花のおはなし
ぼくは花屋で売られている花です。
ある日の店先で、ひとりの男性に恋をしました。
男性に見とれるぼくを、仲間がけらけら笑います。
「花が人に恋するなんて! 傑作だ!」
「神さまもお認めにならないよ。あきらめなさい」
「坊や、あの人の薬指をごらん」
ぼくの想い人のしなやかな指には、婚姻の指輪が光っていました。
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