作用による分類

ドラッグが気持ちに作用するのも脳の働きに何らかの影響を及ぼすからなのであるが、その部位や性質によって作用が違ってくる。ここでは抑制するもの(ダウナー)/興奮させるもの(アッパー)/幻覚をおこすもの(サイケデリック)の大きく3つに分けて紹介しよう。


1抑制するもの(ダウナー)
代表的な物:酒・睡眠薬・精神安定剤・モルヒネ・大麻・阿片・ヘロインなど


中枢神経の働きを抑制する働きがある。摂取量によって眠くなったり、身体が重くなったりする。陽気になることが多い。痛みや苦痛を和らげる作用もある。

[酒(アルコール)]
 糖類を発酵させて作られる。元々溶媒なので即時脳へ作用する。いわゆるアルコール文化圏で一番メジャーなドラッグ。酩酊感を楽しむ為に用いられる。日本では年齢制限付き合法
 信じられないかもしれないが、酒は習慣性毒性とも他を抜きんでており(煙草ほどでもないが)中毒に陥り易くそのもたらす影響は悪しきものである事が多い。急性中毒に陥ると重要な中枢を抑制するため死に至る事がある。

[大麻(マリファナ・ハシシ)]
 麻の葉を乾燥させて作られる。主に喫煙で摂ることが多いが、食する場合もある。いわゆるマリファナ文化圏で一番メジャーなドラッグ。酩酊感を楽しむ為に用いられる。日本では非合法
 習慣性/毒性共に皆無という珍しいドラッグ。作用中の人は極めて温和になり酒と違って争うような事が無いのでピースドラッグとも言われる。この事から体制サイドにとっていささか都合が悪いドラッグである。日本のルーツと言われる伊勢神宮のシンボルになっているほか、お盆に焚く麻柄も大麻の茎である事はあまり知られていない。第二次大戦敗戦時GHQにより規制されるまでは合法だった。

[阿片・モルヒネ・ヘロイン]芥子の果皮の汁から作られる。モルヒネは阿片から精製された物で主に医療用鎮痛剤として用いられる。ヘロインはモルヒネの誘導体でイギリスなどでは合法薬物らしい。日本では非合法(モルヒネのみ医療用として許可されている)
 習慣性/毒性共に酒と大差なく煙草より穏やかである。が、ヘロイン,モルヒネを静脈注射した場合は精神的な依存に陥りやすく注意が必要である上深刻な状態を生みかねないのでお勧めはしない。身体的ダメージは酒と同程度だと思われるがアンダーグラウンドで流通しているヘロインは不純物が多く危険な事がある。
 もし、これらを摂る場合には飲食で摂る事がベストである。強烈なラッシュはないが依存に陥る心配が若干減る。


2興奮させるもの(アッパー)
代表的な物:煙草、コーヒー、ラッシュ、覚醒剤、コカインなど


中枢神経を興奮させるする働きがある。眠気をさましたり、意識レベルをあげたりする。

[煙草(ニコチン)]
 煙草の葉を乾燥して作られる。主に喫煙で用いるが嗅煙草や噛み煙草のように粘膜から吸収させる用い方もある。日本では年齢制限付き合法
 他のドラッグに見られない強力な習慣性,中毒性,耐性の上昇,毒性を持つ。特に紙巻き煙草のそれは顕著である。 ニコチンの毒性はヘロインの100倍とも言われている。

[コーヒー(カフェイン)]
 コーヒーの実から抽出される。強い覚醒作用を持つ。飲用で用いる。世界のかなり広範囲で(日本でも)合法
 本来強力な覚醒作用と習慣性があるのであるが、あまりにも当たり前にある事と耐性を形成する時間がすごく早いので作用に不感症になってる人の方が多い。他のドラッグに比べてもかなり高い作用レベルである。

[ラッシュ(亜硝酸ブチル)][キックス(亜硝酸アミル)]
純然たる合成物。元々は冠状動脈疾患患者の為の医薬品。中枢へ作用する訳ではないのでドラッグやアッパーとは言い難いが二次作用によりラッシュをもたらすのでここに分類した。日本では合法(医薬品/香として)
 習慣性は無いが、耐性の上昇は早い。毒性はないが、液体成分は劇物なので目に入ると危険である。蒸気を吸引すると動脈を押し広げ、血圧が極端に低下するためめまいや立ちくらみ状のラッシュがおこり、反射として鼓動が早くなる。作用時間は短いが独特の物があり特にオーガズムを増強する。

