18歳未満の方はここから先の観覧をご遠慮願います!性描写が一部あります。苦手な方も注意して下さい。














2. 奪われる

 いつものように事務所で昼寝をしていると人の気配がした。
 神楽は夕方まで遊びから帰らず、新八は今日は仕事が休みの姉と居るはずだ。
 しかし、そんな事を抜きにしても、間違うはずがない。愛しい女の気配。
 暫く様子を見ようと眠ったフリを続けていると、思った通りの声が降ってきた。
 「銀時?」
 眠っているであろう俺を起こすつもりはないのだろう、潜められた小さな声。心地良い其れに、意識を奪われる。
 閉じた瞼の裏に映るのは俺の好きでしょうがない笑顔。
 意識だけじゃなく心まで持ってかれ、俺の中身が空っぽになっちまったら、どうしてくれるんだ。
 「寝ちゃってるの?」
 くすくすと笑いながら俺の髪の毛を摘むのは、細く綺麗な指先。
 きっと、お前は俺が起きているとわかっているんだろう?
 何か悪戯を思いついた様な顔でこちらを見ているであろう女が愛おしくてしょうがない。
 だから、その指先を捕まえてこのまま気持ち良くなりたいなんて思っても、不思議な事じゃねーよな。



 「
 いまだ髪の毛に絡み付く悪戯な指をつかんで起き上がる。
 「あれ?起きてたの」
 わざとらしいその顔。
 何だよチクショー可愛いじゃねェか!
 「銀さんのお昼寝、邪魔するほどかまって欲しーワケ?」
 にやり と笑って見上げれば途端に何かを察したのか、は引きつり笑いを浮かべ、かすかに身を引く。
 「や、違うかなー… きゃあ!」
 視線を斜めに逸らして白々しくも下手な口笛なんぞ吹き始めたその唇を塞ぐため、つかんだ手首をたぐり寄せると小柄な身体は難無く俺の胸へと倒れ込んできた。
 「きゃあ って、カワイー声出すじゃないのー。銀さんトキメいちゃうー」
 「銀ッ!」
 腕の中の女が顔を上げるより早く耳元でからかうように囁くと、ぎゅっと眼をつぶったままフルフルと頭を振ってもがき始める。
 ぐっと細腕を突っ張って俺との距離を取ろうと身を反らすは、未だ眼を開けず、こちらを見てはくれない。
 「、こっち向けよ」
 「ヤッ」
 「なんでイヤなんだよコノヤロー」
 チラッと傷つくぞ。
 「銀さんのナイーブなガラスのハートが音を立てて崩れるぞ?」
 「なに言ってんの、防弾ガラスのくせに。 …てか、百歩譲って飴細工?」
 胸のあたりに押しあてられていた両腕をつかんで一つにまとめると閉じていた瞳が開いて、やっとこちらを見た。
 それが嬉しくてにやりと笑うと、拗ねたように唇を尖らせる。
 しかも、可愛くねーセリフ付きで。
 「なんで知ってんだっ。 やっぱりお前が犯人かー!!」
 「きゃー!!!」
 我慢できなくなって、思わずいろんなところが暴走した。



 目指すは甘く柔らかなその唇。慌てふためく腕の中の獲物を逃がさぬようゆっくりと口付けた。
 「んっ… ふ、 あ」
 重ねた唇の角度を変えるとため息のような吐息が漏れる。
 触れたくてしょうがなかったの柔らかい唇は離れがたく何度もついばんで奥に縮こまった舌に自分のそれを絡めた。
 「ふっ く…ん」
 「
 「や、銀ッ…」
 「諦めて俺に帯を解かせろや」
 フルリと震えながらもまだ理性を捨てられないのか、帯締めを引っ張る俺の指に、束縛から逃れたの手が触れる。
 「だって… こ んな、昼間から…」
 口づけのせいか、ほんのり染まった頬。
 そのうえ濡れた瞳で見つめられれば、暴走は収まるはずもない。
 「たまには良いじゃねえか、暫く誰も来やしねえよ…」
 耳元で囁いてねっとりと舐め上げた。
 「んんっ、…アッ!」
 びくりと震える身体を、自由にできるのは俺だけの筈なのに、独占欲は留まる事を知らないかのように沸き上がり続ける。
 反り返った背中を支え、ゆっくりとソファに押し倒しまた唇を奪った。
 「ふう、んんんっ、く…」
 「ッ…」
 緩めた帯を取り去って、着物を脱がす。
 少しずつ露になるその身体に早く触れたくて、襦袢の上から乳房に噛み付いた。
 「ふ …んっ」
 耐える様な吐息で顎が上がるとその喉元に舌を這わす。
 襦袢の胸元を引いて肩から下し、そのまま唇をずらして胸の谷間に跡をつけた。
 「やああ…」
 弱い抵抗を繰り返すがソファから落ちないようにと淵に置いていた手で、その細い手首を押さえつけ、もう一度胸へ顔を埋める。
 ピンと立ち上がった突起を舌で転がして吸い上げるとまた声が上がった。
 「あ! ん、やあっ」
 その声が俺を惑わす。
 熱くなる身体を持て余して合わせ目から手を入れると、柔らかな内股を撫で上げた。
 「たまんねえな…」
 「ひ、あっ」
 胸にしゃぶり付いたままで呟くと、感じるのか、びくりと身体が反り返る。

