『 立場逆転 』
「ー、お腹空いたーよ」
情けない声でキッチンに入ってきたのは、お風呂から上がってきたほかほかのカカシ。
腰巻バスタオル一枚の姿で、わしゃわしゃと頭を拭いている。
「はいはい。今、作ってますから」
ここで、その姿に突っ込みを入れようものなら、あっという間にベッドに持ち込まれてしまうので。
ひとまずスルー。
「ちがーうよー」
案の定、後ろからピタリとくっついてきたカカシに、肘鉄を食らわせようとするけれど
あっさりと避けられ、逆に手首を掴まえられてしまう。
「俺が食べたいのは、v」
私の耳の後ろに鼻を寄せて、くんくんなどと言う。
ほんとにこいつは…。
「私なんか食べても、美味しくなんかない!!」
鍋を混ぜていたお玉を手に、振り返って厳しくビシッと言い放ったつもりなのだけれど。
にやー、と笑うカカシと目が合い。
嫌な予感…。
「は最高に美味しいんだーよ?」
むふふふふふ、と笑うカカシの目は、俗に言うエロ目ってやつ。
「仕方ないなぁ。にだけ特別に、教えてあげようかね」
渋々といった言葉とは真逆な、ウキウキとした態度で。
私を挟むようにシンクに手をついて、その檻の中に閉じ込める。
ふわりと、石鹸の香りがして。
拭き残しの雫がカカシの肌を伝うのを、目が勝手に追う。
いかんいかんいかん!明日は半期に一度の大バーゲン初日!流されちゃいかん!!
「教えてくれなくて結構!」
この檻から逃れるべく、瞬身の術を使おうと印を素早く結ぶけれど。
惜しいところで、カカシに手を取られて邪魔される。
それぞれの手が、シンクに縫いとめられて。
再びその檻に、囚われる。
「ダメダメ。がどれだけ美味しいのか、ちゃんと自覚してもらわなきゃね」
小首をかしげて同意を求めてこられても、困るっての!
私は殺気を込めて睨み上げるけれど。
カカシは涼しい顔をして、唇を寄せてくる。
キスなんぞされてたまるかと、顔を背けると。
「ふぅん…、ま、いいよ?こちらを頂くからね」
その言葉に、しまったと思った時には、すでに遅く。
「んぁッ」
私の耳たぶが、その薄い唇に食されていた。
「の耳たぶはね、はんぺんみたいに柔らかくって、弾力あって」
「はんぺん…って、色気な…い…」
「それでいて、すっごく感じやすいんだよねぇ」
耳元でくすくすと笑うのは、絶対わざとだ。
カカシの声を含んだ息が、かかるだけで、腰にクる。
「俺ね、はんぺん大好きだーよ?も大好きだよね」
「勝手に…決めつけないで、よ…ッ」
はんぺんが好きか嫌いかと言えば、普通…といった程度なのだから。
「だってほら…」
唇で挟んだ耳たぶの先を、カカシの舌がチロチロと舐め、這い、耳の穴まで侵食し。
耳から脳へ響き渡る、くちゅ、くちゃ、という音が、私の性を刺激する。
「あんッ、ぅんッ」
「こんなにビクビクして…大好きな証拠だよね」
そっちかい!と、突っ込みたいけれど、今言葉を発したら全て喘ぎになってしまいそうで。
必死で唇を噛む。
「ほらほら…、自分で食べちゃわないで、俺にも食べさせてよ」
何を?と問う前に、カカシの舌が私の唇をねろりと舐め、隙間から入り込み。
その舌を噛んでやろうかと思っていると、逆に私の舌が引き出されて、甘く噛まれてしまう。
舌先を舌先で擦られて。
「んんッ」
痺れるような甘さが、どんどんと理性的な私を追いやっていく。
「の唇は、グミで…」
ちゅ、ちゅ、と触れては離れるキスを繰り返し、
「舌は、厚くスライスしたイチゴかな」
どっちも、あんたの嫌いな甘いもんじゃんか!という突っ込みは、視線で伝わったらしい。
「はね、俺が唯一食べられる甘い物だよ」
もう…。何を言っても無駄なのだと悟る。
いや、そんな事はとっくの昔に解ってたけどさ。
私の手からお玉が落ちて、床とぶつかりカランカランと音を立てる。
それが、合図となった。
恐ろしい速さで脱がされた服。
私を覆う布は、お尻を覆う小さな下着と、そして。
「カカシのエロ」
うなじと腰、その2ヵ所で結ばれたエプロンのみ。
「これはね、を美味しく頂くスパイスなのだよ」
