にんじんだいすき 1


ツイッターで仲良くさせていただいているニャン太郎さんが描いてくださったうさうさバーガー少佐絵に寄せて
うさうさバーガーは只今Galleryにて展示中です!可愛いうさちゃんフォム隊長をご覧くださいませ(2013.04.01)
              

 ガミラス帝国軍のお昼ご飯は、いつもカレーライスと決まっています。
ある日、ライル君とフォムト君は一緒にカレーライスを食べていました。

「あれ?どうしてにんじんを残しているんだ、フォムト」
フォムト君のお皿には、にんじんだけが残っています。
「俺はにんじんは嫌いなの」
別ににんじんなんか食べなくたって平気だろ、とフォムト君は悪びれもせず言いました。

「ふうん」

ライル君は意味ありげに口の端を歪めましたが、フォムト君は気付きません。

「よし、午後の出撃だ!」

カレーライスを食べ終わると、二人は再び元気に出撃して行きました。



 その夜のことです。
すやすや眠っていたフォムト君はいきなり複数の男達に捕らえられ、後手に縛られてしまいました。

「誰だ!俺に一体何の用だ!」
「我々は『にんじん嫌い撲滅委員会』なのだよ、バーガー少佐」
「その声は、ライル!」

 暗闇のなか、ライル君の顔が浮かび上がります。
「にんじん嫌いは矯正対象だ」
その手には、長い、ピンク色の耳のついたヘアバンドが握られていました。
「なっ、何を…!」

 動けないフォムト君の頭にその、奇妙なヘアバンドがつけられました。つけるとまるでうさぎのようです。
「よく似合うよ、フォムト。これでにんじんが嫌いなんて、言えないよな」
「嫌いだ!にんじんなんか嫌いだ!こんなもの!」
フォムト君は頭を振り回しますが、うさぎの耳は外れません。
「反省するどころか、反抗するとは呆れた奴だ」
自分を押さえ付けている大柄な男の声にも聞き覚えがあります。

「ちくしょう、みんななんでにんじんなんか好きなんだよ!俺は嫌いだからな!」
口元ににんじんをつきつけられても、フォムト君は唇をきゅっと閉じ、顔をそらします。
「ふん、強情な奴だ。泣きを見るぞ」
「だまれ、お前達こそこんなこと……あっ」
フォムト君は後ろから小突かれ、前のめりに倒れました。大男が上からのしかかり、動きを封じます。
「や、止めろー!」
「いかんな、好き嫌いは。お前も立派なガミラス軍人だろう」
「ク、クライツェさん」

温厚なクライツェさんまでライル君の仲間とは、と半ば絶望的な気分になりながらフォムト君は
身動き出来ないまま、身体を丸めさせられ、両手を膝の裏で縛られてしまいました。
「ゲットーにしっかりにんじん嫌いを治してもらうんだぞ」
クライツェさんはそこまでやると、じゃあなと言って出ていってしまいました。
「ああっ、待って!待って!クライツェさん、置いてかないで!」

 フォムト君は、ライル君と二人きりになってしまったのがむしろ恐ろしく感じました。
クライツェさんなら、もしものときは助け船を出してくれそうだったのです。

「さあ、尻に尻尾もつけてやらないとウサギになれないな」
ライル君は楽しそうに笑ってフォムト君のズボンを引き下ろします。
「止めろよ!」
テープか何か着けているのでしょうか、ライル君はふわふわしたうさぎの尻尾を取り出すと、
フォムト君のつるつるのお尻にぺたん、と尻尾を貼り着けました。



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「ほほう、可愛いウサギになったじゃないか」
ライル君は満足そうに笑います。
「いやだ、こんな格好なんていやだよ!」
わめくフォムト君のお口に、「うるさいね」とライル君はすんなりとしたきれいなにんじんを
ぐい、と突っ込みます。「んっ、ううっ」フォムト君は苦しそうに呻きました。
「どうだい、よく舐めてごらん。甘いだろう。どうしてこれが不味いって言うのかな?」
ライル君はフォムト君に咥えさせたにんじんを抜き差ししながら言ってきかせます。
「ほら、しっかり舐めて。急いで囓る必要は無いからね」
「あっ、ああ、ん……」
何故かにんじんを咥えたフォムト君は、次第に顔を赤くして、おとなしくなってゆきました。
「ほら、ごらん。おまえのにんじんも大きくなってきた」
「んっ、ん、」
「美味しそうに固くなってるよ?食べてやろうか?」
「ん、ん、んん、」



「さあ、フォムト。お前はウサギだ。ウサギなんだから、「にんじん、大好き!」って言うんだよ」
「いやだいやだ、おまえの言うことなんか聞かないっ……あ、あ、ん」
「じゃあ、しょうがないね。後ろのお口にも言って聞かさないと、お前はにんじん好きにならないようだ」
「えっ」

ライル君はにんじんにはちみつをたっぷりまぶしつけました。
はちみつに濡れたにんじんはテラテラと明かりに照らされ光っています。

「ああ、……ライル、やだよう」
「甘党のくせに。ほら」
「あああ」

 はちみつを塗ったにんじんががいやらしい音をたててフォムト君の後ろの口を行き来します。
はじめのうちこそ、「いやだ、いやだ、にんじんなんて」と言っていたフォムト君でしたが、次第に
「あん、あん」と可愛い声を出すようになりました。

「おいしいんだろう?」
「ん、う、うん……うん」
「おいしい、って言って」
「お、おいし、おいしい……ライルのにんじん、おいしいよぅ…」
「よかった。もっと食べさせてやるよ」
「うん、うん、」
「おまえのにんじんも後で俺がしっかり食べてやるからな」
「あん、うん、ライル、うん…、にんじん、だいすき……」


その後、ふたりはいつもなかよく、一緒ににんじんを食べてしあわせにすごしました。







────────おしまい────────