4、後櫓








ガタンガタンと、レールの連結部分と車輪が接触する音と満員の熱気が支配する中。
政宗は白シャツはそのままに学校指定のズボンと下着の後ろだけをずり下げられ、背後から抱き締められながらいきり立ったモノに貫かれていた。



「…くっ……ぁ……!!」

「余り鳴くと周囲に気付かれますぞ?良いので?」

「テメッ……のせい、だろ…!!」

「政宗殿のおまんこが、このような場所でも気持ち良くなれてしまう程淫靡だからでしょう?」

「っクソ野郎…!!」



政宗は顔を赤く染めながら、低く小さく相手を罵る。
彼は電車の入り口に貼りつく形をとらされ、恋人である幸村に犯されているのだ。



















二人は昨夜も政宗のマンションで暑い夜を過ごし、今朝はすっきりして健全に高校へ向かうはずであった。
しかし。



「満員電車で頬を赤くし汗を流すそなたが余りにいやらしいから悪いのだ」

「Ha、汗かいただけで何がいやらしいだ……テメェが変態なだけだろ」

「それだけではない、自分から尻を某の股間へ擦りつけてきたではないですか」

「ばっ……それは不可抗力ッ…あ…!!」

「おや?今凄い力で締め付けられたのだが、図星ということですか?」

「違…ぇよ死ね…!!」



幸村の遠慮の無い物言いに、最初は頑なに逃れようと身を捩っていた政宗の体は火照る一方であった。
アナルでは幸村のペニスを根元まで咥え込み、陰毛でざり、と尻肉を擦られると内壁がきゅっと収縮する。
それを自覚しながら政宗は窓についた両手を握り、弱弱しく首を横に振る。
睫毛は少し湿っていて、外からの光に弱く輝く。
性交中の熱い吐息ですぐ顔前に在る窓が曇るのもどうしようもなく恥ずかしく、目を瞑り唇を噛み締めてゆっくりとした呼吸を保とうと努めた。

しかしそのような努力も、揺れが来る度にエラの部分で前立腺を擦られてしまえば一気に無に還る。
散々覚えさせられた良い場所への刺激は余りに甘美で、思わず甘い息が漏れとろりと蕩けた隻眼が開いてしまう。
そんな状況でも、悦楽の色に染まった声だけはどうにか抑える。



「うあっ……ぁ、ぐ…!」

「…しかし、この濡れはどうしたのです?とうとう挿入するだけで濡れるようになったので?」



昨夜処理をしたにも関わらず、政宗の中はしとどに濡れていた。
確かに挿入時に唾液を潤滑油代わりに使ったが、到底それだけとは思えぬ潤度に幸村は首を傾げる。
明確な抽送は出来ないものの、電車の動きに合わせ結合部が揺れる度に液体と空気が混ざり合いくち、と小さく粘着音が生まれる。
その音にも政宗は自らの雄を大きくし、欲を刺激されてしまうのを感じながら小さな抗議の声を搾り出す。



「っ…アホ。アンタが、昨日…出したやつだ!」

「それは処理したでしょう」

「……昨日みたく奥で勢いよく、しかもスゲェ量を出されるとだな…処理しても処理しても暫く奥のが流れてきちま……っン!!ちょ、それ以上デカくすんなっての…!!」

「申し訳ない…っそうか、ではこれからも出来る限り奥で果てましょう。おなごのように中を濡らし迎え入れられるのは、大層気持ちが良い…」

「馬鹿やろ…ッ……」

「政宗殿も気持ちが良いでしょう?ぬるぬるの中をおちんちんで擦られるのは大好きなはずだ」

「好き、じゃねぇよ…!」



必死に色々なものを抑えている政宗へ、幸村は容赦ない言葉を浴びせる。
それは彼が、というより彼の体が言葉で煽られるのが好きと知ってのこと。
口では悪態をつくが、耳が真っ赤なのが見えている。

幸村は口許の笑みを深めて、抱き締める腕の内の片手を政宗の下腹部へと伸ばす。
下着に覆われてはいるがそこにはもう暴発寸前の硬度と熱を孕む政宗の雄が在った。
幸村がやんわりと全体を撫でてやると、政宗の肩が大きく揺れる。



「いっ…、やめ、ろ……ゆき!」

「何故、出したいのでしょう?」

「んなとこでイけるかよ…!しかも服、汚れちまっ……あ、ちく…しょ、…ぁ―――…!!」

「は、ック……!」



幸村が布越しの雄をきゅっと握っただけで、政宗は身体をしならせ下着の中で達してしまった。
どうにか大声をあげるのは抑えられたものの、抑圧されている様々なものを一挙に発散するように下肢の筋肉を収縮させて腸壁の細やかな襞で幸村の男根を締め上げる。
さすればその先端からは、昨夜相当な量を放ったにも関わらず精液が放出され腸の奥を満たしていった。
政宗はそれを切なげに眉を寄せて受け止める。

射精が終われば、政宗は軽く後ろを振り向いて目へ怒気を宿らせる。
が。



「アホ…んなとこで、イかせやがって…!中、気持ちワリィんだよ!!」

「しかし、いつもより早かった。実は興奮しておられるのでは…?」

「Ha…!!?ン、ちょ…嘘だろ!?アンタ、また……!」

「こちらの扉はあと七駅程開きませぬ。もう一度くらいは大丈夫でしょう」

「オイ!あ……ぐ、ふざけん…うあっ…!!」

「ほら、あまり良い顔をされると向こう側のホームの方に不審に思われますぞ」

「…う……も、勘弁してくれ――――ッ!!」












―解説―

・後櫓
立ちバックのこと。
女は立った状態で(壁や柱に手をついて)腰を突き出し、男は女の背後から突き上げる体位。






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