破滅


2199第22話、セレステラさんの過去話にドメルスーツを着たアベルト閣下が登場!もしやドメルと総統は
若い頃同じ部隊にいたりしたの…?やっぱり公式的にも仲良しだったの…?と妄想した結果のSSです。そしてとある方が、
スーツ姿のアベルトちゃんをひたすらさすりさすりするドメルさんをご所望だったのでw 別名、さすさす物語です。(2013.08.10)
              
このSSは「エルク・ドメル×アベルト・デスラー」過去話です。また、エルク20歳前後、
アベルト14歳前後の設定で作成しておりますのでご注意ください。
お嫌いな方は、どうぞお読みになられませんようくれぐれもお願いいたします。






 スーツ越しに熱が伝わってくる。

「ふっ……うっ…ん、ん……、エルク……」

 幾度軽蔑したことか。
そして、幾度魅了されたことか。

「…アベルト様、……ん……」

 私たちは忙しなく唇を重ね、舌を絡ませる。唾液が溢れ、垂れてゆく。

 私を追って同じ部隊に入ってきたアベルトを、私ははじめ嫌悪していた。彼はいつでも私を頼って来、
私が他の者と親しくする毎に腹を立てるからだ。
しかしそれなのに、私は彼を捨てきれない。気がつけばいつだって、アベルトは私と共に居、そして私もそれを望んだ。
細い身体に私と同じ戦闘用のスーツを纏った姿は少しも逞しくなく、むしろ淫靡ですらあり、時にその姿を
好色な目で追ってしまう私がいる。

判っている。私がひた隠しにしている欲望を、アベルトは知り抜いている。そしてどれだけ私が浅ましい
人間なのかを嘲笑うかのように知らしめ、私を打ちのめすのだ。
アベルトは私の本能を映し出す鏡。

だからこそ、私はときにその鏡を打ち壊してしまいたいとすら思っていた。




「まるで、裸の身体に色を塗っただけのようですね、これでは」
そう言い、私はアベルトの身体を眺め、そして飽きる事無く唇を啄み続ける。
「確かめたらどう?」
そういうアベルトの声にはどこか余裕が感じられ、私は心密かに苛ついた。
「ねえ、触って」
「いえ、今は……」
「ねえ。エルク……」

幼さの残る、骨の目立たぬ手が私の大きな手を掴み、そっと胸に導いてゆく。
「いいんだよ」
胸を滑らせてゆき、そして喉元へ。
「エルク」
囁く声は猛毒。

私はその場に膝を折り、アベルトは小さな尻を私の両脚に乗せた。

「エルク、来て」
未発達な肉体に、爛熟した欲望を携えてアベルトは私を誘惑する。
私は抗おうとした。自分よりも年下の、まだ少年のようなアベルトの意のままになることは私の本意では無い。

アベルトは私が彼の衣服を脱がせることを望んでいるようだったが、私はそれに逆った。
「早く、……こうしてよ」
私の心を知ってか知らずか、囁きながらアベルトは私の喉元に手をやり、襟をひろげ上着をはだけた。
覆い隠す布地をさも邪魔そうに脇へやり、剥き出した素肌へと小さな手を滑らせる。
「ふふ」
こんな時のアベルトは本当に邪悪だ。傍から見れば私がアベルトを誘惑し、手籠めにしているとしか思え
ないだろう。だが違う。誘惑するのは常にアベルトであり、そして私を翻弄し、堕落させる。
「エルクの乳首、勃ってる」
くすくすと意地悪く笑いながら私の肉体を弄ぶアベルトを、叱ることが出来たならと思わないではない。
だが私の理性が如何にアベルトに対し憤りを覚えても、私の肉体は彼に対し非常に従順だった。

彼の指に、彼の掌に。
彼の唇に、彼の瞳に。



「お止めください」

この言葉に何の効力も無いことを、私もアベルトも知っている。だからアベルトはこの私の言葉に一切返答しない。
アベルトの手は私から鎧を奪いながら更に身体の中心へと這い寄ってゆく。

