幸村がいつも通り米沢城を訪れると、そこには愛しい恋人の姿が在った。
いつもと違うのは、その色素の薄い髪によく映える白い華が飾られていたこと。
そして彼の竜の従兄弟に髪を撫でられ、照れ臭そうに、幸せそうに笑っていたこと。













純恋花














ぐちゅ、ぐちゅ



室内に漂うは濃い精の香りと、血の臭い。
猿轡代わりの赤鉢巻を噛まされ、両腕を後ろで帯を使って縛り上げられた竜は、苦しげに眉を寄せ後孔を嬲られる異物感に耐えていた。
いつものような気遣いを忘れた幸村の指が容赦なく肉壁を抉る度、蒼の着流しは纏ったまま下帯だけ剥ぎ取られ、大きく開かされた脚の先が強張った。
意味がわからないと言いたげな濡れた隻眼は、己の上に在る幸村を映す。
目が合った次の瞬間、幸村は政宗の奥の凸凹を痛い程の力で押し遣り、もう何度目になるのか、政宗は身体を大きく震わせ男根の先から精を噴出させた。


想い合い信頼し合う仲だからこそ、政宗は油断をした。
常よりも言葉数少ない幸村に多少の違和感は覚えたが、さして気に留めることなく接していた。
縁側で二人きりになり急に乱暴に政宗を押し倒したかと思えば、幸村は何も言わずその腕の自由と唇を封じた。



ぬちゅっ…つぷ、くぷ



白濁と血が混ざり合った薄紅色の液体に塗れ最早見る影も無くなった尻穴へ、放たれた政宗の精液を足す。
徐々に慣らされるではなく最初から三本もの指をねじ込まれたそこであったが、血を滲ませながらもやがては広さを得て指へ吸い付くようになった。
それさえ忌々しいと言いたげに幸村は指をバラバラに動かし、それぞれの指の先で腸壁を引っ掻いた。



ガリ、



内臓への絶大な痛みに、見開かれた隻眼は涙を流し始める。
その傷は戦場で受ける外傷の比にならぬ熱を宿し、政宗は正気を失ったように頭を左右へ振る。
乾燥した髪が床とぶつかりぱさぱさと音を立てる。
しかし幸村は手の動きを緩めることなく、今度は三本の指で律動の如く政宗の奥を突き上げ始める。
掌と睾丸がぶつかり、袋の表面に伝っていた精液が辺りへ飛び散る。



ぐぷ、ぐぷ、ぱん、ぬちゅぬちゅ…



蕾からの刺激もさながら、様々な音が混じり合い政宗の聴覚を犯す。
痛みとも快感ともつかない刺激に次々に雫を頬に伝わせて、今度は政宗は幸村へ縋るような眼差しを向ける。
その左目は訴える。
何故だ、と。
やめてくれ、と。

下肢の惨状を面へは何の色も浮かべることなく眺めていた幸村であったが、その視線の含む意図に気付くと小さく舌打ちをした。
そして三本の指は尻穴へ収めたまま、脚を開かせていたもう片手で己の袴の前を寛げる。
下帯を緩め猛った雄を取り出すと、指で広げた穴へ先端を押し当てた。



ちゅ



当人の意図に反して、穴の入り口が亀頭の先端へ吸い付く。
五度、六度と無理矢理精を放出させられ抵抗の力を失っていた政宗の体がびくりと揺れる。
次何をされるかはわかっているが、それにしては指が中々胎内から出て行かない。


まさか、という思考が政宗の頭をよぎったのと同時。
幸村の男根の切先が、最早三本の指を銜え込んでいる政宗の尻穴へと入り込む。
感じたことのない大きさの圧迫感に、政宗の意識は白に呑まれた。































ぐぷ……



先程よりも朱の濃くなった液体が、政宗の後孔から溢れる。
指を受け入れたままに陰茎に貫かれ続け、そこから楔と指が抜き出された今も筋肉は緩んだまま閉じる気配はない。
政宗の意識はとうの昔に失われていて、涙と唾液に湿る猿轡を噛まされたままのその顔は、蒼い。



さら、



幸村の手が政宗の髪を撫でる。
きっともう、愛しい彼の笑顔を見ることはない。
後悔の念はあった。
しかし幸村は、自分以外にあのようなことをされて、あのような顔をしていた竜を許せなかった。



幸村は適当に己と政宗の身なりを正し、彼が目覚める前に奥州を去った。
縁側から庭へ降りる際気付かず踏み付けた花は、先程政宗の髪に飾られていた花であった。
誕生日くらい多少は飾って幸村に逢え、と、冷やかし半分に従兄弟に髪へ挿されたものであった。





























以上、絵茶で石田様にすすめられ制作を宣言した「台詞の無い、擬音と情景描写だけの小説」でした。
あっ、情景描写だけになってるのかなこれ……微妙……。
すみません実力不足が否めません。
幸村心狭いなー…。
そして悲恋ブームなので後味悪くてごめんなさい。
最後までわかりませんが、さり気無くこれ誕生日小説だったのです。
今日は旧暦で政宗殿の誕生日ですからね。
おめでとう政宗殿!!って気持ちが全然あらわれてない小説だけどおめでとう!!!


戻る