彼が前方を指差す。
「見てみろ。燃えるような、って言葉がピッタリくるようなキレイな夕陽じゃねェか」
上機嫌で彼はこちらを振り返った。
――そう言って笑う彼の方が夕陽などよりよほど綺麗で。その時、俺はこの人が産まれたのは夕方か明け方だろう、と直感した。
それを彼に告げると、彼は不思議そうな目で俺をじいっと見つめてから、
「……オマエがそう思うなら、もしかしたらそうなのかもしれねェな」
陽の色が空に溶けていくように微笑う。
その笑顔が好きだと思う。
俺だけじゃない。
この人についてきた連中は皆――俺と同じ気持ちだろう。
この人の笑顔と伴に在りたいから。
この人と伴に世界の何処までも、何処へでも行きたいから。
その気持ちだけで、強くなれる気がする。
……愛してる、なんて、言わないけれど。