虜囚人

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―――体が重い
鉛でもつけられているような。
そのくせ頭はやけに軽い。
自分と言う≪感覚≫が無い

水の中を漂うような。
浮かんでいるのか。
それとも落ちているのか。
目を開けているのか
閉じているのか。
それすらはっきりしないのに。
一つだけ鮮明に解かる。
それは、
ここが、

――――緋色の闇であるということ







「う、うぅ・・・」
クロードは目が覚めた。
ひどく頭が痛い。
それに体が冷たい。
いや、体に触れている部分が冷たいのか・・・
意識のはっきりしないままゆっくり目を開けると、



そこは真っ暗な闇だった。


まだ寝てるのか?
いや、目はしっかり覚めている。
証拠にだんだん目がこなれてきた。
そこは周りを石の壁に包まれた小さな部屋だった。
「何・・・」
チャラ・・・・・・
立ち上がろうとして始めて気づいた。
手首に、鎖が嵌められている。
鎖をたどると壁に繋がっている事が解かった。
これでは立ち上がる事は出来てもドアの所まで行く事は出来ない。
「なんなんだ・・・これは」




覚えている最後の記憶は町の中。
買い物の帰り、
近道をしようとして路地裏に入ったらいきなり、
空から、
目の前に、
一片の、
紅い・・・




「目覚めたか」
きぃと錆びた音を立て扉が開く。
突然の光に暫く顔を背けていたが、扉が閉まると視線を元に戻した。
そこには。
「お前は・・・十賢者の・・・」
「覚えていたのか・・・」
忘れたくとも忘れられない。
凄絶な美しさをもつ堕天使は、歌うような声音で呟いた・・・









「なぜ。お前が・・・」
驚愕の表情を隠せず、クロードは問う。
「覚えていないか?お前を囚らえたのは私だ」
「!!」
かっと血が上る。
ルシフェルの元へ走りよろうとしたが、
鎖が邪魔をし相手の目前で倒れこむ。
ルシフェルはゆっくりとクロードの肩と頬に手を添え、
立ち上がらせた。
自然クロードはルシフェルにひざまずく形となる。
「どういうことだ!」
目線より高い愉しげな相手の顔を睨みつける。
屈辱で顔が焼ける。
奥歯がギリリとなった。

「・・・サンプルだよ」
「なにっ!?」

「お前たちはシンを倒し、なおかつメタトロンとも若干だが渡り合った。
人間ごときに何故そこまでの力があるのか。興味が湧いてな」
くすくすと笑いを零しながら続ける。


「暇つぶしには最適の玩具だ」
「っ!ふざけるなっ!!」

ばしぃっ!

繰り出された拳は易々と相手の手中に納まった。
目の前が怒りで真っ赤に染まる。
至近距離で睨みつけても、相手は笑みを崩さなかった。





「加えてお前は」

端整な顔が近付く。




「あの中でもっとも美しい・・・」






ぽかんと開かれた唇は相手の柔らかなそれで塞がれた。


突然の事に思考は停止。
やがて動き出した舌にクロードは我に返った。
「うぐっ・・・ク・・・」
押し返そうとした手は逆に囚われ一つに纏められる。
空いた片手が引こうとする頭を捕らえた。
「ふ・・・ぅく・・・ん」
朦朧となった意識の欠片を必死に集め、
クロードは無我夢中で己を蹂躙している舌先を強く噛んだ。
「・・・っ!」
湿った音を立て相手が躰ごと離れる。
ぼんやりと滲んだ視界に糸を引く紅い雫が見えた。
「っく!」
「うわぁっ!!」
かざした手が衝撃を放ち、
クロードの体は後ろの壁へと叩きつけられた。







「なかなか・・・元気のいい事だ。だがそうでなくては面白みが無い」
口の端をとがった舌で拭う。
「さぁ・・・」
伸ばされた手が荒い息を繰り返すクロードの首を掴んだ。
立てられた爪が喉を薄く裂き、指先を紅く染める。
体が、動かない。
恐怖のせい?
それとも・・・・・・
「精々楽しませておくれ」
堕天使は脅える子供へいとおしげに口付けた。





―――子供は既に囚われた。
緋色に染まる支配の言葉に。
抗う術は、何処にも無い

あとがき

はいっ!1444HIT有難うございま〜ス!!!

じゃ、そーゆーわけで!(逃)

・・・れる訳ないですよね。
すいません。どのへんがルシクロなんでしょうか・・・ね?(お前が聞くな)
監禁ネタですね〜。一歩間違えれば裏行き決定!
それを押し留めたのは理性です(多分)
この時点でルシフェルはクロードに愛情はありませんが独占欲はバリバリあります。
か〜な〜リ微妙ですが。これからどうなるのか?
それは誰にもわかりませんv(爆)

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