ＬＩＦＥ　４
比翼連理
〜連理之枝〜byかえで(カカシサイド)／〜比翼之鳥〜by天道ユエ(ヒロインサイド)





この繋がりを大切に、そして守り抜こう。


改めて、誓った日。





〜連理之枝〜
カカシサイド




自分から、忍を引いたら、何が残るのか。

答えは白。

何も残らない。


人々の記憶、生きた痕跡。
全て、忍としての自分。



こんな事、掘り下げて、考えた事は無い。

考えるまでもなく、感じていた事だった。




充実感を任務で満たして。

過酷な任務に忙しい日々ですり替えて。



任務の詳細な記憶はあっても、自分が居ない。

一体自分は何をしてきたのか。

どれも死んだ記憶ばかり。

灰色の記憶。


振り返っても何もないから、前だけを見て走り続けて。
先があるのか、無いのかも分からずに。



ただオレは……

同じ所をぐるぐると廻って居ただけなのかもしれない。









と出会って、光が差し込んだ。


まるで、深い夜の森に陽が昇るように。


赤、青、黄色。
色付いて来る風景、自分の魂。





暖かく満ちて、鳥達がさえずり羽ばたくように。

遥菜を腕に抱いたあの日に生まれた翼。

生まれたての翼は、脆く柔らかいけれど、今は二人を、

そして新たな命を守る強さを手に入れた。



それは皆、がくれた、教えてくれた事。






自分から忍を引いたら何が残るのか。


今の答えは白じゃない。





オレは、此処で生きている。




これからも、よろしく　…………。




連理之枝（れんりのえだ）…二本の木が枝でつながっていること。深い愛情で結ばれた男女。
2007/12/29　かえで





〜比翼之鳥〜
ヒロインサイド


私の人生は、終わった。


生きる目的も楽しみも全て根こそぎ奪い取られた。


そう思った。

あの人を失ったあの日に。





ご飯も喉を通らず、あの人の元へ行きたいとそればかり考えていた。

体がだるく寝てばかりの日々が続いたある日、お腹がピクと動いた。




あの人の生きた証は、私の中にある。


私を必要としてくれる小さな命がここにある。


だったら、もう一度生きよう。この子のために。



そう。私に生きる力をくれたのが、遥菜、あなたなの。




それでも、時折ふっと心の隙間に忍び込むような寂しさはどうしようもなくて。


度々、あの人の写真を眺めては涙をこぼした。





その回数が減ったのはいつからだろう。



悲しみでなく、懐かしさで写真を眺めることができるようになったのは、

もう一度、自分の人生を自分のためにも楽しもうと思えるようになったのは、



カカシが静かに、でも力強く側にいてくれたから。



もう一度、誰かと共に羽ばたく翼をくれたカカシ、あなたに感謝してる。


ありがとう。



比翼之鳥（ひよくのとり）…雌雄それぞれが目と翼を一つずつもち、2羽が常に一体となって飛ぶという、
中国の空想上の鳥。夫婦の仲のよいことにたとえられる。

2007/12/31　天道ユエ


比翼連理・・・比翼の鳥と連理の枝のことで、男女の契りの深いこと。



ＢＧＭ　命の儚さ



ゆえさんとの初コラボになりました。
LIFEシリーズを好きでいてくれて、連理之枝を読んでくれたゆえさんが、
ヒロインサイドを書いてくれたんです。
とってもうれしいよーー！
涙が出ちゃいました、このお話。
ゆえさん、ありがとう！！
BYかえで
2007/12/31