うらのおと いただき絵御礼小咄

おとなのための男同士の恋愛小咄
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ブルーベリー




里哉「ただいまー。あれ?」

瀬那「お。おかえり」

里哉「なにこれ。どしたん。ていうか、うちで花瓶てはじめて見た……」

瀬那「なにて。見てわからんの」

里哉「……ブドウかと思うのですが……」

瀬那「まー近いけどな。つか、見たことあるやろ」

里哉「……あらへん、と思う…… なに、これ」

瀬那「まー、たしかに、こういう状態では見たことあらへんかもなー。ヒント。ケーキ」

里哉「……なんでケーキ……? あ」

瀬那「さらにヒントが要るか?」

里哉「……そのヒントって、ジャム、とか?」

瀬那「そうそう」

里哉「ブルーベリー? えー?」





里哉「はじめて見た。ブルーベリーってこんなふうに生んの」

瀬那「さすがに里哉のうちでもブルーベリーは作ってはらへんかったか」

里哉「近所にブドウ作ってはるとこはあったけど、ブルーベリーは知らんなー。へー。なんかむっちゃかわいいなー。で、どないしたん、これ」

瀬那「いただきもの。まにゅさんから」(まにゅさんのサイトへはこちらからどうぞ→彩刃回廊

里哉「おおー。そりゃ嬉しいー。ありがとうございます、まにゅさん。けどなんでまた」

瀬那「いろいろあったやん、おれらも。慰労、みたいなもんかな」

里哉「慰労、ね。たしかに、こういうの部屋にあると、なんか和むな」

瀬那「そーね。こういう出迎えは、なんかええよな」

里哉「ん。けどまたなんでブルーベリーなん?」

瀬那「おれらに見立ててくれはったらしいで?」

里哉「は?」

瀬那「熟したところあり、青いところあり、ってさ」

里哉「うはー。なんつーか。……見切られてるって感じやな……」

瀬那「ま、青いのってあんたらしいよな」

里哉「は?」

瀬那「似合うよ、青。好きな色やろ?」

里哉「そりゃ好っきゃけど…… でもおれももう熟してきてるっていうか、違いのわかるええオトコになってきてるつもりなんやけど……」

瀬那「青いのはあんたでええやん。熟してるほうはおれってことで」

里哉「……それはない。断じてない。青いのがあんた。熟してるほうがおれ」

瀬那「なにむきになってるかな。あんたのほうが似合うやん、青」

里哉「いーや。あんたのほうがおれより青い。おれのほうが熟してるね」

瀬那「ほー? こりゃまた。誰からも賛同の得られんようなことを」

里哉「なんでやねん! 誰の目から見てもおれのほうが熟してるっちゅーねん」

瀬那「そうやってムキになってるとこが青いて言うねん」

里哉「なにひとりおとなぶってんねん。ルクルーゼをちゃんづけで呼ぶやつのどこが熟してんねん」

瀬那「ルクルーゼちゃんはルクルーゼちゃんやんけ。自分の持ち物かわいがるのと青いのとは関係あらへんやろ。おまえこそ、あらゆる人らから里哉ちゃん呼ばわりされとるくせに」

