00.
お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。
幻燈懐古店管理人木下と申します。
あいかわらずカプ要素は薄いですが、お楽しみいただければ幸いです。
01.
告白 【壬生→龍麻】
「最近、君の夢ばかり見るんだ」
と、壬生は照れたように笑って。
「こんな風に、君を殺す夢ばかり見る」
もう何も映さない眼球を舐めた。
02.
嘘 【主人公】
彼は立ち上がった。
痛みも傷も流れる血もきしむ体も限界も何もかも嘘にして。
咆吼をあげ、彼は戦場を駆けた。
03.
卒業 【犬神】
少年は深々と校舎に向かって一礼すると、桜吹雪の向こうへ消えてゆく。
影から見送った犬神は目を細め、遠い背中に手を振った。
04.
旅 【京一+龍麻/中国漫遊】
「ま! 旅にトラブルはつきもんだよな!」
「開き直んなやぁ!」
龍麻は相棒に向かい涙乍ら吠える。
背後から大勢の殺気が迫っていた。
05.
学ぶ 【仲間→主人公】
眉が寄る。目線がうろつく。目の周りが色づく。
(なるほどこれが"照れ"か)
一つ一つ、分かりづらい君の変化を学んでゆく。
06.
電車 【龍麻/上京時】
目を開くと、窓の外は見知らぬ景色。
耳に入る声も、聞き慣れない語調ばかりで。
龍麻は胸を過ぎる不安と一緒に、荷物を抱きしめた。
07.
ペット 【龍麻+劉】
ペットが欲しいと呟けば、もういるじゃないかと返される。
指さされた方を見れば、満面の笑みを浮かべ走ってくる義弟の姿があっ
08.
癖 【如月→龍麻】
いつもは乏しい表情がわずかな喜色に輝く。
ありがとうと微笑む姿に常に無であれと教えられていた心が揺らぐ。
嗚呼、癖になりそうだ。
09.
おとな 【龍麻←マリィ】
彼の隣に誰か並ぶ度に思う。
思うが、口には出さない。
――――はやくおとなになりたいなんて、それこそこどもみたい。
10.
食事 【弥勒+龍斗】
向かい合って暖かい汁物を啜る。
耳に入る小言を聞き流しながら、単なる生命維持活動が楽しいなど何年ぶりだろうと弥勒は考えた。
11.
本 【裏密】
裏密にとって本とは"扉"だ。深遠なる魔の淵を覗く為の、扉。
「今日はどんな黒魔術を使おうかな〜」
楽しげに頁を手繰り、魔女は笑う。
12.
夢 【龍斗/設定参照】
夢を見る。
幸福な夢を。もう取り戻せない夢を。赤に侵された夢を。
心を蝕むと知りながら、それでも彼は夢を見たいと言う。
13.
女と女 【美冬VS真那】
美冬は認識を改めた。
彼女は女だ。自分と同じ、女なのだ。
見せつけるように龍麻に飛びつく真那を、美冬は唇を噛みしめ睨んだ。
14.
手紙 【火邑】
"そっちは元気か。変わりないか"
懐の上から一撫ですれば文から懐かしい声が溢れる。
それを胸に焼き付け、火邑は再び戦火を駆けた。
15.
信仰 【龍斗】
龍斗は信心深い方ではない。
ただ熱心に祈るほのかや御神槌の姿を見て思う。
――――一途に信じるモノがある二人が眩しく羨ましい。
16.
遊び 【龍斗←お凛】
「遊びだよ、これは」
これは遊び。あちらも遊び。
何度も自身に言い聞かせる。けれど。
彼の言葉を信じたいと駄駄を捏ねる自分がいる。
17.
初体験 【龍斗←お葉】
生まれて初めてだった。
愛しいと思ったのは。香時計の煙が恨めしく映ったのは。
――――彼の腕の中で、"いきたい"と願ったのは。
18.
仕事 【壬生+龍麻】
深夜の来訪者に驚くことなく、龍麻は倒れる体を受け止めあやすように背を撫でる。
震える壬生の体からは、血と夜と涙の匂いがした。
19.
化粧 【龍斗×葛乃】
女らしさなど無縁だった。
嗚呼、なのに!
「似合うと思って……」
渡された紅を握りしめ葛乃は唇と言わず全身まっ赤に茹で上がった。
20.
怒り 【劉弦月】
雪のように降り積もる恨みが心を冷やし、燻る怒りが体を動かす。
昏い瞳で見つめる先には、あの日ただ泣くしかできなかった自分の背中。
21.