熱くなる。全てを脱ぎ去り、裸体ひとつになればどれほど心地よい事だろうか。

「エルク、我慢なんて無駄だと何度言ったら判るの?」

細い身体がしなだれかかり、色欲に濡れた瞳に私が映る。
美しい紫の瞳の中で、私の顔は淫欲に穢れ、醜悪だ。
アベルトの唇はうすく笑っている。
私を嘲笑うかのように。

「……無駄、…か……」

 低く呟いたドメルは、アベルトの両手首を片手に掴んだ。
「エルク?」
不思議そうなアベルトを尻目に、先ほど外されてしまったベルトをその華奢な両手首に巻き付ける。
「どうしたの、……」
質問をし終わる間に、口づけた。更に粗野な仕草でアベルトの身体に掌を滑らせる。スーツの上からでも
触れることの出来るアベルトの小さな乳首を擦ると、彼はん、ん、と息を詰まらせ喘いだ。薄く小さな、
つるりとした質感の舌を小刻みに吸い、食いちぎりたい衝動に駆られながら甘く噛む。
ちらりと視線を下に落とすと、股間に不自然な膨らみを見つけた。
黙ってそこに手を押し当てる。一番敏感な箇所に触れられ、「くん」と、まるで小さな動物のような声を
アベルトは発した。

不自然な股間のそこは、明らかに固く、そして熱い。
ドメルは黙したままそれを執拗に擦った。
「ねえ、エルク……」
アベルトがもぞもぞと腰を揺らすが、ドメルは淡々と、だが一切止めようとはせずにスーツの下で
漲らせているのであろう、肉棒と言うにはまだあどけないものをひたすら撫でる。布地越しでも、今、
アベルトのものがどのようなかたちに隆起しているのかドメルは己の脳裡に描き出すことができるくらいに、
アベルトの身体を知り抜いていた。

「ねえ、エルク」
いつもとは勝手が違う。
「ねえ、エルク。スーツを脱がせて。こんな、このままでなんか嫌だよ」
上気した頬が愛おしい。
「可愛い、アベルト様」
そう言いドメルはアベルトの頬をべろりと舐める。
「ひ…ん……」
スーツの上から過敏になった乳首や局所をひたすらに擦られ、アベルトは狼狽えていた。いつもならば、
自分の魅力に耐えられなくなったドメルがのしかかって来、欲望の赴くまま自分を抱き、貫き、射精し
その浅ましさに苦悩する。自分を抱く度に罪の意識を重ね、苦しむ男は何よりも愛おしい。
アベルトはそんなドメルを望んでいたのだ。一方的に弄ばれたあげく、着衣のまま自分だけが射精
させられるなど屈辱でしかなかった。
「ね、え、……エルク、……きみも、…あ、んん、……」
必死に誘うものの、エルクは黙って首を横に振るだけで愛撫の手は止めようとしない。
「エルク、嫌だよ、……僕だけ、こんな……あっ、あ、……」
しがみつきたくても両手の自由は奪われている。直接素肌に触れられているならばまだ良い。
しかし、一切衣服を脱がせてもらえず、ただ身体の一部を布越しに触れられるだけで、一人
悶える様は滑稽としか言いようがない。
「ねえ、お願いだよ、エルク……っ、エルク、このままじゃ、嫌だよ」
甘い声にもドメルの表情は変わらない。
「これで上等です」
ぼそりと呟き、その太い指でアベルトの股間を弾いた。
「きゃっ」
電流に撃たれたかのように細い身体がドメルの腕の中で跳ねる。よく見れば、張った先端の布地が濡れ
染みを作っている。
「触っているだけなのに、こんなに濡らして」
ドメルはわざと声を低くし、アベルトの耳元で囁いた。
「女の子のようだ」
アベルトの身体ががくがくと震える。両目には涙が溢れ、一筋こぼれていた。
「……エルク、……ぼくを、…どうするの……」
見上げたドメルの両眼は、冷たかった。いつもならば自分の姿態に興奮を隠さぬドメルが恐ろしい
ほどに醒めていた。
「僕が、嫌いなの、…エルク、……」
ドメルは自分に惚れているとしか思っていなかった。彼だけは、何が起ころうともきっと自分の
傍にいると信じていた。そのドメルが今、こんな濡れ事の最中に醒めた視線を寄越して来たことに、
アベルトは狼狽していた。手はひたすら優しくスーツの下の性器を撫でている。でも握っても
もらえない。触れることも許してもらえない。それなのに、自分だけが愚かしいほどに感じ、
前を濡らしている。

涙に濡れた顔を、ドメルはじっと見つめていた。幾度か達してしまったような知性の欠けた目、
だらしなく半開きになった口元からは涎が垂れている。
「おねがい、エルク、……」
止まった手に、アベルトは泣きながら張り詰めた前を押しつけた。震える身体を健気に揺らす。
「ぼくを、見捨てないで」

