Feeling



任務が終わって、駆け足で里に帰って。
急ぎ足で報告をして。
今日はもうお休みなのに。
特に約束なんてしてないのに。
私は何処へ行く為に走っているんだろう。

歩けばいいのに。
止まればいいのに。

何もないのに走っている自分が可笑しくなって、忙しなく動く足を止めた。


太陽の位置、星の動き、雲の流れ。
任務遂行の情報として以外に、空を見上げたのは久しぶり。

夕焼けに染まった空には、ピンク色した雲が浮かんでいて。
必ず来る明日は晴れるんだなって思った。

そうしたら不意に、心の中で立ち上がる雨雲。
目に映る鮮やかな雲とは対照的に、どんどん色濃く大きくなっていく。


今ここから突然居なくなったら・・・・・・。
私を探してくれる人は何人いるんだろう。
忍、木の葉隠れの里の上忍、としてじゃなくて、だたの私を。

きっと、あの友達も、優しい先輩も、可愛い後輩も、探してくれるかな…。
想い浮かぶ顔が出て来た私は、幸せなのかもしれない……。


そして、いつも胸にいるあの人は───。

彼は必ず探してくれるから……。


夕空を見上げた頬に大きな雨粒。
夕焼けが映る瞳から溢れた一滴が、私の頬を伝った。
その時に。

「何かあったの?」

感じた気配と、後ろから掛けられた声。
そしてふわりと包まれる優しい腕の感触。

全部知ってる。

だから声を荒げる事もなく、彼に身を任せた。

「カカシ・・・。」
「ん?」
「何でもないの。嘘じゃないよ、ホント。」
「じゃ、なんで泣いてるの?」
「分んない。これといった理由がないの。ただなんとなくね・・・おかしいよね。」
「任務で疲れた?」
「そうなのかな・・・?元気だけど。」

「多分そうだよ。」と呟いたカカシは、私の頭上に唇を落とした。

「増援に派遣されたんでしょ?」
「うん。」
「大活躍だったって聞いた。」
「今回の編成チームが良かったんだよ。カカシの所にも、要請行ったの?」
「そ。念の為の応援部隊としてね。でもすぐに動ける状況じゃなくてね。現地に向かう途中で任務終了の報告を受けた。」
「そうだったんだ。」
達のお蔭で明日は休暇予定です。」

カカシは私の肩に顎を乗せて、抱きしめながら話す。

「それは良かったですね。」

長身のカカシが背中を丸めている姿が可愛くて、彼の横顔を眺め微笑みかけながら言葉を返した。

。もう泣かないの?」
「なんで?」
「涙にはストレスを発散させる役目もあるからね。泣けるんなら泣いた方がスッキリする。」
「カカシって何でも知ってるんだね。」
「何でもじゃないよ?」
「そうかな?」
「だけど、の事は知ってる。寂しがり屋な所も、頑張り屋な所も、優しい所もね。」


さっきまでの、例えようの無い寂しい気持ちが、いつの間にか消えていた。

友に恵まれ、愛する人にも出会えた。

幸せだからこそ、感じた寂しさなのかもしれない。


「カカシ・・・ありがとう・・・・・・。」
「明日は晴れそうだね。たまにはどっか行く?」
「行く!」

明日の予定を立てながらカカシと見上げた空は、今までで一番綺麗だった。



2007/09/03


BGM 懐音シリーズ第3弾「優-ゆう-」


南志緒さんから頂きました、10万打記念リクエスト。

わけもわからなく無性に淋しくなった時。(嫉妬とかそういう類のものでなく)
そんな気持ちになったヒロインが、道の真ん中などで空を見上げて泣いている所を、
カカシに後ろから抱きしめてもらう。
わけもわからなく、がポイント。

えっと・・・そのまんまですね;;
ただ文章に起こしただけともいう・・・・・・;;
【無性に淋しくなった、わけのわからない理由】がお話を書く上でやはり必要だったので、こうなりましたです。
リク主さんは、声に関わる事を・・・なので一人称(ヒロイン)で書いてみました。
合うかな〜と。
どうぞお納め下さい。
お好きに使っていただいてOKです。使えないか・・・・・・(笑)
この度はリクエストありがとうございました。
南志緒さんに捧げます。

かえで