カメちゃんの絵
浮気って・・どうういう事かな?
モモタロスがカメちゃんの事を浮気をしていると言ってるんだ。
それは趣味だよってカメちゃんが言い返したらモモタロスと喧嘩になっちゃった。
カメちゃん頑張れー、モモタロスなんかに負けるなーって応援しちゃった。
ねえ浮気なの?カメちゃんが女の人と仲良くしたら。浮気って何?
「趣味だとぉー?あーっ?てめーのは趣味じゃなくて病気だろ」
「そういう先輩は頭が病垂って事だよね」
またバトル勃発!わーい!
「おい、小僧・・お前歓んでる場合かよ。てめーの問題だろ」
「そ、だっけ」
「お前、カメ公が他の女とイチャイチャしているの平気なのかよ」
平気・・じゃない。
「でもカメちゃんは・・」
女の人が好きなんだからしょうがない。
ボクはこの言葉を言い出せなかった。
とってもとっても胸が苦しくて、言葉が喉の奥に引っかかっちゃって。
「いいの、カメちゃんだから」
ボクの言葉は嘘と本当が混ざってる。自分でもどれが本当か解らない。
本当の言葉は・・・。カメちゃんが好きって事だけ。
「良くねーだろ」
「いいのっ!カメちゃんが浮気じゃないって言ってるんだから!
もう、モモタロスは黙っていてよ!」
ボクはモモタロスの足を蹴った。いてーっとモモタロスは飛び上がる。
「なんや、なんや。三角関係か?昼ドラ真っ青のドロドロか?」
「なんで、そうなるんだよクマ公!お前は寝てろよ!永遠にっ!」
クマちゃんまで入ってきちゃって何だか解らなくなっちゃった。
「あーバカと相手してると疲れるよ」
溜息をつきモモタロスとクマちゃんを横目で見る。
やっぱりクールでカッコイイなカメちゃんは。
「どこに行くつもりだよ、カメ」
「気分直しに釣りでもしようかなーと」
「お前・・リュウタがいるだろ」
ボクは慌てて机に散らばってるクレヨンを掴んだ。
「ボクお絵描きしたくなっちゃったー、えへへへっ」
笑ってみたけれど本当は泣きたい。
でも泣いちゃったらカメちゃんに心配されちょう。嫌われちゃう。
だから泣かない。
「ほらリュウタはお絵描きしたいって先輩」
「お前・・・」
クレヨンを持ってスケッチブックを見つめる。何を描こう。どうしよう。
「何を描くの?リュウタ」
どうしよう答えられない。
「僕を描いてよリュウタ」
「え?」
「僕を素敵に描いて欲しいな」
「うんっ!」
ボク描くよ、カメちゃんの絵。好きな大好きなカメちゃんを
かっこよく、素敵に描くよボク。
「リュウタの絵が出来るまでちょっと釣りに出かけてくるとするか」
え・・・・。やっぱり行くんだ。
「いい、リュウタ。僕だけ描くんだよ。先輩やキンちゃんは一緒に描いちゃダメだよ」
僕だけね・・そう耳元で囁くカメちゃん。ボクは目を合わせず頷く。
カメちゃんが食堂車から出て行った後、ボクは涙を堪えカメちゃんの絵を描く。
大好きな亀ちゃんの絵をカメちゃん為に。
青と水色のクレヨンが減っていく。
ボクの気持ちが絵にこもるたびに減っていく。
出来た・・・・・。
うん、かっこよく出来た。これは最高傑作だ。
「おー、良く描けてんじゃねーか。スケベカメには見えねーな」
「うるさいよモモタロスは」
「カメ公、歓ぶといいな」
「うん」
モモタロスもたまにはいい事言うんだね。ちょっと見直したよ。ちょっとだけだけど。
丁度カメちゃんが食堂車に帰って来た。
「あ、カメちゃん!出来たよ絵!」
「本当?」
カメちゃんが側に来てボクの絵を覗く。
「うわー、凄くかっこよく描いてくれたんだね」
歓ぶカメちゃん。ボクも嬉しいな。
「お前、釣りはどうしたんだよ」
いい所で邪魔するモモタロス。前言撤回!
「ああ、釣りね。可愛い子がいなくてねー」
カメちゃんはボクをちらっと見る。何?何?
「難しいよね、リュウタより可愛い子を見つけるのは・・」
そんな事ないと思うけれど・・。
「手ぶらもなんだからゲームセンターで釣りをしてきたよ。しかも大量」
「この車両、ゲームセンターなんかあるのかよっ!」
カメちゃは後ろに回していた手を前に出した。
手には大きな紙袋。
「はい、リュウタにあげる」
ボクに?
「リュウタのために取ってきたんだよー。僕の絵を描いてくれてるリュウタに」
受け取った紙袋の中には玩具がいっぱい。
「わーっすごーい!」
「この絵、貰ってもいいかな?いいよねリュウタ」
「うん、あげるカメちゃんに」
「いいねー、この絵。リュウタが描いたボクの絵。僕の部屋に飾るとするよ」
カメちゃんは嬉しそうにボクの描いた絵を見ている。ボクもすごく嬉しい。
「あ、クレヨンかなり減っちゃったね。そうそう、その中にクレヨンもあるから」
ボクは紙袋に手を突っ込んで探す。確かにクレヨンがある。
「また僕に絵を描いてねリュウタ」
「うん、いいよ。今度はどんな絵?」
「そうだね・・僕とリュウタと二人がいいかな」
二人・・・あれなんでボク顔が熱くなってくるんだろう。ドキドキするんだろう。
「もうめんどくせーから二人で結婚式の絵でも描けよリュウタ」
けっ・・結婚式ー!
頭がぼーっとしてきて目の前がクラクラしてきちゃう。。
「せ、先輩!何言ってんのっ!」
「そうすりゃ、趣味の女釣りも自粛すんだろ。ふふふふふ」
もう頭が熱くなってボクどうしていいかわかんない。
足元もフラフラしてボク倒れちゃった
「うわっ!リュウタが倒れたっ!」
「先輩が変な事言うからっ!」
ボクを抱きかかえてくれるカメちゃん。どうしよう余計ドキドキしちゃう。
「でも、リュウタのウエディング姿も見たいかな・・」
カメひゃん・・・って呂律も回らない。もうダメ。心臓バクバクで死んじゃう。
「何ーっ?リュウタが死んだだとー!」
「死んでねえってクマ公!」
カメちゃは優しくボクを抱きしめてくれる。
ドキドキバクバクするのに嬉しい。カメちゃんの腕の中は幸せいっぱい。
ずっとこうしてもらいたいって思っちゃう。
「もうバカはほっといて向こうに行って休もうねリュウタ」
抱きかかえられながらボクはうなずく。
「でも休めなかったらゴメンネ、リュウタ」
意味深な事を耳元で甘く囁くカメちゃん。
女の子じゃなくてもメロメロになっちゃうよ。
「リュウタ連れてどこに行くんだカメ公」
「部屋に行って絵を貼るんだよ。リュウタにも手伝ってもらうんだよ」
「本当かよ。貼るだけじゃねーんだろ」
「貼るだけだよ」
嘘つき・・・。
でもそんな嘘ならボクは平気。嬉しいな。
あ、でも少しは休憩させてねカメちゃん。一杯一杯カメちゃんとしたいから。
そしてボクの絵を貼るの手伝わせてね。
いいよねカメちゃん。答は聞かないけれど☆
おわり