをよそに、精霊は話を続けていた。 「あなたがまた、人間と関わる気になるとは思わなかったわ。どういう心境の変化?」 「おまえには関わりの無い事だ。余計な詮索は止してもらおう」 「詮索するつもりはないけれど……」 精霊が俺を見つめた。 「どうも」 俺はなんと言っていいのかわからず、とりあえずそう言っておいた。 「……そうね。私には関わりは無いわ。……では本題に入るけれど、ここには何の用があってきたのかしら?」 「実は、悪いけどここからどいてもらえないかなと思って」 俺がお願いすると、精霊が言った。 「ここは人間だけの場所なのかしら。確かに造ったのはあなたたちでしょう。でも人間のルールを精霊にも強制するの? 私から見れば、自然に存在する物を使っている時点で、既にもう誰のものでもないのよ」 「うーん……それについては俺には何とも言えないけど、ただ人間ってのはあんたたちより色々と弱くて、物を食ったりしなきゃ生きていけなくて、でもって食い物を手に入れるには金も必要だったりするわけだ。あんたがここにずっと居ると、その金を手に入れられなくなる人間が多いんだよな」 「そうね。人間と私たちは違う」 精霊がそう言うと、ナジュが少し思わしげな顔をした。 G1 naju2.gif 350 俺は頭を掻いて、少し考えてから応じた。 「俺が言いたいのはあんたたちと俺たちとの違いじゃなくって、むしろ同じ生き物として、弱くて可哀想な俺たちをちょっと労わってくれよ、って事かなあ」 「変わった事を言うのね。精霊に人間を思い遣れと?」 「思い遣るって言うか……あんた、部下とかいる?」 「ええ」 「そいつらが危なかったら、庇う?」 「そうね」 「今日はちょっとその心理の対象を、人間にも広げてみて欲しいわけですよ。汝の隣人を愛せとか言うだろ」 「言うかしら。知らないわ。……でも、あなたは精霊にとって人間が隣人と言いたいのね」 「ダメ?」 「駄目ではないわ」 精霊が小さく笑った。 「……面白いわね。いいでしょう。今日だけ、納得してあげる。今日だけね」 「じゃあ……」 「どいてあげるわ」 「おー、良かった!」 俺は大いに胸を撫で下ろした。 そこで精霊はナジュを見て言った。 「またいつか、機会があれば会いましょう」 「ああ」 G1 naju.gif 350 ナジュがそう応じると、精霊は立ち去った。 WAIT G2 none 「ふー」 本当はかなり緊張しつつ喋っていた俺は、額に滲んでいた汗を袖で拭った。 「クロード」 「ん?」 俺が顔を向けると、ナジュは一瞬の間を空けた後、言った。 「いや……。……何でもない」 GO 19.scn