 足りない。

 頭の中で鳴り響く本能が、先を要求する。
 しっとりと汗ばんだ肌を辿っていた指をその奥へと忍ばせた。
 「っぎ…!」
 とっさに閉じようとした足は間にある俺の身体に阻まれ、自由に動く片手が代わりに、俺の肩を押し返す。吃驚するほど弱々しい力で。
 「アレー? ちゃんてば ココ、もう濡れ濡れじゃないですかー」
 「…ッ!」
 にやりと笑い、下着の上からなぞるとぬるりと布地の下の肌が滑る。
 明らかに湿り気を帯びた其処を幾度も擦るように刺激すると、ぷくりと固く尖るの快感を煽る場所に当たるらしく震えが大きくなった。
 「あっ、ああっ …やああっ」
 上がり続ける悲鳴の様な鳴き声を聞きながら下着を取り去ると待ちかねたように腰がくねる。
 思わずごくりと喉が鳴った
 誘われるまま蜜の溢れる其処に指を埋め込めばクチュリといやらしい音が鳴った。
 「すげえドロドロだなァ」
 「ぎんっ…」
 抜き差しを繰り返し、熱い内壁を擦る。
 「ふ…う …ん、あ」
 しゃぶっていた胸を離して顔を覗き込めば快感のせいと思われる涙が上気する頬を伝っていた。
 普段ならなるべく流させたくないその涙も、今はいくらでも溢れさせたくてしょうがない。
 好きで好きでしょうがなくて、気が狂いそうだ。なんて、 お前はちっとも知らねえんだろうな。
 掴んでいた手首を離して袖を探っていると、せっかく束縛から逃れたのに、震える指が嫌がるように追ってくる。
 「ちょっと待ってろ。付けねえままで入れるわけにはいかねーだろうが」
 「ぎん…と、き…」
 とっくに臨戦態勢で急かされてんだ。
 独り言のように呟き、熱に浮かされたように見上げてくる潤んだ瞳を覗き込みながら、準備が整った其れを散々指で慣らしたの其処にあてがいゆっくりと腰を押し進める。
 「…ヒ、あああっ! …ん、う」
 途端に上がる悲鳴すら奪いたくて、唇を合わせて離していたの手を再び掴む。
 今度は指を絡めて…。










 ようやく荒い呼吸が治まりソファに座る俺の膝の上にを乗せて、そっと、その小さな身体を包み込んだ。
 俺の着物を羽織って腕の中見上げて来る女がキスを強請った。
 「…ぎん」
 「お望みのままに」
 お前が欲しがるなら、いくらでもくれてやる。
 にやりと笑って、覆いかぶせるように身体に似合いの小さな唇を何度もついばむ。