[覚醒剤(スピード)]
 はじめドイツで合成されたアンフェタミンが最初。類似物質のメタンフェタミンも同様な作用をもつ。日本で言うシャブは主にそれらの前駆物質エフェドリンから作られている。日本では医薬品としてのみ合法
 習慣性、毒性とも酒より低いがコカインより毒性がある。脳内麻薬として有名なアドレナリンと同様の作用をもつ。字のとおり覚醒を主な目的としているが、摂取時に若干の多幸感がある。人間やめますかってほど快感は無いが耐性の上昇が早いのと法による取り締まりが原因でアンダーグラウンドとの接触が必要な事と異常な高値等により社会性を損なう危険がある。

[コカイン、クラック]
 コカの葉からの抽出物。現地の人は葉を噛んで摂取する。主に鼻粘膜から吸収する方法をとる事が多い。短時間の多幸感とラッシュをもたらす。日本では非合法。
 習慣性毒性ともそんなに強くないが、作用が切れる時に不快感があるので過剰摂取してしまう事が多い。アンダーグラウンドでの価格が高すぎて代用として覚醒剤へ転向する場合が多い。


3幻覚をおこすもの(サイケデリック)
代表的な物:LSD,マジックマッシュルーム,ベニテングダケ,Xフォリア,2CB


幻覚を得る事ができる。その程度は様々だが視覚へ影響を与える物が多い。輪郭がにじむ程度からあたりがモザイクになるレベルまで様々である。

[LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)]
 ある主の菌類から合成された。主に溶液を浸した紙片を口中に置き粘膜から吸収する。強い幻覚作用をもつ。日本では非合法。
 身体的依存は確認されていない。日本における麻薬のイメージの半分はLSDからの切り張りである。良くも悪くも感情を増幅させるので、落ち込んでいるときなどに服用すると強力なバッドトリップをもたらす危険がある。ごく少量で長時間(12時間くらい)効きっぱなしになるので時間の余裕がなければやめたほうがよい。バッドトリップしたときの為に素面のパートナーが必要である。

[マジックマッシュルーム(サイロシビン)]
 バリ島で有名な幻覚きのこ。LSDとにたような作用だが、バッドトリップに至りにくい。主に食用。該当法規が無く全くの合法。食品衛生法により食用としての販売は不可と思われる。現在乾燥させた物が出回っている。
 あまりおいしくないのでオムレツで食べると比較的食べやすい。いずれにしても量が難しく経験者と一緒が望ましい。

[ベニテングダケ]
図鑑の表紙などで有名。国産最高の幻覚きのこ。当然合法
 習慣性はないが、若干の毒性があるので嘔吐、下痢等の不快な症状がおこる事がある。毒キノコとして有名なほどの毒性はない。マジックマッシュルームやLSDとは違う飛び方をする。長野県の一部で食用の習慣がある。似た外観で毒性の強いキノコもあるので採取には注意が必要。

[Xフォリア]
南米のアマゾン流域の生薬でシダ系の植物を乾燥させた物。宗教儀式などに用いられており。主に喫煙で摂取する。
 習慣性毒性共になく。効きもマイルド。他のサイケデリクスより安心して利用できる。日本ではお香として販売されている。視覚的効果が主であるが、バッドトリップはほとんど無い。

[2CB(4-bromo-2,5-dimethocyphenethlamine)]
米科学者A.シュルギンによって開発されたケミカルドラッグ。2mmくらいの白い錠剤で経口で服用する。作用はライトなLSDといった感じで共感覚をもたらす。トリップ時間と程度をコントロールできるので便利。極端なバッドトリップはしない(せいぜい吐き気がするぐらい、トークダウンで回避できる。)日本では平成10年7月12日より非合法に。PCP,MDMAを含んだニセモノが出回っているようなので注意が必要。