うらのおと ご訪問御礼

おとなのための男同士の恋愛小咄
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はいはい、惚気上手惚気上手


■つっこみ同士の話はさくさく進むの巻

瀬那「本日も当サイトへお越しいただき、ありがとうございます。心より御礼申しあげます」

美原「御礼申しあげま〜す。てか、今回、なんか変な組み合わせやね。なんであんたとあたし」

瀬那「今回、リクエスト企画もんなんですよ。題して」

美原「ふむ」

瀬那「美原さんに惚気話をさせてみる大会」

美原「あたしー? なんで今さら」

瀬那「今さらっつか。リクエストたまってんですよ。美原夫妻の出演希望的な」

美原「オットとー? 無理っしょ、それは。うちのオットは奥ゆかしいから」

瀬那「ですよね。そんで、おれが代理ってことになりました」

美原「つまり、それってあたしに、オットの代わりに、あんた相手に愛を囁けってこと? えー?」

瀬那「ないでしょ」

美原「あらへんわー。つか、惚気大会やったら、あたしなんかよりまず、あんたと柏原でしょ」

瀬那「それこそ今さらですよ」

美原「今さらだよねー」

瀬那「つか、おれ的には美原さんの惚気ってのも今さら感満載なんですけど。でも、まー、仕事なんで。てなわけで、プレゼントの話から」

美原「プレゼントー? なにそれ」

瀬那「いただいたプレゼントの話ですよ。ありがとうございます」

美原「ふむーん? それってやっぱ、柏原からあんたへのプレゼントってこと? リボンかけて、おれを食・べ・て、とか、やってくれちゃったりした? わっくわく〜」

瀬那「里哉の場合、食・べ・て、やなくて、あ・げ・る、ですかね。もしくは、く・れ・よ」

美原「……なんつー生な……」

瀬那「まあ、そういう里哉はそう珍しくもないんで、それに関しても今さらですね。つか、おれの言うてるプレゼントってのは、美原さんからのですよ」

美原「あたしー? なんかしたっけ? はて」

瀬那「麗しくもゴージャスな豪華絢爛プレゼント箱シールをいただきましたが」

美原「ああー。あれな。役に立ったか?」

瀬那「ま、きっかけにはなったんで。ありがとうございます。つか、さすがのオットも、あのシールにはダメ出しですか」

美原「ええのよー。あたしも、あれはさすがにどーかと思ったもん」

瀬那「なんでそんな、どーかと思うようなもん買わはったんですか……」

美原「気持ち気持ち。あたしも力いっぱいオットの役に立とうとしてるねんでーって、意思表示。ま、あんたらの役には立ったんやし、オットにはあたしの手柄、思っくそ自慢しとくわ。おーっほっほ」

