ボクとカメちゃん
カメちゃんは不思議な匂いがする。カメちゃん曰く「磯の匂い」らしい。
磯ってなんだろう?海の事かな?違うのかな?うーん、解んないや。
そんな事を思い寝ころびながら絵を描いているボク。
描いているのはカメちゃんの絵・・。水色でかっこよく描いてあげるんだ。
だってカメちゃんはかっこいいんだもん。あ、もちろんボクの次にね。
「ご機嫌だねー、リュウタ」
頭の上からカメちゃんの声。わー、カメちゃんだぁ★
「もしかしてこの絵、ボク?」
「うん、そうだよ。えへへへへ」
どう、上手でしょ。
「へー、なかなか上手く描けてるじゃない。さすがリュウタだね、
僕のカッコイイ事解ってんじゃないの」
うんうん、解ってるよだってボク、カメちゃんが大好きなんだもん。
「なーにが、カッコイイんだよ、このカメ公が」
ぶっきらぼうな言い方・・その声はモモタロス。
「おい、リュウタ。このカッコイイ俺様の絵は描かないのか?」
「描かない」
「遠慮するなよ。なっ」
そう言ってボクの頭をばしばし叩く。
本当に乱暴で馬鹿で・・モモタロスは嫌い。
あ、でも本当に嫌いなんじゃないよ・・でも今はイヤだ。
「叩かないでよ、モモタロスのバカ!」
「なーにが、バカだ。このぉぉぉ」
また叩こうとするモモタロスにカメちゃんが止める。
「まあまあ先輩、子供の言う事だし。それに先輩がバカっていうのも本当だしね」
さすがボクのカメちゃん、解ってる。
「なあんだとー。二人とも俺をバカにしやがってぇえええ」
そう言うとモモタロスは泣きながらクマちゃんに八つ当たりしている。
でもクマちゃんは寝ていてびくともしない。
「ここ騒がしいから別の所でボクお絵描きする」
ボクは紙とクレヨンを掴むとぴょんと立ち上がる。
「じゃあボクも一緒に」
カメちゃんがボクの手を掴む。わあ、なんだか嬉しいな。
これって恋人みたい。え?恋人????
うーん、良く解んないや。
ボクとカメちゃんは手を繋いだまま食堂車の外へ。
「どこで描こうかなー」
ボクはお絵描きする場所を探そうとカメちゃんの手を振りほどこうとする。
でもカメちゃんは離してくれない。
カメちゃんが急にボクの手を引っ張る。
引っ張られてよろけてボクはカメちゃんの腕の中へ・・。
そしてぎゅっと抱きしめられた。
「もっと近くで僕をよーく見て描いてよ、リュウタ」
腕の中で顔を上げるとカメちゃんの顔を見た。
「これじゃ描けないよぉ」
「そうだね」
カメちゃんはクスクス笑う。僕はなんだかこそばゆい。
「でもお絵描きしなくてもいいや。今はこうしていたいな」
こっちの方がお絵描きするより気持ちいいんだもん。
「可愛いね、リュウタは」
カメちゃの顔がボクに近付く。
「リュウタはいい匂いがするね」
「え?どんな匂い?」
「うーん、どう表現していいのかな?甘くて鋭くて・・・。
でも僕の大好きな匂いだ」
何それ解んない。
「カメちゃんは磯の香りがするんでしょ」
「え、まあね。リュウタはこの香り嫌い?」
「嫌いじゃないよ。磯の匂いって良く解らないけどカメちゃんの匂いは大好き。
強くてカッコイイ匂いがするもん」
「ねぇリュウタ」
「うん?」
「リュウタの部屋に行っていい?」
「え、なんで」
「そこでじっくり僕を見て絵を完成して欲しいな」
「でも・・・」
こうしていたいのに、なんで・・。
「もちろん、こうして抱きしめたりもしながらね。
ここじゃ、また先輩に邪魔されそうだし・・ねっ」
「うん。いいよ。でも・・・」
「ん?」
「ボク、カメちゃんのお部屋に行きたいな。カメちゃんの匂い好きだから・・」
大好きなカメちゃんの匂いに包まれていたい・・。
「そう?じゃ僕の部屋に行こうかリュウタ」
「うん」
手を繋ぎ軽くステップを踏みながらボクはカメちゃんの部屋に向かう。
繋がっている手が暖かい。
意識しちゃったのかボクのさらに胸がドキドキと高鳴る。
カメちゃんは立ち止まるとボクを見た。
ボクも立ち止まってカメちゃんを見る。
「ねぇ、抱きしめるだけじゃすまないかもしれないけどリュウタはいいよね」
カメちゃんの言ってる意味がボクには良く解らない。
でもボクは頷いた。
だってカメちゃんがしてくれる事ならボクはなんでも嬉しいもん。
でもお絵描き出来るかな?カメちゃんの絵・・・。カッコイイカメちゃんの。
「あのね絵が出来たらみんなに良太郎やみんなに見せるんだー。
あ、もちろんカメちゃんにもね」
カメちゃんはありがとうと言うとボクに優しく微笑んでくれた。
ボクも嬉しくてカメちゃんに微笑み返した。
そうだ、今度は二人で手を繋いでる絵を描こうっと。
大好きなカメちゃんとボクと・・・二人の絵を。
終わり