FG 2 GB d4.jpg 出た道は、北に向かって伸びていた。 別に魔物が出るでもなく暇だったので、俺はナジュに話しかけた。 「なあ」 WAIT G1 naju.gif 350 「何だ」 WAIT 「不躾だけど、あんた……人間と恋愛した事、あるよな?」 「……確かに、あるが。……良く知っているな」 「召喚するにあたって、あんたに関する本とか読み漁ったから」 「人間とは何でも書き残すようだ」 「寿命が短いから、そうしなきゃ後の世にまともな情報伝えられないもんで」 「そうだな。……人間の寿命は短い。私が変わらなくても、人間は年老いていく」 ふと、ナジュが目を伏せた。 WAIT G1 naju2.gif 350 例のお姫様と彼について、それ程詳しく書かれたものは無かった。 だが一旦彼と駆け落ちした姫は、数十年後戻ってきたという。 何があったのか知りたくはあったが、それはあんまり度を過ぎて不躾だったので、聞く事はしなかった。 しかし当然ながら、彼の記憶にはお姫様の事が深く根差しているようだった。 俺の事なんぞはちっとも覚えていなかったのに。 いや……大恋愛の相手と通りすがりのガキとでは違うのが当然で、仕方が無くはあったが……何だろう。 俺は彼と出会った事で人生が変わったと言っても過言ではないのに、向こうにとってはほんの瑣末事ですらなかったのが悔しい。 今は召喚主になったと言っても、時間が経てばあっさり忘れられてしまいそうな気がした。 いつか姫君との出来事と同じくらいの年月が経った時、俺は彼の記憶のどのくらいのスペースを占めているのだろうか。 ……スペースすら、無いかもしれなかったが。 WAIT G1 naju.gif 350 気付くと、ナジュがじっと俺を見つめていた。 WAIT 「……何だ?」 一応訊ねた。 「……いや」 「そう」 俺はため息をつき、再び歩き始めた。 GO 11.scn