ふふふ、男の浪漫だーね。と言われても、女の私にはさっぱり解らない。
首をかしげていると。
「にもその意味が、すぐに解るーよ」
「ぁん」
空気に晒された脇から腰のラインを撫でられるだけで、痺れるような快感が走る。
そんな体にしたのは、他でもないこいつ。
カカシじゃなきゃもう、満足できない体にされてしまった。
「おっと、鍋吹きそうだよ。」
カカシが止めてくれればいいのにと愚痴りながら、慌ててコンロに手を伸ばして火を止めると。
待ってましたとばかりに、私の背中にカカシの胸が密着してきて。
「あッ、んッ」
両側から回されてきた手が、エプロンごしに私の乳首を摘んでくる。
私はシンクの淵に手をついて、快感に負けて座り込んでしまわないように、体を支えた。
「ここはね、ブドウの実で」
広げられた手の平が、ふわりと胸全体を覆い。
「ここは、白桃かな」
「もぅ…ッ、例えはいい…ッ」
いつもと違う、布越しの愛撫。
もどかしい、けれど直接触れられるよりも、感じてしまう。
「スパイスの意味、解った?」
横から覗き込んできたカカシに、こくこくと首を振って肯定を示してみせると。
カカシは嬉しそうに笑い、
「ごーかっく」
とびきり甘い声で囁き、私の耳の後ろを舐めた。
そんな間も、カカシの手はしっかりと働き。
今も、エプロンと私の乳首を、撫で、擦り合わせ、摘む。
擦れる感じがたまらなく良くて。
私の腰は、幾度もゆれた。
バスタオルを押し上げたカカシの熱が、先程から私の下着に押し付けられているから。
腰が揺れる事で、そこも軽く擦れて快感を生む。
もっと欲しくて、また腰を揺らした。
「、ぐっしょりだよ?シロップたーくさん」
瞬間離れたカカシが、戻ってきた時には。
「あぁんッ」
バスタオルの厚みが無くなっていた。
薄い下着に押し付けられるカカシの先端が、すり、すり、と布を前後に滑る。
「これはどう考えても、俺のじゃないよねー」
楽しそうに、すりすりを繰り返すカカシの熱。
カカシだって、充分先走りに濡れてるくせにと、言い返してやりたくてその熱に手を伸ばすと。
先端を確かめる前に、ひょいと腰が引かれて。
私の指先は、自身の濡れを確かめる破目になった。
「あ…」
ほんとに。
とろとろになってた。
内側から溢れる蜜は、下着はおろか、内腿までを濡らして。
けれど。
私から溢れた蜜だけじゃないと、下着の表面についたねばりで知る。
そのねばりにもっと触れたくて、指を滑らせていると。
「こーら」
カカシに捕らえられた手が、シンクまで戻ってきた。
指先が、てらてらと光っている。
「俺が居るのに自分でしたら駄目でしょー?」
「ちが…ッ」
「あぁ、でも。の一人えっち見て見たいねー?」
「しないからッ」
「でも今は、俺の相手してよね」
「しないったら!あんッ」
人の話を聞け!と、振り返って抗議しようとした瞬間に。
カカシの片手が、エプロンの裾を捲くって下着に触れてきた。
あっさりと見つかった、敏感な先端。
「ひよこ豆ちゃん見ーつけた」
きゅ、と摘まれた後、親指の腹がくり、と押しつぶして。
「そんな、い…ぁんッ」
それだけでイキそうになっていると言うのに。
下着との摩擦を楽しんでいたカカシの先端が、蜜を溢れさせるそこに狙いをつけて。
布ごと入り込もうと、力を込めてくる。
実際に、少し入り込んできて。
布と淵が擦れるのがたまらない。
「カ…カシ、ねぇ…ん…ぁ」
「なぁに?」
解っていてはぐらかすのがムカツクけど。
今すぐ…欲しいの。
「欲し…、カカシの…バ、ナ…あんんッ」
カカシの指先が、素早く下着の淵を摘んで。
その隙間から入り込んだカカシの先端が、私の蜜をまとって最奥を突く。
「そんなのと一緒にしないでちょーだい…よッ」
ゆるゆると引き抜かれていく熱が、言葉尻に合わせてまた奥へ辿りつき。
私はその度に突き抜ける快感に、背を反らせた。
「じゃ…ぁん、ほかに、ぅぅんッ、いいたとえが、ッ、あるの…?」
「自分のなんて、んッ、考えたこと、なーいよ…ッ」
カカシの余裕が、時折途切れて。
