NOVEL / COMMENT

週末は命懸け第5話「抱擁」について

2001/10/05 (FRI)

 何故舞台が『福井県』で『東尋坊』なのか。それは自分が北陸に住んでいて、『自殺の名所』と言えば『東尋坊』としか思いつかなかっただけです。従って、東海に住んでいれば『富士山』で『樹海』だったかも知れないし、九州なら『阿蘇山』だったかも知れません。とにかく観光名所で、自殺の名所で、近くに温泉があれば何処でも良かったのです。この第一稿を書いていた時期が、丁度去年の六・七月頃で、インターネットに手を染めていない時期だった為、自分の頭の中のポケットから引き出して使いました。しかし『東尋坊』へ行ったのは、バス遠足か何かで、随分昔の話だった為、記憶が薄く、仕方ないので観光用のガイドブック数冊を立ち読みしました。なかなか思ったような情報が得られずに、苦労しましたが。作中にある交通機関の時間は、随分前の実際の時刻表を利用しました。それで言うと、郁也が住んでいるのは岐阜県辺りになりますが、場所を限定すると面倒なので、岐阜にはこだわりません。何となく地理的に、都会でも無く地方でも無く、東京に遠くもないけど近くもない、というのがイメージです。何故なら、郁也の母、高木沢佳子は、郁也の事を実家と四条貴明(のち久本)に知られない為に、東京へ一人旅立ったからです。久本由美子様(貴明の最初の妻←何となく『様』づけしないと祟られそう…)が余計な事をしなければ、誰にも知られずに平和に暮らせたものと思われます。ちなみに幼い郁也が母と暮らしたのは目黒区の小さな古アパート、という設定ですが、実は目黒区は行った事ないので、当時の話を書こうと思ったら、色々資料収集しないと駄目です。一応、佳子さん視点での外伝のプロットはありますが、全然BLにならないので(当たり前だ)どうしようかなと思っています。何となく書かないままな気がしますが。どうせ書くなら郁也視点の物語かなぁと。つまり、『高木沢佳子』の書いた日記が見つかった、とかいう形で、郁也の朧気な回想を交えて、とか。その話を中原が聞いて云々、という体裁になるかと。
 この話からぽつぽつと地名が出て来ます。「週末は命懸け」の舞台は架空の県、架空の市、架空の町です。『明日名二丁目』が久本家のある地名。『明日名町』の『町』が省略されています。もっとも、ここで出てくるのは、中原が泊まっているビジネスホテルのある『葛名町』ですが。ちなみに、昭彦が住んでいるのは『葛名町五丁目』。中西聡美・太田知子が住んでいるのはその隣の『東町一丁目』です。
 中原がボロボロに内面さらけ出しています。『嘘つき龍也の本命吐露話』ですね。郁也は……まぁ郁也はこういう奴だから、という事で。

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