Better Than Chocolate??
(注意:リンアレ/女体化/百合/R18/やまもおちもいみもない)
(閲覧後の苦情にはお応えできかねますので自己防衛よろしくです)
最初に出逢ったとき、マナにすっかり男の子だと思われていた彼女は、“アレン”と云う名前を貰った。生まれてはじめての贈り物は彼女にとって最も幸福で最も大切なものになった。たとえそれが男の子の名前だろうと(死んだ犬の名前だろうと)、彼女は気にもしなかった。放浪生活をするうえでは女の子より男の子だと周囲に思わせていたほうが安全だったし、とくべつ不都合もなかったからだ。マナの愛は疑いようがなかったし。彼女がそういうと、クロス・マリアンは呆れた顔をした。彼女の師は一瞥しただけでアレンの性別を見抜いた唯一の人間だった。それでもクロスは彼女の服装や振舞いを強制的に改めさせようとはしなかった。ただしそれはアレンの意思を尊重したわけでも、こどもとはいえ女性だから遠慮したわけでもなかった。彼女が成長していくにつれて起こるだろうトラブルを正しく予見していたにも関わらず、本人には告げることなく面白がってそのままに放置したのだった。
そんな師のやり方を聞いて、
「りっ、リンクは、僕がきらいなんでしょう...?」
その言葉を聞いたリンクは、怪訝そうに瞬きを繰り返した。「どうして、そんなふうに思うんです?」
だって、とアレンは口籠った。歯切れの悪い口調は普段の彼女らしくなかった。下唇を、なにか耐えるように噛み締める。傷つくからやめなさいとリンクは耳元へ囁き、指を動かした。
震える声が反響して泡と湯のはざまに消えた。漏れ出た自分の声に頬を真っ赤に染めたのはアレンだった。少女から女性へと変わりつつあるほっそりとした肢体は、いまは白い泡にまみれている。小振りの胸の先端を、形の良い、長い指が弄んでいた。
「りん、くぅ...」痛み混じりの刺激にアレンが身を捩る。弓なりにしなる背を後ろから抱き込んで、リンクはアレンの身体に手を這わせ、指を滑らせた。さいしょはふたりでただバスタブの中に入っていた__アレンが望んでリンクを誘ったのだった。ノアとアクマによる本部襲撃で重傷を負ったアレンは、傷のせいで入浴を禁止されていて、しばらくは監視役のリンクに布で身体を拭いてもらっていた。ようやく許可が下り喜んだのはいいが、包帯を外すと筋肉は強張っていて動かしづらかったのだ。どうせ24時間監視の名目でリンクはずっとアレンと入浴を共にしていたし、ついでに洗ってくださいよと頼んだ。バスタブに湯を張って、アレンが好きな香りのバブルを泡立てて、まるで姉妹みたいに湯につかっていた、なのに。
アレンの肌をやさしく洗いながら、リンクは「傷痕が残らなければいいですね」と云った。アレンはイノセンスが宿った左腕と、マナの呪いの傷以外自分の身体に頓着していなかったので、「べつに、痕になっても構わないです。誰も気にしないし」と答えた。どうやら、それがリンクの気に入らなかったらしい__アレンの身体を洗ってくれていた手が少し乱暴さを増し、そして別の意図を持って触れ出した。
「云ってごらんなさい、ウォーカー。わたしが何故きみを嫌っていると思うのですか?」
「だって、こん...な、イジワルするなんて...っ!」
「...そうですね、少し意地悪してるのは認めます」リンクが含み笑う。アレンは目の端に涙を浮かべて、肩越しに振り返ってリンクを見た。やっぱり、と云いたげな視線だ。
かわいらしい勘違いをしてくれる。「きみは、自分自身を粗雑に扱いすぎる。女の子なんだから、もっと...」
「そんなこと云われても、僕わかりません...マナも師匠も教えてくれなかった、もの...」何かを思い出したように、アレンは震えて首を振った。「かっ、神田も、ラビだって、」