垣間見える言葉の乱れが、私を良い気分にさせる。
「なら、バナ…ナぁんッ、で、い…じゃない」
「もー、こっちに集中しな…さいって」
「ッぁ、あん、ん、んッ」
腰を掴んだカカシが、小刻みな入出を繰り返して。
上をしっかりと向いた先端が、内壁を擦り上げる。
それももちろん、気持ちいいのだけれど。
「んぁ、んッ、ちょ、まって、カカシ…」
ちょっと物足りないのは、深く深く繋がれない所為。
「ベッド…いこ…」
「なーに、?物足りなかった?」
「ばか…」
深く繋がる事を、私が好むのを知っているくせに。
カカシはこうやって、私を煽って楽しむ。
「ぅん…ッ…ん…」
抜け落ちる最後の最後まで、私を刺激してやまない熱が離れて。
僅かな喪失感。
それが、表情に出ていたのかもしれない。
カカシは、抱きしめてくれた。
肌と肌を触れ合わせるのが、一番好き。
「よっと」
「わぁッ」
私の両脇に、カカシの手がすっと入ったかと思ったら。
ひょいと持ち上げられて。
濡れた下着が床に落とされる。
小さい子がお母さんに抱っこされるような形で、抱き上げられて。
私はバランスを取ろうと、カカシにしがみつき、足をその腰に絡めた。
「うそ、やッ…ああんッ」
カカシは抱きつく私の体を少し下にずらして。
入ってきた…。
そして、そのまま歩き出す。
「あ、ぅんッ、んんッ」
「ど?」
「きくなッ…あぁんッ」
カカシの右足が、左足が、前に出ては下がる度に。
体が少し離れては、僅かな勢いをつけて戻り。
キツイ角度、初めての体位に。
「はぅんッ、んんんッ」
声が止まらない。
「よいしょっと」
「あぁんッ」
カカシがベッドに座る時の衝撃で、深く繋がって。
「お待たせ」
奥をノックするようにカカシの腰が動いた。
もう、限界に近かった私は、羞恥とかそっちのけ。
「い〜眺め」
これだけ激しく腰を突きあげてる癖に、首から上は涼しい顔のカカシは。
ほんとに憎たらしいやつ。
「の中は、つぶつぶみかんゼリーかな」
「まだ言って、る…あ、あ、ああんッ」
カカシの先端と奥が幾度も衝突して。
限界の近かった私は、あっさりと果ててしまう。
最奥のダムが決壊したみたいに蜜が溢れて、結合部がしとどに濡れた。
天井を仰いで、快感の名残をやりすごしていると。
「気持ちよかったねー」
まるで子どもに同意を求めるような言いぐさ。
この温度差はなんだろうね、まったく。
キッチンでしてた時は、僅かだけど口調が乱れてたのに。
スマートで格好いいカカシも好きよ。
でも。
それは普段のカカシ。いつでも会える。
今日は…乱れたカカシに会いたい。
快感に眉根を寄せて、切なそうに私を見上げてきて。
お願い、なんて言われたらたまらないだろう。
「あん…」
想像しただけで、ゾクゾクした。
下唇を舐めて、射るようにカカシを見下ろす。
きょとんとしてこちらを見上げてくるカカシに、なるべく妖艶に見えるように微笑んで。
繋がったまま、体を前に倒してそっとキスをする。
額に、目蓋に、頬に。
唇は、触れるだけで離れて。
口内に唾液をためながら、唇を耳元へ向けて滑らせていく。
その動きに合わせて、カカシの腹筋に置いた手を、上に滑らせる。
指先で、筋肉のラインを撫で、指の腹で、つんとした乳首を感じて。
鎖骨の溝をなぞり、顎のラインを通って首筋、そして髪にたどり着き。
これからの行為から、逃げられないよう、こっそりと頭をホールドした。
「カカシ…」
吐息交じりに囁くと、私の中でカカシがピクと反応した。
口内にためた唾液に、舌を絡め、滑らせて。
それによって生み出される水音を聞かせながら、腰をスライドさせる。
「うあ…ちょ…ッ」
結合部が生み出す卑猥な音が、耳元で聞こえる。
そんな錯覚をしてくれれば、しめたものだ。
「ぁん、あ、いい…カカシ、いいよ…ぉ…」
いつもより甘めの口調で、情欲を送り込んで。
ついでに舌も、滑り込ませる。
「く…ぅ、…ッ」
カカシの熱は、あっという間に硬度を増して。
欲しがるように、ピクピクとしているのが感じ取れる。
