・・想いが重なるときに・・君を抱きしめたい。
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一日の任務を終え、一人帰途に着く・・
日はすっかり暮れ、天には星が輝き始めている。
カカシはその中のひとつの光を見つめた。
消して大きな光ではない、強い輝きでもない。
やわらかく、穏やかで、あたたかい・・そんな光だった。
その光は彼女・・を思い起こさせる。
自分のわがままで傷つけ、遠ざけてしまった大切な女──
だけど、誰より愛している。
今はいない彼女・・
カカシは空に向かって手を伸ばす。
消して掴むことができないその光・・
どんなに触れたいと願っても、触れることが叶わない。
今のカカシとがそうであるように・・
掴むことはできないけれど、優しい光がカカシへ降り注ぐ。
見守るように、慰めるように、慈しむように・・
「ど〜も、切ないねぇ・・・」
伸ばした手を忍服のポケットに突っ込んだ。
のんびりとした歩調で家路につく。
帰っても、カカシを迎える者はいない。
任務で疲れた体をただ休める為だけ。
帰る足も重い。
カカシの足が止まった。
自宅に明かりがともっている?!
カカシの足が次第に速まる。
もしかして・・・
期待に胸が膨らむ。
玄関のノブを握る手が少し震える。
期待して裏切られた、その時の為に心を落ち着ける。
「・・・電気つけたままだったかもしれないしね。」
心にもないことを思ったりして・・
ガチャリ
開いた扉の中、光が溢れる室内──その中心に・・・はいた。
「おかえりなさい、カカシさん。」
先ほど見上げた空の光と同じ、彼女がそこにいた。
「・・・・・」
驚きのあまり、返事ができないカカシをはおかしそうに見つめる。
「もしかして、びっくりしてる?」
は玄関で立ちつくすカカシの側まで来てそっとその頬を手で包む。
「・・ちゃん?」
「つらいことでも思い出していたの?」
とカカシは苦しい時期を乗り越え、最近やっと2人で暮らすようになった為、お互い実感がまだ沸かない。
「私は、ここにカカシさんの側にいるから・・」
離れていた時期を取り戻すようにはカカシをそっと抱きしめる。
「任務で、あと1週間帰ってこないって・・・」
心地よいのぬくもりに身をゆだねながらカカシは尋ねる。
「・・・うん、予定より早く終わったから・・連絡しようと思ったんだけど、驚かそうと思って。」
だめだった?とカカシから身を離して恥ずかしそうに、はにかみながら話す彼女はとても大人の女性とは思えないほど初々しくて可愛らしかった。
「ちが〜うよ。まだもうしばらくちゃんに会えないと思って、切なくなっていたからね・・びっくりしただけ。」
先ほど感じたぬくもりを感じたくてカカシはそっとを抱きしめる。
彼女はもうあの空の星の光じゃない、この腕の中に確かにこうして存在している、家族となるべき大切な人・・
「ただ〜いま、ちゃん」
2人の想いが重なるその時は、ただ彼女を抱きしめよう。
二度と手放さないように、壊れないように、大切に・・
空にはカカシが見つけた暖かい光を放つ青い星・・その隣には同じ大きさの輝きをもった白い星が輝いていた。
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1600Hit記念に作成しました。
御礼フリー夢です。