闘う男
今日もライブでいい汗を掻き、ホテルの部屋に戻ってきた。
シャワーを浴び、部屋に備え付けられていたバスローブを羽織る。
俺は心地よい疲れを感じながらも、カバンの中からポータブルのゲーム機を取り出し、ベッドに寝そべった。
「寝るまでの間、ちょっとやっとくかな?」
学生時代にやりこんだRPG(ロール・プレイング・ゲーム)。
その当時、家庭用ゲーム機でやっていた作品がポータブルゲーム機のソフトとして再発売された。
それを知った途端、猛烈にやりたくなり、ツアーに出る前に購入したのだ。
「たしか次のダンジョンは敵がかなり強いから、この町で石化の魔法と、強めの治癒の魔法を買っておかないとマズいな。
そのためにはまず金を貯めないと・・・。」
今いる港町周辺を歩き回り、遭遇したザコ敵を倒しまくる。
そしてHP(体力)が切れる前にその町にある宿に泊まって回復。
それをしばらくの間、何度も何度も繰り返し、賞金を稼がないといけない。
RPGをやるうえで、もっとも退屈な作業だ。
「ふぁぁ〜ぁ・・・眠っ・・・」
敵との対戦中、俺はゲームを手にしたまま本格的に眠ってしまっていた。