浮気しちゃダメだよ
僕は耳を疑った。
リュウタが浮気をするって?他の男の恋人に?
晴天の霹靂とはこの事だ。なんでそんな事を急に言い出すの?
嫌に決まってるじゃない。どうしてそんな事も解らないの?
僕がリュウタが好きな事は嘘じゃない。本当に心から好きなんだって。
信じてもらえてないのかな。
そう思うと胸が締め付けられ目頭が熱くなる。
苦しい凄く苦しい。
辛くって涙がじわって溢れ出て海のように広がっていく。
このままだと泣いてしまう。
格好悪いけれど僕は泣くよ。
リュウタが他の男になんて、僕以外の男に抱かれるなんて、心を委ねるなんて・・・。
考えただけで背筋が凍る。
そんなの許せないよ、悲しいよ。僕は冷静なんかいられない。
発狂してしまうかも知れない。
目の前にいるリュウタが逃げ出してしまいそうに思える。
だから僕はギュッと強く抱いた。僕から逃げ出さないように。
え?僕の釣りが酷いって?そうかな?挨拶程度にしか思ってなかったけれど。
そうか、それでリュウタは怒っていたのか。だからこんな事言い出したんだね。
可愛いなリュウタ。リュウタは本当に僕が好きなんだね、嬉しい。
え?でもこのまま釣りが酷いと本当に浮気しちゃうって?
リュウタの事だから意地はって無理にしちゃうかも。
相手は、キンちゃん?まさか、先輩?
うわぁぁぁぁそれはダメ。嫌だって。ねえ、考え直して可愛いリュウタ。
リュウタ、他の男の恋人にならないで、ねっ。
僕はまたギュッとリュウタの小さな体を抱きしめる。
釣りはなるべく控えるから。
海よりも深く愛してるからリュウタだけを。
僕の恋人は君しかいないんだから。君以外いないんだから。
だからその怒りは海に流してもらえるかな?ねっ、お願い。
おわり