あからさまにリンクは渋面になった。「きみ、あの二人と関係があったのですか?」
「か、関係?」「セックスしたんですか、」
今度こそアレンは首筋まで赤くなった。口を閉じたり開けたりを繰り返して、リンクから離れようとする。「答えなさい、ウォーカー。どうなんです?」
「それ、は...監査官として訊いてるの...?リンク...」
「いまはそんなことはどうでもいい。答えなさい、」ぴしりとした口調でリンクは叱りつけるように詰め寄った。狭いバスタブの中では逃げ場もありはしない。なんだかよくわからないが、リンクがものすごく怒っている。嘘を吐くべきなのか、本当のことを素直に云うべきか、アレンは迷った。彼女が逡巡するあいだ、熱い手がしっかりと両腕を掴んで離さない。とうとうアレンは観念して、おそるおそる息を吐いた。じっと見つめていたリンクだから判るくらいのわずかな動きで、アレンは頷いた。
その肯定を受け取ると、リンクは目元を怒りに歪めた。きりり、奥歯が軋る音が微かにアレンの耳にも届いた。ひょっとして教団のルールとして、エクソシスト同士はそういうことをしたらいけないとか、決まりがあったのだろうか。リナリーはそこまで教えてくれなかったな、とアレンは肩を落とした。
沈む顔のアレンをよそに、「それで?」とリンクがまた訊いてきた。「どうでした?」
「どうって...?」アレンはぱっと顔を上げると彼女を見た。リンクはやはり苛立った表情で云った。「感想は?良かった?悪かった?どうなんです、」
アレンは言葉に詰まって、よくわからなかった、と答えた。それがほんとうだった。男の子と触れ合って、ちょっとだけ背伸びをして、師匠が愛人さんたちとしているのと同じことをアレンもしてみたのだけれど、よくわからなかった。好きな人とするものなのはわかる。好きだと云われてキスをされて__からだに触れて。でもそれだけだ。それだけだった。強いて云うなら、
「ちょっと、痛かった、かも...?」
途端に、呆れ果てたというような大きな溜息を目の前でつかれた。リンクの形の良い胸がすこし萎んだ気がするくらいの、盛大な溜息だった。「きみ、それは、ちっとも良くなかったんじゃないですか?」
「そ、そうなのか、な...リンクは、その、あるの?そういう、経験?」
「......わたしが、男を嫌いなの、きみ知っているでしょう」ずいぶんと冷たい声で云われ、アレンはどきっとして肩を竦めた。
「...うん、ごめん。リンク」
「べつに...」謝らなくても良い、ぽつりとリンクは呟いた。どこまでも彼女を呆れさすことしかできないのだと、アレンは悲しい心持ちになった。リンクが意地の悪いことをしてアレンをからかうのも、判る気がした。自分は14番目のノアの嫌疑を掛けられているとはいえ、まだこどもだった。そんなこどもに仕事とはいえ24時間付き合っているのだから、鬱憤も溜まるだろうと。
「リンク!ね、今度は僕がリンクを洗ってあげます。ね?」
「きみは、手を動かすのが辛いとか云ってたくせに...」
「お湯につかったら少しよくなりました!ねぇほら、スポンジで洗うから、背中、」そう云って伸ばした手を、すばやく掴まえて制止したのはリンクだった。なにを、とアレンが問う前に、口が塞がれた。驚いて固まったままの唇をやさしくこじ開けられて、熱い舌が入って来た。裸の腰を掴まれ、バスタブの縁に背を押し付けられる。目を見開いたまま、アレンはリンクの伏せられた睫毛をみつめていた。金色が湿り気を帯び、艶やかに光を弾いていた。なにも考えられない__思考は完璧に停止していて、ふと襲った息苦しさに喉の奥で唸るとリンクが唇を離した。大きくアレンが息を吸う。腰を掴んでいた手が上に滑り、片手で隠れてしまうくらいの乳房を押し潰した。
「な、なに!」
しーっとリンクが囁く。「そのまま、ちからを抜いていなさい。わたしに任せて、ウォーカー」