瀬那「安っぽい自慢ですねぇ」

美原「ええのよ。プレゼントなんか気持ちがこもってたらじゅーぶん」

瀬那「それ、気持ちこもってたってことなんですか? あの豪華絢爛シールに」

美原「ええねんて。こもってたことにしといたほうが、楽しいやろ?」

瀬那「……なんとなく、いま、美原さんと里哉の息がぴったりな理由がわかりましたよ」

美原「なに、それ。ジェラシーってやつ? ふふーん」

瀬那「今さら美原さん相手に、ないでしょ、それは」

美原「ま、ねー。けど、あんたはともかく、あの柏原も、あたしに関してはアウトオブ眼中ってのはなー。むーん」

瀬那「なんですか、それ。女のプライドってやつですか」

美原「香坂相手にはぴりぴり柏原が、あたし相手には安心しきってるのって、なーんか腹立つやん。あたしにもそのジェラ顔見せてくれよーん、的な」

瀬那「里哉のそれは、おれのほうの理由やないでしょ。美原さんがそうさせてるんですよ」

美原「あたしがなによ」

瀬那「オット以外の相手ってのはないでしょ。美原さんが。だからですよ」

美原「そんなん、ないに決まってるやーん」

瀬那「美原さんがそう言うのわかってるから、アウトオブ眼中扱いなんですよ。つか、喧嘩したりとかはしはらへんのですか」

美原「あたしが? 誰と」

瀬那「オットと」

美原「なんで」

瀬那「あー。例えばあの、ゴージャスきらきらプレゼント箱シールの件でとか」

美原「あんたもたいがいしつこいな…… センス悪くて悪かったよ…… つか、それでなんで、あたしがオットと喧嘩?」

瀬那「あー。なんであたしが買うてきたシール使てくれへんの、むきー、的な」

美原「なんでやねん。てか、それ、前提がおかしーから」

瀬那「前提?」

美原「オットはちゃんと困ってくれたもーん。そんでじゅーぶん楽しー思いできたもーん」

瀬那「元もとの策略ってことですか、それ。さすが黒いですね、美原さん」

美原「や、そーゆんやなくて。可愛いかってんよ、オットが。シール目の前にして腕組みしてさ。うーん、祐子ちゃん、さすがにこれは、うーん、せっかく祐子ちゃんが買うてきてくれたんやから使いたいねんけど、でも、これはさすがに、うーん、て。ふっふーん」

瀬那「……前から思てたんですけど、美原さんのオットって、実はかなり年下やったりするんですか?」

美原「なんでよ。もう何回も言うてるやん。同い年やって」

瀬那「そんで、可愛いんですか」

美原「可愛いで? そんなん決まってるやーん。あんたも同学年の柏原のこと、可愛いと思うやろ? それと一緒」

瀬那「そういうもんですか。実は里哉と似てるとこあったりしますか? 美原さんのオットって」

美原「うーん。股間にナニがついてるとこ?」

瀬那「それやと、おれもおんなじになりますやん」

美原「ええやん、それはそれで。あとは、そやねー、ある意味戦友なとこかな?」

瀬那「戦友、ですか」

美原「なんかあったときにタッグが組める。いちばん心強い味方になれる。そういう感じ」

瀬那「おれはちゃいますか」

美原「あー。坂崎はねー、オットよりほかに、もっと似てるなーと思う心当たりがあるから、ちゃうかな」

瀬那「誰ですか、それ」

美原「幸せになってほしい人ってことよ。そんで、あたしにそれ、どうこうできるわけやないねんけどな。そういう人」

瀬那「幸せ、ですか? おれ、自分で言うのもなんなんですけど、けっこう幸せなほうやと思うんですけどね」

美原「うん。そういう言い方も似てる」

瀬那「……それ、オットの次に好きな人、ってことやったりします?」

美原「好きよ? けど、オットとはベクトルが全然ちゃうなー」

瀬那「や、ベクトルがおんなじやと、まずいっしょ」

美原「向こうのベクトルもねじくれまくってるから、あたしのベクトルとは絶対重ならへんいう安心感はあるな」

瀬那「なるほど、そういうもんですか…… そういう安心感は、確かに、おれと美原さんとの間にもありますね。美原さんのオットへのベクトルは、美原さんにはありえへんぐらい、真っ直ぐストレートですけど」

