――このままだとプアの知り合いの男全員がカオンの餌食になってしまう…
 ――それどころか父親までっ!
 ――こうなったら……俺がスケープゴートになるしかないか…ッ



 俺とカオンとフェリス。
 いつものメンバーでプアの実家に集まって、喋ったり各々勉強したりしていた。
 プアが買い物に行くと言って席を外す。
 カオンは喋るのをやめてノートを開き、何か書き始めたようだ。
 俺はレフアさん…プアの母親から借りた本を開く。
 しばらく何か考え事をしていたフェリスが傍に寄ってきた。
 「……あれ、イアって魔法系なんだ」
 俺が読んでいるのは魔導書。
 読みながら適当に返事をする。
 「似合わな……」
 隣に座りながらぼそりと。
 「てめぇその頭アフロにするぞ」
 アフロにするには短いか。じゃあパンチか。
 「だって、剣持って突っ込んでいくタイプに見えるから」
 「誰にだって向き不向きがあんだろーがっ! プアが使ってる大槌とか意外と重くて衝撃だったんだよバカ!」
 「あははははイア君もやしっ子ー虚弱体質ー」
 「燃やされてーのか!! 表出ろコラァ!」
 「いらんこと言ったのはイアだろ? ほんとおもしろいなお前は」
 また言い返そうと思って口を開きかける。
 と、フェリスがごろんと俺の膝に頭を乗せてきた。
 「……」
 「……」
 「……何のつもりだ?」
 「え、膝枕だけど?」
 「……意図が全くわからない」
 「ちょっと寝不足だからー」
 意味がわからない。
 「一人で勝手に寝てろ!」
 「うーん、硬くてちょっと寝心地悪いな」
 「聞けよ!」
 「プアが帰ってきたらプアに膝枕してもらお」
 「!?」
 フェリスが頭を上げかける。
 それをガッと掴んで自分の足に押し付けた。
 「やったら永遠に寝かす!!」
 「ええええ〜? 膝枕くらいいいじゃん減らないし」
 「黙れ!!」
 「フェリス君グッジョブ!」
 「……ん?」
 カオンの方を見る。
 「な、なんでもないっ!」
 なんかすげー楽しそうだなおい。
 「カオン、こいつ持って帰って」
 「いやいやいや、私か弱いから無理っ!」
 「……」
 か弱い奴は自分でか弱いなんて言うか普通。 
 「まあ、プアが大槌持って魔族と戦ってる図っていうのもイメージしにくいし。人を見かけで判断すんなってことだねー」
 「……」
 「ちなみに俺はどんなタイプでしょう?」
 「知るか」
 「即答すんなよ! ちょっとは考えろよ! ノリ悪いな!」
 今日、こいつ何かおかしいぞ。いつもおかしいけど。
 さっきからカオンはずっと笑ったまま。
 他人事だと思って楽しそうにしやがって…
 「うぜーよ!」
 「ちょっとー、この子うざいとか言うよカオーン」
 「いや、フェリス君今日は輪をかけてうざい」
 「うざいとか言うなよ!!」
 「うぜー! 喋るな動くな! 重い! 痛い!」
 「そんくらい我慢しろよ男だろっ」
 「ほんとにうぜー!!」

 結局その日は本来の目的である勉強がほとんどできず、怒鳴り疲れて終わった。