大切

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大好きだから守りたい。
すごく単純だけど、すごく大事な事。
忘れていたはずの、大事な事。









「ねぇ、クロード見て!」
前を走るレナが、歩く僕を振り返る。
指差すその先には咲き始めの花。
可憐なピンクの花弁が濃い緑の木によく映える。
今はもう夜。
薄い雲に覆われた半月が、白い光りを振り掛けていた。
こんな時間帯に何をしているのかというと散歩。
レナが出かけようとするのを、僕が勝手にくっついて来た。
「一人じゃ危ないから」って言うのが僕の言い分だけど、本当はただ一緒に居たいと思っただけなんだ。
二人っきり、なんて滅多に無いしね。
「こんな夜によく咲くなぁ」
「この花、夜にしか見れないのよ。月明かりのあるところでしか咲かないから」
「レナは物知りだね」
「ふふ、そう?」
そう言って少し得意げに笑って、先を歩き出す。
僕もそれを追う。
僕の知らない事をいっぱい知っているレナ。
花の名前や、料理の仕方。土地の歴史に星の名前。
ここに来てからの僕は、レナに教わられっぱなしだ。
教わったのはそれだけじゃない。
うまく自分の気持ちを表現する方法を、笑い方を、少しずつ教えてもらっている。
もちろん、レナはそんなつもりないと思うけど。
無意識に、無自覚に、君は僕にいろんなものをくれる。
僕は、それにどうやって返せばいいんだろう?
分かっているのは一つだけ。

――――絶対に護ろう。

君を傷つける全てから。
君は強いから、守られる必要なんてないかもしれないけれど。
それでも、君は僕が守るから。
君が好きだから。
だから守りたい。
これは僕のわがまま。
好きだから守りたい。
守ってもらっているのは僕のほうかもしれないけれど。
それでも。
「・・・レナ」
「なぁに?クロード」
振り返る君に、僕は真剣な声で、
「絶対に、君は僕が守るから」
「・・・・・・」
突然の言葉に、レナがきょとんとした顔になる。
けれどその内、口元を緩めて、
「うん。ありがとう」








――――微笑む彼女は、まるで夜の精みたいに綺麗だった。

あとがき

彼女がただ守られるだけの人間とは思いませんけどね。
なんとなく一人称。
そしてクロード片思い。
たまにはこんなのもいいかな、なんて思ってみたり。

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