昼休みの保健室。
教師とはいえ女二人、集まれば恋話に花が咲くようで…。

「だからですね!あの世の中を憂いているような影のある表情が素敵なんですよ!」
「いやアレただ眠いだけだから」
「眼帯に隠されたあの下がミステリアスー」
「そう、あっちの目には悪魔と契約した魔法陣がー」
「って、先輩!ちゃんと聞いてくださいよ!私の話!」
キラキラと目を輝かせ今にも手を組んで宙を見上げそうな勢いの後輩に半分呆れながら
適当に返していたら、彼女はまあるい頬を膨らませてこちらを睨みつけてきた。
大学時代からの付き合いなのだが、妙に懐かれてしまって今に至っている。
まあ、とにもかくにもカワイイ後輩だ。
「聞いてるって。好きなんだよね?高杉くんがさ」
ズバリそう言ってやったら、頬を赤く染めた彼女が慌てたように話を遮る。
「ってもー!おっきな声で言わないでくださいって!」
「ごめんごめん。…でもなー、アンタがあいつに惚れるとはねー」
ちょっと末っ子気質があるこの子には、もう少し優しい男の方が良いのでは。
と、おせっかいにも思ったりするのだ。
「学生時代、先輩が友達って紹介してくれたときから好きだったんですよ」
「え!?あんな前から!?」
「ハイ。だからここに転勤になった時、凄く嬉しくって…」
「あー、それであんな喜んでたんだー。なんだ私と一緒だから嬉しいんじゃなかったのね。
あーなんかショックー」
「え!?ち、違いま…いや違くないですけど…先輩と一緒ってのも嬉しかったですよ?」
「へえへえ。アリガトウゴザイマース」
「ほんとですって!」
「わかったわかった。そんで?どうしたいわけ?合コンでもしてみる?」
「してみません。…ていうか、高杉先生が合コンなんて参加するわけないじゃないですか」
項垂れてしまった後輩の頭を撫でて顔を覗き込む。妹のように可愛がっている彼女の為だ。
ここは先輩として一肌脱ごうではないか。
「まあそう落ち込みなさんなって。合コンはともかく今度一緒にご飯食べ行こうよ。アイツも誘ってさ」
「……先輩が誘えば、高杉先生きっと来ますよね?」
「うん?たぶんね」
大学時代同じサークルだった高杉とは実はわりと仲が良い。
どうやら好みが似ているようで話が合うのだ。
「仲良いですよね」
「ちょ、誤解しないでよ。仲はいいけど、ただの友達だからね。友情だからね」
「わかってます。それに先輩は坂田先生とラブラブですもんねー」
「え?そうだっけ?」
「もう。照れなくても良いですよ。じゃあこんどは先輩の話し聞かせてくださいよ」
「ええー?うーんそうだなあ…」
「なんです?なんです?」
瞳を輝かせて待つ後輩に、しかたなく最近起きた怪事件の話をする事にした。
「…此処最近お気に入りの下着が幾つかなくなってんだよねー」
「え?…それなんの話ですか?」

「好きな人改め殺したい人の話」




3−Zお題より。  好きな人の話。







20090601 ECLIPSE





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