うらのおと ご訪問御礼

おとなのための男同士の恋愛小咄
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とある企業第三幕、一票はみんなのために、みんなは一票のために、って、あれ? 目標低くね?


―Side A 白い人たち―

一同「本日もご訪問ありがとうございますっ。システムのご用命がございましたらぜひ我が社へご連絡を。お待ち申しあげておりまーす」

坂本「てなわけで、あれや」

山岸「あれですな」

坂本「いっせーの、せっ」

一同「このたびのアンケートでは、私どもへの清き一票をありがとうございましたっ!」

山岸「ちょいと、つーかかなり、ご挨拶が遅れてしまいましたがー」

坂本「いやっ、もうっ、ほんまにっ!」

山岸「ランキングにおれらの名前が並ぶ日が来ようとはっ。くうっ」

樋口「名前自体は並んでませんけどね」

坂本「はい、そこっ。水を差さないっ」

市橋「樋口はダブルランクインになんのか。おいしいなー」

樋口「経歴は山岸さんや坂本さんよりずっと短いんですけどね」

坂本「だから、水を差すなっつー!」

山岸「あれだよなー、やっぱ準主役クラスは得っきゃよなー。おれらっていつまで経ってもこう、刺身のつま扱いっつーか、皿にひかれてるサラダ菜扱いっちゅーか……」

樋口「準主役クラスでも、アンケートとは縁のない人もいてますけどねー」

坂本「やから、なんでそう樋口さんは無駄にエラそうなんですかっ!」

樋口「あれやないですか、坂本さんと山岸さんがふたりどうのこうのな関係にならはったら、あっちゅー間に準主役クラス飛んで、どこに出ても恥ずかしない主役クラスになりますやん。そしたらランキングにもがっつり名前が載るんちゃいますかー。どないです? なんでしたら、おれが手取り足取り教えますけど」

山岸「ないっ。それはないっ。断じてないっ! 手取り足取りとかやめてくださいー」

坂本「つか、ランキングはもう諦めてるけど、せめて女の子あてごうてほしい…… なんでおれら、いつまで経っても独り身やねん。辻本でさえ家族もちになったのにー!」

星野「いや、その前に、おれらええ加減、個人特定してほしいっつーか……」

山口「作者の愛があまりに不公平すぎる……」(どうもすみません……ふゆ談)

中野「いつの間にか彼女できとって、うはうはなやつもいてるけどな。なー、斉藤」

斉藤「いや、あの、なんていうか、その…… ていうか、本編ではまだどうにもなってませんっ。現最終話の段階でうまくいってんのかどうかさえ、明かされてへん状態なんですよー」(明かしてみたよ。おめでとーおめでとー。……ふゆ談)

大串「ていうか、あれやな、斉藤の場合、本名がどっちなんか、ええ加減はっきりさせてほしいっつーのが先やな。戸籍名では『斎藤』が正しいっつー話なんか?」

斉藤「またそういう微妙なツッコミを…… 正しくは『斉藤』です。誤字脱字多い作者なんで、人名間違いとかもしょっちゅうなんですよ。ええ加減やめてほしいんですけどね」(いや、あの、ほんまになんていうか……えろうすみません……ふゆ談)

室田「しかし、人名でランクインっちゅーのはひたすらおれらの野望やなー」

坂本「ひっ。室田マネージャー……いつからスタンバってはったんですか……」

市橋「というか、野望って、室田マネージャー……」

室田「美原なんかどんだけランクインしてんねんっちゅー話よ。おれをさしおいて。許さん」

香坂「四回目のアンケートだけでも、単独・コンビ含めて五重ランクインですね。うちらと一緒も含めたら、六重です」

香我美「実は美原さん、うちの二枚看板より、ランクインの数自体は多いんですよね。坂崎さんも柏原さんも、美原さんにひとつ足りてません」

斉藤「なに、それ。実はここの主人公って、柏原さんやなくって美原さんやったりするってこと?」

山口「おれらと比べてこの差の空き加減はなんやねん……」

喜多「いい加減、うちらも個人特定してほしいですよねー」

星野「意味なくさらっとおれの台詞とるな、喜多。自分、完璧脇役やのに、むちゃくちゃ登場回数多いやんけ」

喜多「やって、うち、愛されキャラやからしゃーないですやん。てへ」

坂本「ふーざーけーんーなー、てめ、この」

喜多「きゃー。暴力はやめてくださいー」

前畑「営業部なんかまるっと無視されてますからね…… おれらもむちゃくちゃ働いてんのに、この扱いの差はなんなんですか」

香坂「営業部には坂崎さんも柏原さんもいてはりませんから仕方ないですね」

前畑「身も蓋もない……」

樋口「あれでしょ、前畑さんが、坂本さんか山岸さんとええ仲にならはったら、営業部もクローズアップされてくるんちゃいますかー。どないです? なんやったらおれが手取り足取り……」

坂本「教えんでいー!」

洞口「うん。きみらがみんな一生懸命やってくれてるから、ぼくもこうやってアンケートの端っこに引っかからせてもらったっていうことやね。この調子で、今後もしっかりやってください。ぼくも陰ながら応援させてもらうし」

大串「ぎゃっ」

香坂「洞口部長……」

市橋「文脈がむちゃくちゃです、部長……」

室田「洞口部長、いいんですか。こういうとこに出てくるキャラやなかったんやないんですか」

洞口「みんな楽しそうにしてるのに、ぼくだけ出ないっていうのはもったいないからねー」

香坂「……実はずっと参加したいとか思てはったんですか……」

洞口「うん。いや、ここにいるのは楽しいねー。ぼくにかって権利はあるでしょ。ぼく、結構初期の段階から登場してるしね。室田くんよりぼくのほうが、登場自体は早かったんやで」