美原「そんなん当然やんー。ええ人と一緒になれて、幸せ〜」

瀬那「ごちそうさまです」

美原「あんたもっしょ? 柏原と一緒になれて、はっぴーらぶらぶ〜」

瀬那「今さらですね」

美原「今さらだよねぇ。困ったな。オチがつかへんな」

瀬那「無理してつけるこたないんちゃいますかね」

美原「あんたがそれを言う? オチの帝王のくせして」

瀬那「今回、オチは任せてますんで」

美原「相方に?」

瀬那「相方に」

美原「あたし、あっちの話にもオチがついてないほうに、1,000 つっこみ〜」

瀬那「賭になりませんね」

美原「だよねぇ」

    ――暗転――



■ぼけ同士の話はぐるぐる回るの巻

里哉「えー。なんの話をしたらええんですかね、おれらは……」

千尋「互いの惚気話を聞き出すこと、と台本には書いてあるけど」

里哉「まずは自己紹介ですかね。えー」

千尋「柏原くんだよね。ぼくのほうはあんまり、初対面って気ぃせーへんねよ」

里哉「なんでですか」

千尋「祐子ちゃんからよう話聞いてるから」

里哉「……聞きたくないような気はしますが……どんな話ですか」

千尋「総務の坂崎くんって子と、とっても仲がええねんよね?」

里哉「は。そりゃ。えー…… まあ、ええほうやとは思いますけど…… えと、美原さんご夫妻も、大変仲むつまじいとお聞きしてますが」

千尋「うん。仲いいよ」

里哉「ですよね。はい…… えーと…… で、なんの話をしたらええんですかね、おれらは……」

千尋「互いの惚気話を聞き出すこと、と台本には書いてあるけど」

里哉「えー。じゃあ、仲むつまじいエピソードとかをひとつ……」

千尋「うーん。今朝作ってくれた祐子ちゃんの味噌汁がおいしかった。カボチャ入っとって」

里哉「あ、うちの朝のスープもカボチャでした。昨夜の残りのシチューを坂崎がのばしてくれて」

千尋「坂崎くんの愛は、洋風なんやねぇ」

里哉「えー。美原さんの愛は、和風ですか」

千尋「祐子ちゃんは料理上手で、ぼく、毎日幸せかなー」

里哉「あ、それは、おれもそうです。坂崎がうまいもん毎日食わしてくれて、おれも幸せです」

千尋「ぼくらは恵まれてるねー」

里哉「そうですかね? はい。……えーと。あとはなにを話したらいいんですかね……」

千尋「互いの惚気話を聞き出すこと、って台本には書いてあるけど」

里哉「えー。じゃあ、美原さんのいいところってのをひとつ……」

千尋「うーん。祐子ちゃんは世界一可愛いかなー」

里哉「可愛い、ですか……」

千尋「うん。坂崎くんは? 可愛いない?」

里哉「可愛い…… いや、まー、可愛いとこもありますけど…… や、可愛いかな……」

千尋「ぼくらは世界一幸せやねー」

里哉「ですかね? はい。……えーと。あとはなにを話したら……」

千尋「互いの惚気話を聞き出すこと、て台本には書いてあるけど」

里哉「えー。じゃあ、美原さんの可愛いところってのを、具体的に……」

千尋「うーん。笑てるとこかなー。しんどいときでも、笑えるとこ」

里哉「あ、その感じはわかります。いいですよね」

千尋「坂崎くんは?」

里哉「坂崎は、うーん、そうですね…… 笑顔は、やっぱり、好きですね……」

千尋「うんうん。いいよねー」

里哉「そですね。はい。……えーと。あとはなにを……」

千尋「互いの惚気話を聞き出すこと、て台本には」

里哉「えー。じゃあ……ほかに何がありますかね……」

千尋「うーん。なにがあるかな……」

    ――暗転――



■結局オチはそこだよねの巻

美原「ほら、落ちてへん」

瀬那「落ちてませんね。つか、あれ、話収束させること事態が無理ですよ」

美原「オットは元からあんな感じやけど。柏原がなー。なんで惚気話いうことになったら、ああ口ごもるんか」

瀬那「いいですよ。おれ、普段、直接ちゃんと聞いてますから」

美原「愛の言葉?」

瀬那「愛ですよ」

美原「それ、どんな感じー? わっくわく〜」

瀬那「おれだけの特権なんで、聞かせませんよ」

美原「じゃあ、仲むつまじいエピソードをなにかひとつってことで、手を打とう」

瀬那「ああ、じゃあ、今朝のカボチャスープの話を」

美原「なになに? どんなどんな?」

瀬那「シチューがスープに化けてしもてる…… え? ごろごろカボチャはー? 今晩の分のシチュー、もうなくなってしもた? えー? おれ、今日一日なに楽しみにしてがんばったらええん…… え? 今晩おでん作ってくれんの? 瀬那、好きだ! 愛してる!」

美原「……どんだけご飯大事やねん……」

瀬那「帰ってきた直後の里哉に、ご飯にする? お風呂にする? それとも、お・れ? とかやったら、里哉の選択肢はひとつですよ」

美原「うーん。ご飯を選ぶに 1,000,000 つっこみ!」

瀬那「賭けになりませんね」

美原「それ、仲むつまじいエピソードで、ほんまに間違えてへん?」

瀬那「間違いないですよ。正確に言うと、それやったら、まずがっつりご飯食べて、それからのんびり風呂入って、ベッドに入ったら絶対おれ誘てくるんで」

美原「ああー、なるほどなー。ほんま、柏原のそういうとこがなー」

瀬那「そういうとこがね、好きなんですよ」

美原「ほんま、愛されちゃってるねー」

瀬那「愛しちゃってますからね」

美原「ごちそうさま」

    ――暗転――


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