ドメルは濡れた掌にアベルトの拍動を感じ取った。太腿が緊張を走らせ、細い腰が戦慄く。
「あ、あ、あ、」
恍惚と絶望のなか、アベルトはただ一人で絶頂へと己を押し上げていた。
いつものように、己の嬌態をわざと見せつけるようなことなど出来なかった。
じわじわと熱いものが溢れ出てくる。とろとろと、肌を、そしてスーツを濡らしてゆく。
「おねがい」
弱々しく囁いた。誘惑ではなく、懇願した。
それを聞きとめたのか、ドメルは向き合っていたアベルトを抱えると後ろ向きにし膝に乗せた。
「エルク」
ドメルの武骨な手がアベルトの喉元にのびる。スーツを閉じているファスナーを摘まむのかと思いきや、
その手はアベルトの細い喉を覆い隠した。
「エ…ル……っ……」
じわり、と手に力がこもり、喉を圧迫する。
「……く……」
アベルトは目を見開いた。逃れる力など微塵も残っていなかった。ますます喉が締め付けられる。
もう片方の手は再び性器を撫でさすり始めた。
「…っ、……っ……っ、」
実際のところ、幾度達したか判らなかった。正気と狂気の何処に己がいるのかすら見失っている。
ぐちゅぐちゅと不快な音が気味悪くもあり、また劣情をそそる。
呼吸すらままならなくなりながら、アベルトはドメルに支配されることに喜びを覚えていた。
そしてその喜びに包まれたまま、大きく背をしならせ、達した。

その、夢か現か判別できぬ朦朧とした意識のなかで、アベルトはドメルの声を聞いたような気がした。

 愛している、と。




 喉を絞めていた手が離れ、スーツのファスナーを下ろしてゆく。
堰を切ったようにドメルは乱暴にアベルトのスーツを剥ぎ、肌を露わにすると汗にまみれたうなじに
顔を埋めた。そして、ぴんと勃った乳首を抓り、捏ね、朦朧としているアベルトに更に悲鳴を上げさせる。
下半身のファスナーも壊さんばかりに引きおろし、力と興奮に任せスーツを裂いた。濡れた裸身を剥き出すと、
ドメルは体液に粘ついた性器を掴み出しぐい、と握りしめた。

「や、あ、あ……っ……」

先刻幾度も達した性器を再び刺激されるのは苦痛でもあったが声に出して叫ぶ力すら無い。ドメルの
荒い息だけが室内にこだまし、そしてアベルトの鼓膜を犯す。でもそんな愛撫にアベルトは微笑む
こともできない。
ただ泣いた。どれだけ自分が歪んだ顔をし、泣いているのかなど考える余裕もなく泣き叫んだ。
しかしドメルは行為を止めようとはせず、アベルトの剥き出しの尻に熱い塊を押しつける。
「アベルト様」低く呟く声とともに、細い身体を引き裂くようにぐい、と挿入していった。
さんざん濡らされた局所はさほど抵抗も見せずにドメルの怒張した性器を呑み込んでゆく。

「エルク、エルク……」
譫言のように掠れた声でドメルの名を呼ぶアベルトの目は正気を保ってはいなかった。
堰を無くしてしまったかのように、アベルトの双眸からは涙が流れ出、滑らかな頬を伝い形良く尖った顎を
落ち喉を撫でてゆく。ドメルはそれを吸った。何もかもを、己のものにしなければ気が済まなかった。
軽い身体がドメルの上で踊る。ドメルもまた、アベルトの身体の中に幾度も射精していた。
破れたスーツの隙間から、アベルトの、乱暴され赤く充血した肌が見える。少しでも身体を離すと、
力の抜けたアベルトの体内から己の放った汚濁が滴り落ちてきた。

きっと力尽き、意識を失うまで自分はアベルトを犯し続けるに違いない、と彼のほんの僅かに残っていた
理性がため息をつく。


いい。これでいい。

離れられないのだ、とドメルは絶望していた。

どうあがいても、私はこの男から離れることは出来ないのだ、と。

いや、わかっていた。初めて出会ったときから決まっていた。

「エルク……」
か弱い声がドメルを呼んだ。
アベルトが精一杯顔をこちらに向けている。涙と涎に濡れた顔も、長い睫毛に覆われた紫色の瞳も、
眩しく輝く金色の髪の毛も。
「エルクのが、熱いよ……」
弱った身体で、片足をからげてみせる。両脚の間のすぼまりから、またとろりと白濁がこぼれたのを、
アベルトは指にすくい自分でそれを体内に押し戻して見せつけ、一筋の美しい涙を流し私を見上げた。

 そんな彼の全てが愛おしく感じた。

 もうわかっている、もうとっくの昔にわかっていたのだ。

 私はこの男の為に破滅するのだと。




 「アベルト」

 そう、きっと私は悦びのなか、君のために破滅する。






────────終────────