魔女の宅配便














ある日、ある街に伊達政宗という隻眼の見習い魔女がやって来た。
魔女のしきたり通り新しい街へ修行をしに来たのである。
といっても彼は男だったのでどこかの魔女のように黒のワンピースを着ているわけではなく、蒼の陣羽織を身に纏い箒に跨り空を飛ぶ。
修行中であったのでまだ魔法の力は一人前ではなかったが、町のパン屋に世話になりながら頭部の毛がオールバック気味の茶色い猫の小十郎と修行、そして宅配便の仕事をしながらそれなりに楽しく日々を過ごしていた。

しかし、この街に一つだけ彼を悩ませるものがあった。



「政宗殿!!今日も大変美しくあられ…」

「…またアンタかよ。しつけぇなぁ……Hell Dragon!!」

「ぬあああああぁ―――っ!!?」

「政宗様!お見事です!!」

「……Haaa…」

「…政宗様?」



街へ来てその姿を見るなり突然惚れた何だと言って毎日のように迫ってくる青年、真田幸村である。
幸村は今箒の先から出た青い閃光によりどこか遠くへ吹き飛ばされたわけではあるが、困ったことに政宗も気持ちの上では実は満更でもなかった。
しかし己は修行中の身、恋愛などにうつつを抜かしている場合では無いとその気持ちを抑えつけていたのであった。
早く実力をつけて意地悪な母親を見返さねば、修行に集中しなければと。



「…何でもねぇよ。じゃ、仕事行くぜ小十郎!!」

「……………」














しかしある日事件が起こった。
それは嵐の日にパイを届け熱を出して寝込んだ後のことであった。
数日寝込んだ政宗は大方健康を取り戻し、暫くの間ほったらかしにしてしまった小十郎へ自慢の手料理を出してやった。
今日は小十郎の大好きなきんぴらごぼうだ。



「…………小十郎?」

「……にゃあ」

「何猫みたく鳴いてんだ?しかもお前、なんでそんな食い方……いつも箸使って器用に食うじゃねぇか」

「にゃ……にゃ〜」

「Oh、待てよ小十郎!!」



小十郎の様子がいつもと違った。
言葉を話さず食事の取り方も皿へ顔をつけてする本物の猫と同様の方法な上、ごぼう数かけを咥えて窓から出て行ってしまった。

政宗はハッと肩を揺らしまさかと思い、部屋隅に置いてある箒へ跨る。
ぐ、と力を入れると僅かに宙へ浮いた。
しかしすぐに床へ落下してしまった。



「…いってぇ……、………嘘だろ…」






魔法の力が殆ど無くなっている。



このようなことは未だかつてなかった。
政宗は床へ座り込んだまま愕然とする。

このまま魔法の力が消えて戻らなかったらどうしよう。
魔法を使うことしか知らない。
これが無かったら、どう生きていけば良いかわからない。
母親には嘲笑われるだろうか。


隻眼を見開き失意の内に沈んでいたが、このまま待っていてもどうもならぬだろうと箒を握り締め小屋の出口へと足を向ける。
そしてバン!と勢いよく扉を開き外へ飛び出した途端真正面から何かにぶつかった。



「うわっ!!?」

「っと……!!」



思わぬ障害物に前へ転倒しそうになるが、何者かの腕に抱きとめられその者が踏ん張ったおかげでどうにかそれは免れた。
反射的に瞑った目を開けばそこには紅のジャケットを纏うあの青年、真田幸村が居た。



「政宗殿、斯様に慌ててどうしたのですか?」

「…Shit……離せ」

「お顔が少し青うござります」

「あ、テメ!俺は用があんだよ…!!」



幸村はその後ろ髪を引っ張ったり肩を殴ったりと暴れる政宗を強く抱き締めたまま強引に部屋の内へ足を進める。
そして改めてその顔を覗き込め、ば。
先程は青かった頬へ今は俄かに朱が浮かんでいた。
そのような表情でキッと睨まれても、何の威圧感も感じない。
その上いつもは触れた瞬間魔法で撃退されるところを、今日は箒を持っているにも関わらず魔法を使おうともしないではないか。



「……今度はお顔が赤うなっておられる」

「…気のせいだ、気のせい」

「何故今日は魔法を使わぬのです?」

「……そんな気分じゃねぇんだよ…っていいから離せ!」

「そのようなお顔で言われても説得力がございませぬ。……漸く某の想いを受け入れて下さる気になったのでは?」

「違っ……おい!ん、〜…ッ……!!」



政宗は漸く箒を放り両腕で幸村の胸を押し抗うがそれを始めるよりも先に唇を吸われ力が入らなくされてしまい、それは殆ど意味を成さなかった。
しかも内心では己からも想いを寄せている者からの口づけを、特に魔法力につられ精神的にも少々弱っている今は拒む気になれなかった。



「……っは、……ンぅ…」



舌を絡め取られ口腔粘膜を擽られ唾液をすすられ、今まで兎に角修行に専念してきて口づけなど初めての政宗は見る見るうちに脳を溶かされていく。
ちゅる、ちゅく、と水っぽい音が静かな小屋の中に響く。
幸村はいつの間にか抵抗をするどころか己のジャケットの裾を掴み目を瞑って接吻を受け入れるようになった政宗をそのまま押し遣り背中を壁へ押し付けた。
かと思えば角度を変えては更に深く口づけながら政宗の両手をそれぞれとり、後ろで纏め鉢巻を使い手早く縛ってしまった。
キスに溺れていた政宗もそこまでされれば流石に我に返り、バッと顔を逸らし壁沿いに幸村の前から逃げ出す。