かわい…。
カカシ本人とは違い、素直にアピールしてくる熱が可愛くてたまらない。
唇で愛してあげたいけれど。
今は私の蜜まみれだしね…それはまた今度…。
「は…ぁん、すき…カカシ…カカシ…ぃ…」
カカシを煽ろうと、滅多に言わない好きを口にしていたら。
だんだん、演技なのか本気なのか、解らなくなってくる。
果てた直後の、痺れたようなくすぐったいような、気だるい感じはとうに去っていた。
「ッ、く…ごめんッ」
切羽詰った声とともに、私のお尻をガシリと掴んだ大きな手。
激しい突き上げをするのに、私の体が弾みすぎないようにしたのだと理解して。
とっさに体を起こす。
下腹に力を込めて、カカシの腰を抑えこんだ。
「ッ」
恨めしげに見上げてくる目が、快感で。
涼しさとは程遠い、欲にまみれた表情と額を伝う汗が、たまらなく色っぽく見える。
見せ付けるように、わざとゆっくり。
腰の位置にあるエプロンの紐を、解き。
うなじの位置にある、紐を。
解いた。
眩しげに細められる目を、見つめ返して。
「イキたい…?」
問いかけると、その目は大きく見開かれて。
恥ずかしげにしているように見えるのは、気のせいだろうか?
カカシの腹筋にはらりと落ちたエプロンを、ベッドの下に落として。
腹筋に両手の平をあてて、くいと腰を動かす。
「…ッ…」
それだけで、表情をゆがめるカカシが。
愛しくてならない。
立場逆転。
カカシが私を煽る気持ちが、よく解った。
「ど?」
「聞かな…いで、よね…」
立場を入れ替えての、同じ問答。
このシチュエーション。
たまらなくいいね…。
答えるまでは開放されないと悟ったカカシが、小さく頷くのを見たけれど。
「それじゃ解らないよカカシ…。どうしたいの?ねぇ…」
カカシの熱が爆発しない程度に刺激を与えながら、その表情の少しも逃さないように見つめて。
乾いた唇を、また舐める。
「…」
「なぁに?」
「お願い…」
聞きたかったその台詞を、望んだ表情で言われて。
脳内麻薬が一気に分泌されたように、体中が痺れた。
くらくらするほどの快感に、一瞬現実を忘れ、戻ってきたら。
「責任とってよね?」
何故か、カカシが上に居た。
「え?ええ!?」
いつの間に入れ替えられていたのだろうと、考える暇も無く。
激しく打ち付けられる腰。
呼吸が乱れて、息苦しくても。
離してくれない唇。
体の奥で、カカシの熱が弾けるのを幾度感じただろう。
「あッ、あああッ。も、むりカカシッ!」
獣のように荒く繰り返される呼吸と、時折のうめき声。
言葉を発しない代わりに、カカシは全身で私を求めて。
離さないと、その全てが物語っていた。
翌朝、私は見事に寝坊をし。
足腰立たなくて、バーゲンに行く事すら出来なかった。
上機嫌のカカシが作ってくれたランチを、不機嫌にもさもさと食べていると。
「ってSだよねー。俺びっくりしちゃった」
やたら嬉しそうにカカシが語る。
「そう言うあんたは、ドSじゃないの」
ド、に恨みと力を込めて言うけれど。
暖簾に腕押し状態。
「それがねー、俺昨日、目覚めちゃったみたい」
「はぁ!?」
「初めてだよ?リミッター振り切ったの。それもがいじめてくれたお陰だよねv」
なんだろう、その語尾のハートは。
頭いた…。
「だからさ、またいじめてね。ちゃんv」
「二度とするかぁぁぁッ!!!」
私のこの叫びが。
遠く遠く、里の外まで、届いたとか届かないとか。
END
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ぎゃふん orz
カカチンスキー同盟様に参加させて頂きたく、影の参謀智愛様より頂いたお題『騎乗位』にて
エロギャグを書いてみたのですが…。難しい!!落ちすらまともにつけられず、申し訳ありません(^_^;)
こんなんですが、参加の許可頂けるでしょうか??ビクビク。
参謀様!お誘い下さって有難うございましたv
カカチンスキー同盟の皆様、宜しかったらお持ち帰りくださいませm(_ _)m
2007.02.19 YS