銀魂学園の屋上は、昼休み以降は施錠される。
そりゃあもうガッチリと。
なぜならそれは、腹が満たされ睡魔の誘いにすんなり乗った輩の格好の昼寝スポットとなるからだ。
…ただ、鍵を手に入れやすい教師には有効ではない策だったが。
「教師自らサボリですか?」
「…アア?」
ちょうど、うつらうつらしてきた所に声を掛けられ高杉はギロリと声の主を睨みつけた。
「睨まないでくださいよ。差し入れ持ってきたのに」
そう言ってさして気にした様子もなく隣に腰掛けたのは保険医の女性。
「いらね」
そう言ったきり目を閉じて外部をシャットアウトする。
「…」
「…」
「…ッ 何の用だ!?」
とはいえ黙って横にいられると気になってしまうのは仕方のない事で。
思わず起き上がった高杉に驚いたように彼女が聞き返す。
「えっ?なんかあるんですか!?」
「や、違ェ。お前がだ」
「…や、ないと思いますけど?」
微妙に噛み合ない会話。
そもそもだだっ広い屋上で、どうしてこんな至近距離で座っているのか。
「だって、わざわざ遠くに座るのって意識してるみたいじゃありません?」
思考を読んだのか平然と返す女。
「…アンタもサボリか?」
それでは気になった自分の方が意識しているようで、誤魔化すように問うと、嬉しそうに笑ったのが見えた。
もちろん自らのサボリを制定していることは気にしない。
「大好きなお昼寝の邪魔をすれば効果的だと思って」
「?」
「そろそろちょっとでも意識していただかないと割にあいません」
確信犯的な笑顔が奪ったのは眠気ともう一つ。
3−Zお題より。 昼寝の時間
2009 ECLIPSE