「さり気無く何してんだアンタ!!?」

「政宗殿が素直にご自分の気持ちを認めて下さらぬ故、そろそろお体に聞いてみようと」

「Ha………?」

「この日をどれだけ夢みたことか。いつも某を物欲しそうな目で見るくせに散々退けられて…生殺しでござった」

「…そんな目で、見てねぇよ……」



政宗は身を捩り後ろで括られた両手の自由を取り戻そうともがくも、あの一瞬でどのような結び方をしたのかビクともしない。
戸惑いと仄かな期待を示すよう頬へ上った熱はそのままに、しかし出来る限り鋭い視線を幸村へ向ける。
だが幸村は上機嫌に己の箒と部屋の隅にあった縄を手にしてこちらへ歩み寄る。

何に使うのだろうか。到底良い事に使うとは思えない。

政宗は未知の体験への不安を覚えながらも、身体の奥の何かが疼くのを否定出来なかった。
























「んァッ、ぐ、うあぁっ…!!」

「政宗殿………大層お可愛らしい声ですな」

「あぁ…も、やめ……ろって……!!」

「処女にも関わらずおまんこを弄られこんなにおちんちんを硬くして……何とふしだらな魔女だ」

「は……ばか、…っ野郎!!」



今や部屋の角へ腰を下ろした政宗はズボンと下帯を剥ぎ取られ、未だ穢れを知らぬアナルを好き勝手に弄られていた。
しかもその両脚は曲げられ大きく開かされた上、左右の膝裏へ先程の箒を通しそれぞれの膝と箒は縄できつく括られいる。
つまりずっと開脚を保たさせられて己では閉じられない状態である。
加えて両手の自由も取り戻せておらず、ぱんぱんに膨張し先走りを垂れ流す政宗の陰茎を根元で強く戒めている幸村の手を振り払うことも出来ない。
先程からずっと射精を遮られたまま尻穴を唾液で解され前立腺ばかりを指先でクニクニと攻められている。
最初こそは本来とは違う役割を与えられようとしているそこは拒むように異物を押し出す蠢きを見せたが、今やきゅうきゅうと幸村の指を締め付け奥へ導くまでになっていた。



「ッゆき、むら…!も、苦し…っ……!!」

「…ならばその美しい唇で言うて下され。この幸村が好きだ、と」

「…………ッく…」

「…何故そうまで認めぬのです?貴方の顔には某が好きと書いてある。体がこんなに反応しているのも、ずっとこうして欲しかったからでしょう?」

「…、っ…………好きなんかじゃ、…ねぇっつってんだろ!」

「…………左様ですか」

「………あ…?」



途端、幸村は政宗の雄とアナルから手を離した。
咥えるものを失った後孔は物欲しげにヒクつき、ペニスの先端口もくぱくぱと開閉して絶頂へと導いてくれるような刺激を求める。



「おい、ゆき…」

「…まぁ好き、は此度は政宗殿が恥ずかしがりという事で許して差し上げる。その代わり……いやらしいおまんこを幸村のおちんちんで沢山いじめて、と強請って下され」

「好きっつー方が格段に恥ずかしくねぇじゃねぇか死ね!!!!」



幸村の突拍子もない発言に怒鳴り散らすも、政宗の体は限界間近であった。
蓄積された快感で声が震える。
触って欲しい、触って出させて欲しいという欲求に理性が侵されていく。
身動きがとれない状態故視線だけを彷徨わせていれば腰の防具を取り去った幸村の股間が膨れているのが目に入った。
反射的にアナルが一段と大きく収縮しその所為でそこはクチ、と鳴く。



「今、政宗殿のおまんこが可愛らしく鳴いたように聞こえたのだが…」

「っこの……変態!………なのに、こんな酷ぇ目に遭ってんのに………………何でまだアンタのこと好きなんだろうな」

「………!」

「………降参だ、幸村………I love you。アンタを、くれ……」

「……政宗殿…!!」

「わ……っ!ンぁ、ばッ……ああああァ―――ッ…!!!」



幸村は政宗の体をころりと床へ転がし今まで以上に大胆に己へ秘部を曝け出す格好をとらせるや否や素早く自らのペニスを取り出して、がちがちに硬くなっているそれを政宗の尻へ突き入れた。
そして恍惚とした表情を浮かべすぐに達してしまった政宗の身体を揺さぶり始め、互いの精が底を尽きるまで愛し合った。


























「政宗様!何故かここ数時間の記憶がないのです、が…………」



数時間後小十郎が自我を取り戻し部屋へ帰って初めに見たのは、真田の隣で幸せそうに眠る主人の姿であった。











修行と恋の板ばさみというもやもやから解放された政宗はその後魔法の力を取り戻すだけでなく目まぐるしくそれを成長させ、修行に恋愛にと充実した日々を送ったのであった。
因みにあの日政宗の内の何かが目覚めて以来二人の性生活が専ら拘束必須のSM寄りだというのは、二人と一匹だけの秘密らしい。



















おわり















うわぁ…。もう幸村、トンボの面影も無いですね!トンボの役回りのつもりですよー!!
それと題は何かじぶりが怖いのでちょっともじって宅急便じゃなく宅配便にしてみました。
しかし短く収めるの大変だった…。
本当はもっとえろろんにしたかったのですがエロの前にも書かなきゃならないことがあったので泣く泣くやりたい事削りました。






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