「ぎゃあああああ!!やめろやめろやめろ!!!近づくんじゃねぇ!!」

「政宗殿は某のことなど好きではない…と?」

「いや、そういうワケじゃねぇが…アンタこそ触れたい触れたいって、体目当てかよ?」

「そんなはずがない!!」

「OK、じゃあ触んなくてもいいだろ」

「…………」














はじめてのちゅう














ここは独眼竜伊達政宗の治める奥州の地、青葉城。
その奥にある城主の一室に俺、真田幸村は居た。
部屋の隅には政宗殿、俺の大切な恋人だ。
今はちょっとした攻防の最中である。



「好きな方には触れたいに決まっておろう!某は、いつまで我慢すれば良いのだ…!!」

「…さあな……」

「政宗殿ぉおお…」

「…そんな目向けんな」





奥州王伊達政宗は、色恋の経験が無かった。
それを知るは、恐らく俺と竜の右目の人物くらいであろう。
戦場で猛る竜を見初めて以来、何度も何度も奥州へ通い詰めて漸くそのお心を手に入れた。
しかし口づけようとすれば赤くなって避けるわ、強引に押し倒そうとすれば殴り飛ばされる。
初心だ。
免疫が無いのはわかるが、若い俺にはきつかった。
何よりその様子がまた可愛らしくて、吐き出せない欲は一層煽られるだけだった。

そろそろ限界で今にも襲ってしまいそうで。
しかし、それをしてしまえば下手すれば政宗殿のお心が離れてしまう。
少しずつ、少しずつ我慢強く懐柔していくしかない。
そうしてどうにか抱き締めるまではさせてくれるようになった。
抱き返してくれるようになるのに、幾月もかかったが。

此度の訪問では、もう何度目になるだろうか口を吸いたいと言ってみた。
因みに今まで成功はしていない。
前回まで強引に行き過ぎたのが悪かったのかと思い、少々格好をつけて頬へそろそろと手を伸ばし唇を近づけながら。
その反応が冒頭だ。
やはり絶望的か…。



「…抱き締めるのは許してやっただろ。それだけで我慢しとけ」

「駄目だ」

「即答かよ……でも俺こそ駄目だ」

「…何故?」

「…………」

「…………」



俺の問いに、政宗殿のお顔がただでさえ赤かったのに更に真っ赤に染まる。
恐らく理由は恥ずかしいから、とかそういうのだろう。
まさに生娘だ。
可愛い。
食べたい。
挿れたい。
でも、我慢、我慢………。
















「など、もう出来るかぁあああああああああああっ!!!!!」

「!!!?…っHELL DRAGON!!!!!」

「ぬおおおおおおおおぉっ!!!!?」



飛び掛かったら渾身の力で吹っ飛ばされた。
障子など簡単に破れ、気付けば庭で転がっていた。
燈篭か何かに後頭部をぶつけた気がする。
お館様と鍛えていたからまだ良いものを……、しかし痛いものは痛い。

頭がずきずきと痛む。
あぁ起きるのが面倒くさい。
どうせ起きても政宗殿が赤くなっているのが見えるだけ。
可愛いけれど、今あれを見たら本気で襲ってしまいそうだ。
大体何故、恋人に口づけを迫っただけでここまで反撃されねばならんのだ…。

俺は燈篭に後頭部を預けたまま、目を瞑ってぐるぐると考える。
お館様。
この幸村、今まで相当耐えました。
そろそろ性欲と苛々も戦で発散出来ない数値になって来申した。


…もう、我慢せずとも良いですか?



「………おい、ゆきむ…んんっ!!!!?」



政宗殿が動かない俺を覗き込んできたのを好機として、素早くその肩を掴み地面へ引き倒す。
そして上から圧し掛かり、すかさず唇を重ねた。
もういい。
どうにでもなればいいではないか。
別れるなどと言われたら死ぬ気で謝ろう。
それでも駄目だったら監禁しよう。
そうしよう。



「……、…ッン……!」



政宗殿の唇は、ふくりとした見た目通りに柔らかかった。
饅頭とはまた一味違った、弾力のある柔らかさ。
何度この感触を想像した事か。
想像よりも格段に心地よい柔らかさに目眩を覚える。
しかし表面は少しカサついている。
そのカサついた唇の薄皮を湿らすよう、俺は舌でそこを舐め辿る。

政宗殿は最初こそ目を見開いていたが、早速抵抗を始めた。
強靭な両腕で俺の体を殴る。それはもうボコボコに。
両手はその頭部をがっちり固定していねばならないので、腕を封じる事は出来ない。
痛い痛い痛い!肋骨が………しかし負けぬぅううううううううううう!!!!!



