世間一般では今日は女性が男性に気持ちとチョコを渡す日だそうだ。

自分の恋人である銀八もたぶん欲しがるだろうな。と思う。
何となく予感していたが、男があまりに予想通りだった為ちょっとイジワルしたくなった。
「チョコはないよ」
「ッ!!!?」
ちょっとしたら、「ほんとはあるよ」とわたそうと思っていた。
ただそれだけのことなのに、時間が経つほどに今更後には引けなくなっていて…。
昼休みを過ぎ、とうとう五限目が終わってしまった。

「なーなー。ほんとにねえのかよー」
「しつこい!」
授業が終わり職員室への帰り道、後ろを付いて来るのは学校では隠しているはずの自分の恋人。
朝はニヤニヤ笑いながらいつ渡して来るのかを楽しみに待っていたようだったが、二限目が終わり、三限、四限…
と経つうち、みるみる焦り始めしまいにはとうとう手を出した。
「くれ!」
何だそのでかい態度は。
どうせ生徒からもらうだろうから、恋人の自分があげなくても良いんじゃないか。なんて思い始めてしまう。
帰ってからちゃんとあげると言っても聞かず。銀八はどうしても今欲しいという。
「忘れてきちゃったの」
そう言ったが、くるくるパーマは誤魔化されない。
「うそつけ!持ってるだろうが!」
その自信が何処から来るのかが、今非常に興味がある。
「もーおちついてよ」
小声で言っても聞かない。何でコイツはチョコ一つでこんなに暴走してるんだ。
職場で秘密の恋人同士。(の、はず)の二人の言い合いは今や職員室中に見守られていた。
「いやだ!俺は今日コレだけを楽しみにきたんだぞ!!」
「あんた先生でしょうが!」
長引きそうな戦いに他の教師たちが困り果てていると、校長が一人静かに席を立ち、職員室を出て行ってしまった。
それから暫くすると校内放送がかかる。

「3年Z組の学級委員長、至急職員室まで。…担任を引き取りにきてください」
六限が終わり、いつのまにかホームルームの時間になっていた。



  3Zお題より。 委員長は職員室へ







2007 ECLIPSE





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