youtifuldays
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宿の一室。 穏やかな午後の光が差す窓辺で、聞こえた軽いため息。 「どうしたの?」 部屋に入ってのフェイトの第一声。 それにマリアはふりむくと、 「いらっしゃい」 そう言ってまた窓辺に視線を戻した。 何だか覇気がないとフェイトは近づく。 マリアの肩越しから窓辺を除く。 白い窓際に茶色い植木鉢。 その中には、小さなサボテンが据わっていた。 ただ棘に囲まれた、小さくて赤い花が萎れて土色に変わっている。 ため息の原因はこれかとフェイトは合点した。 このサボテンはマリアのお気に入りだった。 この宿に泊まるたび、必ずここの部屋にしてもらっていたくらい。 花が咲いていると珍しくはしゃいだ様子で報告に来たのはつい一昨日の事。 「昨日までは元気だったんだけど……」 またため息をついて枯れた花を撫でる。 「枯れたのは花だけみたいだね」 「そう。初めて咲いてるところを見たのに……」 そう言って、またため息。 さっきからマリアはこちらを見ない。 視線はずっとサボテンを悩ましげに撫でている。 その様子が何となく、たまらなく愛しく感じて。 「きゃッ!?」 フェイトは後ろからマリアの体を抱き締めた。 「フェ、フェイト。どうしたの?」 「うん……」 そのまま花を愛でていた指を絡めて、 「何となくね」 「植物に嫉妬?」 「かもね」 そう言って、花の匂いのする髪にキス。 「ちょっと、似てるなぁって」 「サボテンに?」 「そう」 「棘だらけって言いたいのかしら?」 温度の冷えた口調に、 「そうだよ」 そう答えたのは、今までサボテンばかりで相手にしてもらえなかったちょっとした意趣返しだ。 途端、マリアは、 「どうせ私は棘だらけよ。こうやってくっついてたら刺すかもしれないわよ?」 冷たい声で言い返す。 そのまま振りほどかれそうな指をもう一度つないで、 「でも、僕は好きだよ。可愛らしいからね」 マリアの耳朶がすぅっと赤らむ。 「いったいどこが……っ」 「こういうところかな?」 迫力もなく睨みつける目に、にやける自分の顔が映る。 どうしようもなく間抜けだけど、止められない。 「枯れないようにたくさん水を上げなきゃね?」 「……」 その内あきれた声で、 「……フェイト」 「何?」 「サボテンは、水をあげすぎると腐って枯れるわよ?」 「十分気をつけるよ」 そのまま、花が咲いたように赤い頬にちゅっと軽く口付けた。 |
あとがき
やってられんわーいっ!!!
ってなくらい甘いフェイマリが書きたかったんですよ。
なんかもう、フェイトが偽者です。
フェイトだけでなくマリアも偽者。
吐くくらい甘い。
一応BGMはミスチルの同名曲。
好きな曲だからもっと有効活用したかった……(泣)
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