「っう……む!ん、……」



ここはもう技巧勝負だ。
無垢な体に根深く悦楽を植え付けて差し上げよう。
舌を政宗殿の口腔内へ押し込んで、下唇の裏を擽った。
押し込むのは乱暴でも、愛撫は擽るように。
俺は片腕で後頭部を包むように押さえ込み、もう一方は頬を掴み寄せ口づけを深いものにしようと努める。
唇の裏の柔らかな粘膜を舌で弄ってやった。



「…ふ……ぁ…」



すればやがて体を殴り来る手が少しずつ弱まってきた。
喉を動かす余裕も失せてきたのか、口中も彼の人の味のする唾液で溢れている。
薄く目を開いてお顔を盗み見ればぎゅっと目を瞑り眉間へ皺を寄せていた。
しかし眉尻は下がり、頬の赤味の濃さからも性感は露わだった。
接吻だけでこうまでなってしまうとは、誠可愛らしいお方だ。

今度はちゅくちゅくと水音を立てながら舌同士を擦り合わせる。
逃げようとするそれを追いかけ回しては己の舌を絡ませ、角度を変えてより深くまで侵攻しじっくりと吸い上げた。
熱い舌はその吸い上げに蕩けたよう、著しく動きが鈍った。

しかし、当人は未だ抵抗の意思を忘れていなかったようで。



「…ン……やめ、……ろ!」



顔を小さく横へ振り髪をぱさぱさと振り乱しながら肩を押して俺を引き剥がそうと努めている。
しかし全く力の入らぬ手で何が出来るというのだ。
結局それも、箍が外れた俺を煽るだけになった。

濃厚な口づけと同時に頬にある手の内親指をその唇へ差し込み、指の腹でも火照っているのが露わな粘膜を擦った。

そこで、異変が起こった。



「は……う、ああぁっ!!!」

「………?」



その唇から漏れた突発的で少々不自然な嬌声に、俺は少し正気を取り戻した。
そして唾液の糸を引きながら漸く唇同士の接触を解き、顔を上げた。
政宗殿は相変わらず目を瞑り荒くなった息を落ち着かせようと肩で呼吸をしながら、無意識か片手をそろりそろりと自らの下肢へと伸ばしていった。
しかし隻眼を開き疑問を浮かべた俺に見られていることにすぐ気がつくと、その手の動きをぴたりと止めばっと顔を逸らした。
耳たぶまでが真っ赤だ。
これは、まさか………。



「…政宗殿…」

「……い、言うな…」

「達してしまわれたのか?」

「………!!!!!」



着流しと下帯越しに股間へと触れてみると、それらを隔てても温かな液体で湿っているのがわかった。
指摘されて固まっている政宗殿。
麗しくも茹蛸のようなそのお顔を見て固まる俺。
こここ、これは………。



「敏感なお体、大変愛らし…ぐはああああああっ!!!?」

「言うなっつってんだろ!!!!?もうアンタとは終わりだ二度とその面見せんじゃねぇええええええええ!!!!!!」



羞恥の余り涙目で叫ぶ政宗殿の姿は、本日二度目のHELL DRAGONで城壁の外まで飛ばされ済みな俺には見えるはずもなく。



















余りの事態に俺の股間の逸物まで反応してしまったが、その日どころか政宗殿は頻繁に謝罪に訪れる俺に三月も逢ってくれなかった。
敏感過ぎるお体だから触れられるのを嫌がっていたのかと納得した反面、早くその体に触りたくて触りたくて逢わせて頂けない日々が辛かった。
三月後、三月分溜まった性欲をぶつけるように彼の人を抱き締めたら、やっぱり殴り飛ばされた。
いい加減監禁しそうになったが、押しとどまった。

いつになったら体まで繋がることが出来るのか。
まだまだ先は長そうだ。


































どこのエロゲーの女の子だよってほど、初心でとっても敏感な政宗殿が急に書きたくなったら何かこんなんになりました。
あとちゅうが書きたくて。サナダテにちゅっちゅさせたくて。

この政宗殿は、幸村に逢わない三月も幸村とのちゅうを思い出して体を火照らせてたと思います。
ちゅうを思い出しながら自慰とかしてすぐにイっちゃってるよ。



戻る