 「あ!」
 だが、そんな時間も長くは続かず、暫く余韻に浸って俺の腕の中で大人しくしていたは、ふと時計を見ると慌てて起き上がり身支度を始めた。
 確かに、神楽がそろそろ帰って来る時間(夕飯時)だ。
 「…」
 しかし、ぽっかり開いてしまった腕の中の空間が悔しくて、忙しなく動く小さな身体を引き戻そうと手を伸ばすと、反対に腕を取られ引っ張られ立たされる。
 「ちょ、銀。ここ持ってて?」
 「…へいへい」
 襦袢を着直し羽織った着物と合わせた後ろの中心を持たされ、動く事も出来ず黙って突っ立っていると、意識しなくともその背中が覗ける。
 ちらりと見える項に身体の熱が一気に上がって、思わずごくりと喉が鳴る。
 「って、山賊かお前はー!!!」
 「そりゃ こっちの台詞よッ!!」
 もう一度行為に及ぼうとの細い手首を掴んだが、その手の甲を力一杯摘まれあえなく撃沈した。
 「ってー!」
 「もう、一体なんなのよ…」
 ため息をつくその表情すら眼を奪われる。
 やっと解放されて力無くソファへ座り込むと、ため息まじりに言葉を吐き出した。
 「がいろいろ奪っていくからだろうが」
 「…この状況からいくと、いろいろ奪われてるのは私のほうなんですけど?」
 帯を締めていたは侵害とばかり、くるりと振り返って俺を睨みつけてくる。
 「…だから オメーそれはアレだ。いろいろ吸ってみたら奪い返せるかなーと…ぐっ」
 しどろもどろに呟くと今度はティッシュの箱が飛んで来て額にヒットした。
 てか、この際それはもうイイ。奪われたもんは全部 、お前にくれてやる。
 だからこの空っぽになった処をお前で満たしてくれ。
 ……なんて口が裂けても言えるか。
 「だから、何を?」
 「…いろいろ?」
 「何を奪ったっていうのよ」
 しつけーなァ。 言っちまったら最後、俺がお前にメロメロだってわかっちまうじゃねえか!
 それこそ言えねえ。
 「バッ! オメーそんなの口に出せるか!」
 「はあ?」
 「全く恥ずかしい女だ…」
 ごろりとソファに横になったは良いが、とんでもないツラしてる気がして眼を合わせられない。
 「もう、なんだってのよ…」
 一方的に会話を終わらせた俺に呆れながら着付けの終わったは、髪の毛を軽く結い始める。
 露になる項に、自分のつけた跡を見つけ、ほんの僅か胸の中が満たされる様な感覚に口の端が上がった。
 減っちまったもんは、こうして少しずつ補充してくしかないらしい。

 ふと、こちらを見たと目が合う。
 「…なに?」
 「…」
 ヤバい、見てるの気づかれた。
 「銀?」
 「…なんでもねー」
 あわてて視線をそらした俺をは暫く黙って見ていたが、不意に何か思いついたようにこちらへ近づいてきた。
 「ねえ」
 「んだよ」
 「それ、私が持ってるの?」
 「ハア?」
 それからソファの横に立つと、なんだか意味深な事を聞いてくる。
 「だから、 …奪われちゃったもの」
 「…お前が山賊のように無理矢理強奪したんだからそうだろうが」
 「…」
 「なんだよ」
 「ふーん」
 「なに一人で納得してんだ。 返す気になったか?」
 ちらりと見上げると、何か考えるように眼を伏せている
 なげー睫毛。その一本でも良いからくれよ。
 「…」
 「?」
 「嫌!」
 「アン?」
 きっぱりと言い切ったその意味を理解できず聞き返せば、かすかに痛む俺の額に、は止めとばかり軽く唇を押しあて、その言葉を放った。

 「絶対返さない」

 そう言って、えらく綺麗な顔で笑う女。
 「!?」
 そして、その笑顔にまた眼を奪われる俺を置いて山賊は台所に消えてしまった。

 やっぱり、今夜も補充が必要だ…。

















 防弾ガラスでも飴細工でもなんでもかまわない。
 形は歪だけれどダイアモンドより固くて透明な貴方のそれが、私の手元にあるというのなら、これ以上の幸せなんてない。



2006.11.16 ECLIPSE






アトガキ

大好きな人がそんなふうに言ってくれたら、嬉しいじゃない。絶対返したくないですよね?
ってのを銀さん視点で書いて本気で玉砕しました。
さん視点じゃなく銀さんってのが、ミソ。ぐるぐる回る銀さんの胸の内をさんに知って欲しかったの!
でも、わかりずらいなあ。最後だけ、さんの気持ちを入れてみました。
…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。どうしても書きたかったんだよー(泣)すいません。ホント。お目汚しで。
イヤね、連載のほうがまだくっつかないもんだから、大っぴらにいちゃいちゃ出来ないじゃないですか!
どうしようかすごく迷ったんですが、取り合えず弾けてみました(アキラ其れはどうだろう…。)
苦手な方いらしたら、ホントすいませんです。
バッチこーい!な方いらしたら、エロ上等。と拍手にでも入れて下さい。喜んでまたやらかします。
てか、18禁で良かったですかね?
健全なお嬢さん方はけして読まないでくださいね!って、ココに書いても…(汗)