3、しがらみ







「お頼み申す…政宗殿!!!」

「Shut up!!この発情犬が!!テメェがどうしてもっつーから!こんなとこで!咥えてやったんだろうがぁああ!!!」

「ですから、某の汚いものを咥える政宗殿のお美しいお顔を見ていたらどうしても…」

「挿れたくなっただと!?ふざけんな!!ここをどこだと思ってやがる…!!」



そう、ここは政宗達の通う高校の保健室であった。
今は放課後。
幸い保健医も居らず、体育の水泳の授業で政宗の裸体を見て一方的に盛り上がってしまった幸村の息子を宥めるのに使わせて貰ったというわけである。
若い熱は治まるところを知らず、しかし流石に学校で本番に及ぶまではしたくないという意外と常識人な政宗は手先や顎が疲労するまで幸村の雄を丹念に愛撫してやった。
にも関わらず、もう三度も放ったにも関わらず、幸村は政宗の奥への侵入を望んだ。
政宗は労るように顎を摩りながらベッドに座った幸村の脚間から立ち上がって怒鳴る。



「いつ保健の先公帰って来るかわかんねぇんだぜ!?見られたら停学じゃ済まねぇ!!」

「保健の先生は今日は出張で帰って来ませぬ」

「だからって…生徒が来るかもしんねぇだろ!」

「内側から鍵をかけておきました。それにテスト前で部活をしている生徒も少なく、大丈夫かと」

「……つーか、学校で盛る奴の意味がわからねぇ」

「…ではその意味がわからぬ輩のおちんちんを咥え、精液を飲まされて自らも勃たせている御仁の意味ならわかるので?」

「………!!俺ぁイイんだよ!半勃ちだから!!…っ…こら!!」



無論自らの変化に気付かぬ政宗ではなく、丁度それと悟られぬようひっそりと、懸命に熱を散らそうと試みていたところであった。
幸村は片手で政宗の股間を布ごと掴み、彼が怯んだ隙にもう一方の手で腰を引き寄せてベッドへとその身を押し倒した。
すぐに上へ覆い被さり、拳で容赦なく頭を殴りつけてくる政宗の首筋へ舌を這わせる。
手の内に握ったペニスをぎゅ、ぎゅと規則的に揉んでやればそれはみるみるうちに硬度を得、抵抗の力も弱まる。

幸村の肩や頭を殴りつけながらも、またいつものように流されそうになっている自分を感じる。


この快感に身を任せていたら、結局またこの犬の言いなりだ。
ここは保健室、好奇心旺盛なこいつのことだから薬やら包帯やらを使われてとんでもない辱めを受けるに違いない。
あぁ、俺の予想としちゃ包帯での目隠しプレイ……か、薬品染み込ませた綿をありったけケツに突っ込まれるか…。
で、自力じゃ立てなくなるまでケツん中荒らされんだろ。



―――こいつにおんぶされて帰るってのか!?耐え切れねぇ!何とかしねぇと…!!



己の想像に顔を青くした政宗は、何時の間にやら己の下に穿いていたものを脱がし終え、まさに犬のように雄を舐めていた幸村の髪を引っ張る。
ちゅぷちゅぷと口腔粘膜とペニス表面を擦り合わせ口淫に夢中になっていたところ強く髪を引かれ邪魔をされれば、流石に幸村も眉を歪めて顔を上げる。



「政宗殿……往生際が悪うございますぞ」

「常識やら道徳の欠如した野郎に言われたくねぇよ!」

「しかし、政宗殿のおちんちんはもうこんなに涎を垂れ流して…おまんこも疼いておるのでは?」

「うっせ!!…あー…、あー、あー………とにかく今は駄目だ」

「何故です!?納得出来るように理由を言うて下さいませ!!」

「あーっと…………………痔」

「じ?」

「痔」

「字?」

「痔」

「寺?」

「…痔だっつってんだよ何度も言わせんな!…いつもそんな調子でデカブツを突っ込んでくれるアンタのおかげで、な」

「………!!!」



政宗はハン、と鼻で笑いながら幸村を見下ろす。
咄嗟に出た、かなり恥ずかしい言い訳ではあるが未知のプレイを強要されるよりもマシらしい。
幸村はと言うと、目を真ん丸に丸め唖然としている。
その表情に主導権の確保を確信する。



「申し訳ない……政宗殿の色香に自我を失い、乱暴にし過ぎましたかな」

「Ah-ha、わかりゃいいんだよ」

「…しからば暫くは政宗殿のおまんこに負担をかけぬよう、違う趣向を楽しみましょうか」

「そうそう……ってWhat!?」



そう言うや否や幸村は政宗の太腿の両外側へ手を添え内向きに力を籠め、脚を閉じさせる。
そしてその上へ跨り上体を下げて、己の張り詰めた雄を――――太腿の間へ埋め込んだ。



「へあっ…おい!!何すんだよ…!!」

「何と言われれば…一般的には素股と言われている」

「す、素股……って…あ、っ……」

「政宗殿のおまんこ、苛め過ぎて申し訳なかった…」



幸村は政宗の脚を閉じる役割を己の膝へと委ねると、両腕で彼をぎゅっと抱き締める。
小さな音をたて唇を幾度となく重ねながら円を描くように腰を回す。
そして下腹部で政宗のペニスを擦ってやる一方で、雄の先端ではその奥の穴をつつく。
言葉と相俟ってまるで蕾へ話しかけているようなその様に、政宗は毒気を抜かれ思わず頬肉が緩まる。



「は……ったく、仕方ねぇな…」

「っく……政宗殿。これからは、もっと大事に抱けるよう努めます故…」

「…っ…おう」



降り来る唇は余りに優しく、響く声は余りに柔らかく。
その上幸村の陰毛に袋や裏筋を擦られ、敏感になっている内股を熱い粘膜が行き来するのも余りに気持ちよくて。
結局政宗は流されるのはおろか、自らも行為に溺れてしまう羽目になった。














「ン、っあ…!幸村…」

「もっとですか?もっとおちんちんを擦って欲しいのなら、政宗殿ももっと脚を閉じて下され。開いてきてしまっていますぞ…?」

「馬鹿っ、やろ…」

「そう、良い子だ…。某の毛でざりざりと擦られて、そんなに気持ち良いですか?」

「うあっ…つーか……ヤベ、………足んなくなってきたぜ…」

「…と、言いますと?」

「…………あーもう、いい。いいから、挿れろ」

「はは、痔ではないので?」

「…あんなん嘘だっての、アホ」

「……まぁ知っておりましたが」

「Shit……性格悪ィぜ」







そんな調子で快楽に呑まれた政宗は、嘘の仕置きとして想像していた以上の辱めを受けたとか受けなかったとか。











―解説―

・しがらみ
伸展位のこと。女は足を閉じた状態で仰向けになり、男は重なるようにして挿入する。
股間を閉じているのでピストン運動向きではない。
正常位のバリエーションとも云える体位であり、密着感から愛を感じられる。




流石に男同士でこの体位で挿入までは無理でしょうから、素股になってしまいました。
まぁ結局挿入されたのですが。




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