一同「え……?」

洞口「そんなわけで、こういうのはどうかな、室田くん。ぼくの名前がいちばん最初に出てきたのはどの作品の第何話か、当てた人にはぼくの特製ブロマイドをプレゼントするという」

室田「特製ブロマイド、ですか」

坂本「要りませんっ!」

山岸「ていうか、いつのことですか、それ? おれ、記憶にないです……」

香坂「あ。そか。部長、あのとき、確か柏原さんとふたりっきりで……」

斉藤「なに、香坂、その淫靡な言い回し」

市橋「待て、言うな、香坂! 自力で当てる!」

坂本「……市橋さん、洞口部長のファンでしたっけ……?」

市橋「おまえー。わかってへん。おまえはなんっもわかってへんっ」

坂本「は?」

市橋「部長は何年も前からここの総務部のトップやんけ!」

坂本「はあ。そんなこた知ってますけど、それが、何か……」

市橋「坂崎がうちに入社してから、ずっとずっとずうーっと、坂崎の上司してはるっちゅーこっちゃんけっ!」

坂本「はあ。それが、何か……」

山岸「あ!」

香我美「ちょっと待ってくださいっ! そのクイズ、わたしも参加しますっ!」

山口「お、おれも! おれも参加しますっ!」

坂本「うおっ。なんやねん、一体、みんなして」

山岸「おまえ、鈍い」

洞口「うん。ぼくはずっと坂崎くんと一緒やったからねぇ。いろいろと隠し撮りする機会があったんだよね」

坂本「隠し撮り……?」

洞口「坂崎くんが社内で居眠りしている姿とか、社長に叱り飛ばされてうつむいているとことか、若かりしころの坂崎くんと美原くんのいい感じのツーショットとか」

坂本「……つまり、部長の仰る特製ブロマイドって……」

洞口「坂崎くんの弱み満載」

坂本「それはっ!」

一同「おれに下さいっ! そのブロマイドっ! いや、おれにっ!」

    ――暗転――



―Side B 黒い人たち―

美原「あほらし。そんな程度の写真が坂崎の弱みになると思てる時点で、社内一同、坂崎に負けてるっちゅーの」

辻本「それって、隠し撮りで自分の上に出るもんがいてるわけないやろ、っつー自信ですか、美原さん……?」

美原「ちゃいますー。そもそも、坂崎がもっと青かったころのこと知ってる人間が社内にいてるやん。なー、樋口ー」

樋口「いいですよ。はめ撮りとかでいーですか?」

美原「いきなりかよっ! いや、それをあたしが手に入れたらさすがに犯罪やろ。もちょっと軽めのはないん?」

辻本「……ていうか、それって、樋口さん、自分自身の弱みになるんちゃうんですか……」

樋口「おれのですか? んー。今さらって気もしますし。それに、実のところ、流出していちばん堪えるのは、坂崎さんでもおれでもないんやないですかねー」

辻本「は?」

美原「あー、その当事者が、またぺったらぺったらあそこ歩いてんなー。目にしただけで、泣くな、確実に」

柏原「そこー、いつまで遊んでんねんー。樋口ー、報告書はどないしてんー」

樋口「はいー。すぐ提出しますー。てわけですよ、辻本さん」

辻本「……柏原さんですか……」

美原「そゆこと。で、樋口、もちょっと軽めの……」

樋口「ディープキスあたりがいっすか? あと、瀬那っち単体ヌードなんかもいくつか……」

美原「それだっ! あやしいとこがほのか〜に隠れてる感じのってある?」

樋口「そーですねー。家帰って確認せんとわかりませんけど、たぶん何枚か」

美原「うひゃひゃ。どんぐらいの値がつくか、楽しみ〜」

樋口「売るんすか。美原さん、鬼ですね。どんな悪の組織に入ってはるんですか」

美原「ほんまに売るわけないやん。坂崎に買い取るつもりで値段決めてもらうだけ〜」

樋口「えー? 瀬那っちがそんなんに、ポーズだけでも金額つけたりせーへんと思いますけど」

美原「坂崎が買わんかったら柏原に売りに行くってことにしたらどないする? てのが前提」

樋口「は? そんなん、今さらちゃいますん。坂崎さんの裸なんか、柏原さんには珍しないでしょ」

美原「ちっちっ。問題はそことちゃいます。坂崎が過去の男に撮らせたプライベート写真っつーのがポイント」

樋口「あ、なるほど。そういう理由ですか。つか、坂崎さん、どんだけ柏原さんが怖いんですか……」

美原「まだもひとつわかってへんなー、樋口。坂崎は柏原が怖いんやなくって、柏原に弱いのよ」

樋口「はい?」

美原「坂崎は柏原泣かさんためやったらなんでもやんで。その写真に坂崎がなんぼつけるか、賭けるか、樋口?」

樋口「そういうもんですか」

美原「要するに、写真なんか小道具に過ぎひんのよ。坂崎の弱みなんか、まいんち服着てみんなの目の前歩き回ってんねんから、そこさえ押さえたら終わりやん。柏原以上の弱みなんか、坂崎にあるか」

辻本「美原さん、鬼ですね……」

美原「あたしが鬼なわけあらへんやーん。可愛い後輩の弱み押さえて首根っこつかむみたいなことようせんよー。じゃ、樋口、写真の件、頼むな」

樋口「あ、はい。てか、はい?」

辻本「……思うに、社内のみんなが手に入れなあかんのは、坂崎さんの弱みよか圧倒的に、美原さんの弱みですよ……」

    ――暗転――


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