里哉「おれのことちゃん付けで呼ぶのはおまえしかおれへんわい!」

瀬那「ほー、ほー。知らぬは本人ばかりなりってか」

里哉「なによ、それ」

瀬那「こちらをご覧あそばせ。うちのサイトに届いたありがた〜いメッセージの数々。これとか、これとか。すべて里哉ちゃんとなっておりますが。いかがか」

里哉「……えーと……」

瀬那「よかったなー。これでめでたく、どこに出しても恥ずかしないことに、青いのがあんた、熟してるのがおれ」

里哉「ちょっと待て! こっち見ろ、こっち。あんたかって瀬那っちとか呼ばれてるやんけ! 熟してる人間に対する呼び方とちゃうっ!」

瀬那「なに言うてるかな。これはおれがみなさまから深〜く愛されてる証拠やんけ。ま、ついでにあんたも愛されてるってことで。よかったなー。でも熟してんのはおれ」

里哉「最後のひと言が余計や。熟してるのはおれのほうやっちゅーてるやんけ」

瀬那「そんなことで熱くなっちゃう里哉のほうが青いっつーことで決定」

里哉「外側だけで判断すんな。いちいち反論するおまえかって熱い! やらしーもの言いがさらに青いっ!」

瀬那「はいはい。わーかったから。でも熟してるのはおれ」

里哉「おーまーえー! ん? なんだこれ」

瀬那「ほえ?」

里哉「メッセージカード? 見た、これ?」

瀬那「いや、それはいま気づいた」

里哉「なんだろ。えーと……う……」

瀬那「どした?」

里哉「あー。読んでもええ?」

瀬那「どーぞ」

里哉「あー。えー。……いつまで経っても青いふたりにぴったんこの贈り物は届きましたか? どーせまた、どっちが青いとかつってもめてんねやろ。ふたりとも青いでええやんー。どうせお布団のなかではふたりとも熟してんねんから。きゃっ♪」

瀬那「……それ……」

里哉「……美原祐子拝……」

瀬那「……いったいどこから情報が漏れたんだ……」(わたしです……ふゆ談)

里哉「……どっちも青い、ね」

瀬那「……熟してんのはベッドのなかだけなんかよ、おれら……」

里哉「まー、美原さんとかから見たらそう見えんのかも」

瀬那「いつまで経ってもおれらは美原さんにはかなわんわけですな」

里哉「さいですな…… おれらもそれなりに熟してるとこもあると思うねんけどなー」

瀬那「そりゃあるでしょ。だからこそ二色のブルーベリーやないん?」

里哉「ん」

瀬那「もうおいしく食べられるとこもあって、これからまだまだ成長していけるところもあって。ええ感じやないの?」

里哉「色目的にも綺麗もんな」

瀬那「そゆとこが、あんたのええとことちゃうのん?」

里哉「ん…… そなんかな…… そういうのもありなんかな……」

瀬那「ま、おれのほうはあんたと違て熟し切ってるけどな」

里哉「なんでそないなんねん!」

瀬那「まにゅさん、ありがとうございました」

里哉「ありがとうございました。って、しめるなっ! まったくもう……」

瀬那「……里哉、皿の準備をしてるように見えんのは気のせいか?」

里哉「へ? 一枚では足らん? あ、あー。なんでしもてまうんよ……」

瀬那「このブルーベリーは食用ではありません。観賞用」

里哉「え。えー? ……食われへんの……?」

瀬那「ばかたれが。食うたらなくなる。ええ加減学習しろ」

里哉「えー。でもぉ…… 一個だけとか、あかん……?」

瀬那「あんたの一個だけは信用できません。ていうか、せっかく綺麗なバランスでおさまっとるのに、崩すな」

里哉「う、うーん。じゃ、観賞が終わったらジャムにしてくれるん……?」

瀬那「あほか。ひと房ぽっちでジャムができるか。食うことから離れろ」

里哉「え? えー? せっかくの贈り物やのにー。ブルーベリーかってこのまま朽ちてくよか、おれらにおいしーおいしー言うて食べられたほうが幸せやんー」

瀬那「見て和め。ブルーベリーもそれで充分喜んでる。視姦プレイを楽しめ」

里哉「えー?」

瀬那「おれがいてへんあいだに食うなよ? おまえの腹におさまった瞬間からおれは家事ストライキに入るからな」

里哉「……家事ストライキてどれぐらいの期間……?」

瀬那「食うこと前提に話すな」

里哉「全部は食わへんて言うてるやんー。一個味見したいて言うてるだけやんー」

瀬那「熟したオトコは誰ですかー?」

里哉「……おれ……」

瀬那「素直でよろしい。熟したオトコはブルーベリー一個でぐだぐだ言わない」

里哉「なんかだまされてるー。絶対だまされてるー」

瀬那「せいぜい苦みばしったええオトコを目指してくれ。おれは風呂入ってくる。ブルーベリーには手ぇ出すなよ? きちんと我慢できたら熟したオトコとして認めてやっから」

里哉「えー?」

瀬那「いつまでもごちょごちょ抜かすな。きれーなココロで観賞しとけ」

里哉「行ってらっさい…… うーん。この隠れてるやつ一個ぐらいやったら、瀬那にも見つかれへんかも…… けど、ここで我慢できたら熟したオトコ認定してもらえるわけで。うーん。うーん」


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