神秘 【龍麻+醍醐】
「最近毎日部屋の真ん中に裏密の人形が落ちてる」
「え?」
「家出る時は無くて鍵もかけてるのに……」
「……」
「――神秘だ」
「恐怖だ……」
22.
噂 【龍斗+桔梗】
「気にしちゃいけないよ龍さん」
桔梗が袖を引く。
「天戒様の事はアタシらが一番よく知ってるじゃないか」
怒りに燃える眼で彼女は笑む。
23.
彼と彼女 【龍麻→青葉さとみ(+比嘉)】
視界に笑みを交わす二人の友人。
楽しげな彼女の横顔に胸中の淡い恋心が儚く桜吹雪に溶けてゆくのを感じて、龍麻は細く喘いだ。
24.
悲しみ 【鳴滝】
彼が中国に旅立った時のまま、残された部屋。
景色も匂いすら変わらずただ彼だけが欠けた部屋の中、鳴瀧は初めて友人の死を認め泣いた。
25.
生 【奈涸】
生き続けたいと思った。
妹に殺される為生き抜きたいと願っていたあの頃より。
生きる意義をくれた彼らの為に生きていたいと祈り欲す。
26.
死 【比良坂/外法帖】
巡る。廻る。運命の車輪は回る。
抗えぬ死に向かい回る。
黄泉の女王さえ止める事叶わず、彼の運命は絶望に向かい回り続ける。
27.
芝居 【莎草】
莎草は笑う。握りしめた糸束を眺め笑う。
これから始まる人形劇を思い笑う。
その中の一本は己の首に絡んでいると知らず。
嗤うのだ。
28.
体 【龍斗←ピセル】
触れてみたいとピセルは言った。
借り物ではない自分の体で、彼に触れたいと。
そう言って、借り物の涙をこぼした。
29.
感謝 【雹】
雹は心地よい疲れを感じていた。
脳裏に、昼間村の子等と遊びに来た彼の姿。
胸の内だけで礼を言うと、雹はそっと瞳を伏せた。
30.
イベント 【コスモレンジャー】
楽屋外から響く騒めきに血が滾る。揃いのスーツを纏い準備は万端。
「みんないくぞッ!」
気合い一声、三人はファンの元へと駆け出した。
31.
やわらかさ 【龍斗→女性】
農業と修行で荒れた我が手を見つめ、ついで脳裏に彼女を描く。
何もかもが柔らかく儚くて。
今日も、龍斗は彼女に触れられないでいる。
32.
痛み 【御神槌】
DomineQuoVadis?
天に問う。神はどこに居られるのか。
だが返ってくる答えはなく、癒えぬ傷口は今も血を流し続ける。
33.
好き 【龍斗←真那】
動物が好き。日向が好き。妹が好き。
そしてなにより、
「何、真那坊」
微睡みの中、膝に預けた頭を撫でてくれるこの手が好き。
34.
今昔(いまむかし) 【們天丸→龍斗(龍麻)】
眼下でかつての仲間によく似た集団が騒いでいる。
その内の一人に焦がれていた人の子の面影を見て、隻眼の天狗はしばし懐かしさに酔う。
35.
渇き 【風祭→龍斗】
咬み千切った皮膚と一緒に口中の血を飲み干せば乾きはただ増すばかり。
怯え後ずさる獲物の瞳に映った自分が獣のようににやり、嗤った。
36.
浪漫 【村雨→龍麻】
この男ならば賭けてもいいと思った。全てを賭けて彼を見届けたいと……。
「浪漫ってより無謀だな」
――――言うほど悪い気はしないが。
37.
季節 【霧島→龍麻】
桜が嫌いだった。別れを運ぶ桜の咲く春が嫌いだった。
けれど――――。
残ると言ってくれた彼の側なら、この季節も好きになれそうだ。
38.
別れ 【弦麻】
岩戸の中、弦麻は一粒涙を落とす。
悲しくはないが悔しかった。
愛した、愛してくれた人々に何も返せず朽ち逝く自分がただ悔しかった。
39.
欲 【霜葉→龍斗】
欲しいと思った衝動のままに龍斗の体を掻き抱く。
驚きに硬直した体から、自分とは真逆の生の匂いがした。
40.
贈り物 【迦代】
小さな指が自分の指を掴む。
その力強さに迦代は目元を潤ませる。
天からの小さな贈り物を、迦代はこの上なく幸福な想いで抱きしめた。
戻る