『何度でも』

何度倒しても、魔物たちは何度でも復活する。
再びその場所を訪れた私たちに向かって、同じように襲い掛かってくる。
何度でも、その凶器を振り上げて命を奪おうと向かってくる。

そして、私は何度でも倒す。武器を振り回し魔法を放ち、その命を奪う。
その先にあるものを求め、私は何度でも、その場所を訪れる。

……たった、一匹だけ、二度とあらわれない魔物がいる。
あれは、魔物ではなかったのだろうか。

空気中の瘴気を纏い、降りつづける、小雨。
沼地の、濁った水。
聞くに堪えない奇声を上げて、襲い掛かってくる魔物の、鉤爪。
それから……。

そこから先は、考えることをやめる。
あの魔物に、私が何をしたのか。
そこから先は、考えるなと心が、悲鳴をあげる。

その度に、手のひらの中の、薄汚れた布切れが、握り締められて汚れを増す。
見えないように、曇らせるように。

こぼれ話:一覧に戻る