「リン...っ」下腹に伸ばされたもう片方の手に驚いて、アレンが悲鳴を上げる__へそを撫でられ、足の付け根を滑り、恥骨のかたちを確かめるように一旦指が止まる。
「ウォーカー」耳元へ吹き込まれたのは熱っぽい吐息だった。「きみに、女の快感、教えてあげます」
短い呼吸にせわしなく幼い胸が震えている__アレンは両腕を壁に突いてすすり泣き、むずがるような声を出し、喘いで、リンクに曝け出した身体を震わせた。つんと尖った乳首を摘まれ、揉まれると身体の奥が疼く気がした。リンクはアレンのからだを隅々まで洗い上げると、肌についた泡を、卵の薄皮を剥くように手でそうっとどけていき/温かな水で洗い流し/現れた素肌に口吻けた。それは爪先にまで及び、そしてさいごにアレンの秘部に触れて来た。やめて、とリンクの手を押しやるアレンの抵抗は弱々しく、薄い毛を掻き分けて肌の割れ目にするりと入り込んだ中指を止めることはできなかった。バスルームにはアレンの声が途切れ途切れに反響した。リンクの丁寧な愛撫で熱を孕んだアレンの皮膚は、かつて男に触れられた時よりも熱く、敏感になっていた。じわりと重いような気のするアレンの下腹を、リンクはことさら優しく弄った。襞を開いて内側を撫で上げると、ちいさな突起を探り当ててそっと押し潰した。指を離し、力を加え、指を増やし左右から挟み込んで刺激すると、アレンはさらに身体を震わせ、ちからを失った。
「ウォーカー」名前を呼び、喘ぎ声を零す唇を塞ぐ。「こっちを向いて、」
熱に蕩けた表情のアレンが、バスタブの縁にふらふらと腰を下ろした。リンクは唇から耳、首筋、浮いた鎖骨を甘噛みして乳首を吸った。リンクの胸の先がちょうどアレンの腹部に触れて擦れる。かたくなっているそれに彼女も興奮しているのだとわかって、アレンは少し安心した。自分だけがこんなに、恥ずかしいままなんて耐えられそうになかった。
リンクが床に膝を突く。アレンの喉から漏れる嬌声に応じるよう、舌を肌に這わせつつ、再びそこに触れた。
赤く熟れた粒を舌先で舐めただけでアレンはひときわ高く啼くと、震える指でリンクの両肩をちからいっぱい掴んで縋った。リンクの唇はふわりとアレンの陰核を食み、舌で宥め、吸い上げた。白い太腿がびくびくと痙攣し、リンクは彼女が倒れないよう腰に手を回して支えてやった。アレンは前屈みにリンクにしがみついたまま、声もなく震える。少女の奥から女の匂いがつんと立ち上った。すこしだけ触れたアレンの中は、まだ不十分だった__乾いたままは痛い。同じ性だから分かることだった/女だから気遣えることだった。リンクは焦ることなく愛撫を続けた。アレンの呼吸は乱れ続け、全身を襲う快楽の波に少女はなすすべなく沈んでいった。やがて狭いバスタブの縁に腰掛けたままアレンが達したのが判った。白い肌を薔薇色に染め上げて。乱れて頬に張り付いた白い髪とのコントラストは美しかった。まだ少女の域を出ないほっそりとしてしなやかなからだは、男を知ってはいたが、ほんとうの淫楽はまだ知らなかった。確信を深め、リンクは微かな笑みを浮かべた。ウォーカー、と何度も呼びかけ、汗の滲んだ肌をさする。
「、りん...く、」なにが起きたかわからない、という表情だった。どくどくと鼓動がアレンの薄い胸の下で跳ねているのを見て、リンクは落ち着かせるようにアレンの頬を両手で包みキスをした。
「ベッドに行きますか、ウォーカー...」ぐったりと自分の胸へ倒れ込んできたアレンを受け止めながらリンクが云った。あいまいな肯定の返事があり、リンクはそのままアレンの身体を抱えてバスルームを出た。教団内で新たに与えられたアレンの部屋は、リンクという存在を考慮して少し広めのものだった。アクマの襲撃を受けて潰れた、前の物置部屋のような部屋でリンクは床に布団を敷いて寝起きしていたが、今はベッドがあった。入浴前に整えておいたシーツの上に、バスタオルごとアレンを下ろしてやった。
