アリキリdeサナダテ





ノーマルなヤツらがちっちゃくなって触覚生えたところを想像して読んで下さい。
サナとダテは取り敢えず知人です。










昔あるところに、アリの幸村とキリギリスの政宗が居た。
幸村は大変な働き者で、いつも煎餅の欠片などを集めるのに精を出していた。
その反対に政宗は働くのが大嫌いで、いつもトノサマバッタの背に腰だけで跨り遠乗りばかりしていた。
それでもどうにか今まで冬を生き延びてきたのは働き者である側近の小十郎のおかげであった。
しかし今年は違った。
小十郎は、今は病床の母キリギリスの面倒を見に実家へ帰っていて居ないのだ。
恐らく冬にも帰って来られないだろう。


そしてそんな年の夏のある日。
政宗が今日もバッタの背に乗り遠乗りへ出向こうという時のこと。

「Ha、働け働けって怒ってくる小姑が居ないと楽だなぁ」
「政宗殿!!」
「Ah…?何か用か、ありんこ」
「そのままでは政宗殿は、冬には餓死してしまいますぞ!少しでも食料を蓄え…!」
「Shut up!!チッ……今度はアンタが説教かよ。関係ねぇだろ」
「あ、お待ちを!!」

政宗は傍らで忌々しげに眉を寄せ、バッタの背を脚で挟み出発するように命じた。
バッタは指図された方向へぴょん、と大きく跳ねるも、幸村も諦めず全速力で走りついていく。
政宗は一層表情を険しくして幸村を睨む。

「関係、ある!!」
「しっつけぇな!何の関係があんだよ!」
「そ、それ……は………政宗殿が死んでしまったら、某は悲しい!」
「わけわかんねぇ…俺の勝手だろ!!」

政宗は幸村の懇願を無視し、バッタへ速度をあげるように指示した。
二匹の間にはあっという間に距離が生まれた。
ざっと一メートルほど距離が開いたところであろうか。
幸村は大きく息を吸う。

「どうしても働かぬと言うのなら、某の嫁になって下されぇええええ!!!!!」
「…………あ?」

突然の告白に流石の政宗もバッタも固まっていると、すぐに幸村が追いついてきた。
そしてバッタの胴から政宗を引きずり下ろし、ぎゅう、と腕の中へ抱き締める。
すれば唖然としていて無反応であった政宗の頬が真っ赤に染まった。

「…政宗殿が傍に居て下さるなら、二倍のエサを集めてくるぐらい何でもない。毎日遊んでいても良い。ただ、某の隣で笑っていて下されば…」
「Oh……shit。………………んな、熱烈なpropose…どう断りゃいいのかわかんねぇだろ…」


こうして幸村と夫婦になった政宗は、幸村の愛の力によりやがては進んで家事をする、働き者のキリギリスになった。







めでたしめでたし。








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