あひ見ての
みしやそれともわかぬ間に
雲隠れにし夜半の月かな

「ッァ、…ハッ・ァンッ」
 カラダをよじって、快感に染まった声をあげる。
 わずかに朱に染まった目許、うっすら汗の滲んだ滑らかな褐色の肌。
 ひどく昂ぶったそこを舌で舐めてやる度にあがる押さえ切れない声。
 何もかもが煽情的だということを、この人は知っているんだろうか。
 声が漏れるのを我慢しようとするたまのその仕草はいっそう、煽るだけだということを。
 広げた足を肩にかけ、グッと体を折り曲げてやる。
 指に先走る液をからめて、反り立つ彼の裏側を擦るようになぞってやりながら、楔を打ち込む穴に触れる。
 円を描くように触れると、ひくりひくりと俺の指を誘い込むように震える。そうすると深海色の瞳を潤ませて、俺を睨む。
 俺は口許をニヤリと歪ませて、薄く筋の張った胸に歯を立ててキスをする。
「…物欲しそうなカオしてるなよ、大頭」
「ッ、だれが…ッ」
「あんたしかいねェだろ…。ホラ、欲しいンだろ? 入れろって、ココが動いてるぜ…?」
 言って、指を2本、ことさら見せつけるように侵入させる。
「見てみな…? 抵抗無く入ってくぜ?」
「だれが見るかッ…ッ、この…スケベヤロォッ」
「こういうコトしておいて、スケベもへったくれもねェと思うんだが? だいたい…」
 グッと指を奥へと突き入れる。シャンクスは短く声を上げて、シーツをグシャグシャに握り締めた。
 紅い髪から覗く形の良い耳を舌先で舐め、
「…誘ってきたのはあんただろうが…」
 入れた時とは反対に、乱暴に指で犯す。
「ひ、ァッ・あ!…ッゥ…ァァ…ッ」
 弱い所を指が擦る度にカラダが跳ね、眉を寄せる。
 涙がじんわりと滲んでいるのにも見ぬふりで、何度も何度も突きあげてやると、そのうち痛みとは明らかに違う表情が垣間見えてくる。声にも甘さが滲んでくる。
「ァ・ッア、…ベン…ッ」
「どうした…?」
 わかっているのに聞く。
 言わないとやらない。何も。
 右手がすがるように髪を掴んでも、言うまでは最後の快楽は与えてやらない。
 せがむような蕩けた眼で俺を見つめ、
「…も・ッと…お、く…」
「コレじゃ、足らねェか?」
 指を根元まで一気に入れてやると、背中が綺麗に反れた。
「…充分満足してるように見えるが?」
「足り、ねェ・よッ」
 睨む眼。
 欲に正直。
 淫らなカラダ。
 ――どうしようもなく、惹かれる。
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