すこし逆上せていたらしいアレンは、肌に触れる冷たい空気とシーツに ふう と吐息した。潤んだ銀の双眸が切なげにリンクを見上げてくる。唇が誘うように薄く開いて真っ赤な舌をちらつかせた。ほどけかけたリンクの金色の毛先から、はたはたと滴が白い肌の上に降り注いだ。リンクがアレンの口を吸うために上体を折るのと、アレンがリンクの首に腕を回して引き寄せるのはほぼ同時だった。互いにいま求め合っているのだ、という事実が、ふたりを更なる熱へと攫っていく。余すところなく触れ/口付けを交わし/欲を分け合う。くらくらする頭で、アレンはリンクがどうしたら自分のように気持ちよくなってくれるのだろうと必死に考えようとした。リンクが触れた手つきを思い出し、拙いながらも真似てみた。彼女はすぐにアレンの意図に気づいて、シーツに身体を横たえるとアレンの好きなようにさせた。こわごわとアレンが触れる/リンクの顔色を伺う__彼女は目を閉じて夢見るような溜息をついた。自分と同じように、指先に濡れたものがあるのを感じて、アレンはうれしくなった。
「リンク、」
「ん、ウォーカー...そのまま、触って、そう、」
「...きもちいい?」
「ああ、ウォ、かぁ...」リンクの呼吸が乱れ始める。誘われるように、アレンは奥へと指を伸ばした。ひとつ、ふたつ、苦もなく滑り込んでいく。本来なら違う質量を求めてひくつくそこは、アレンの細い指を飲み込んで蠢いた。頬を赤く染め上げたリンクは艶っぽく、こんな彼女を見たら他の団員だってリンクに少しは優しくしてくれるかもしれないなどとアレンは考えていた。彼女の頑な態度は、誤解されやすい。でもこんなふうに喘ぎ乱れる監査官は、アレンのそばで、この部屋にだけ留めておきたい気もする。妙な独占欲に心騒がさせられつつも、アレンはリンクに触れ続けた。先程リンクが自分にしてくれた分は、返したいと思いながら。ベッドにふたりで寝そべり、互いの身体を弄り合い、口付けし、じわりじわりと熱を高めていった。肌はしっとりと汗ばみ、手のひらに吸い付くように触れた。あえかな声が漏れ、疼く感覚にからだは震えた__絶頂感がちいさな波となって幾度も幾度もふたりを満たした。
「これでもまだ、わたしがきみを嫌っていると思いますか?」
答えに窮したらしいアレンが、困ったように眉をひそめてリンクの肩口に額を押し付けて来る。疲れ果ててうとうとしかけたアレンを抱いて、リンクは白いつむじに唇を寄せた。素肌の肩に触れる空気がひやりと冷たい。ふたりで潜り込んだ狭いシングルのベッドで身を寄せ合う。睡魔に瞼を伏せたまま、アレンがぼそぼそとリンクの肌の上に言葉を零した。
聞き取りづらいその声に耳を澄ますよりも、リンクはぬるい吐息の方へ感覚を寄せた。
アレン・ウォーカーはただの監視対象だったのに。それ以上の感情が沸き上がるのを押さえられなかった__リンクは自嘲して目を閉じた。きっとアレンもよくわかっていないままに違いなかった。何故と問うことよりも、気怠さと眠気に身を委ねる方が楽だ。寄り添うぬくもりは温かで安心できた。気が置けない存在になりたがっているのだ、とリンクは瞼の裏で思った。今夜のようにふたりだけの秘密を共有することで、より親密に。アレンの呟きがすべての答えだった。
__もっと、いろんなあなたが知りたい。
リンクは眠りの淵へ落ちていった。
夜明けは、すぐそこまで来ていた__それまでのわずかな時間、安息を得るために。
今はただ、隣のかわいらしい体温を感じて、眠っていたかった。
なんか読んだひとにドン引きされた気が。する。
ついったで『りんあれで両方にょたとか需要無いよね』
と呟いたらそんなことないよ!て云われて調子乗りました。
でもって落ちが困った。終わらなくて…