「何かものすごく『やり遂げた!!』みたいな顔してますねカオンさん」
暇だったのでぶらぶらしていた。
…ら、カオンを見かけたので声をかけてみた。
「わかる?」
満面の笑顔だ。
「……わかりたくない話題な予感」
「うふふふふふふ…!」
「気持ち悪いよーおかーさーん」
「レディーの笑顔に向かって気持ち悪いとは失礼な!」
てめぇ俺には平然とキモイウザイ言うじゃねーかよ!
……出かかったツッコミが何かイアっぽいからやめておいた。
「プア君の知り合いの青年と少年がイイ感じだったからショタものに初挑戦ですのよ!」
「………ショタって何だ…いや、何となくわかる自分が嫌だ……」
「これが結構反応良かったのよねっ! うふふ!」
「待て、プアの知り合いって! 身内ならともかくそんなとこまで被害拡大させんなよおいおい……」
言っても聞かないだろうけどな。はっはっ。
「だあってぇー、ちょっとマンネリっぽくなってきたんだもーん」
「そこで潔く完結させようよ」
「簡単に完結させられると思う? あのイア君よ?」
「……」
まあね。
「プア君の旅の日記を見せてもらったんだけど、他にも良さげな会話をしてる方がちらほらと!」
「接点薄い人までネタにするのはやめとけって!」
近づいてくる人影に気付く。
「こんにちは、フェリス君。……と、そちらもプアのお友達?」
「え」
「あ、こんにちは。あー、まぁ一応」
「一応じゃなくてちゃんとした友達ですっ!」
ちゃんとした……まあいいや。
「いつもプアがお世話になってます」
「あ、いえ、えっと」
「……あっ、失礼しました。私は父親のハウオリと申します」
父親、と聞いてカオンは口を半開きにしたまま固まる。
おっとりとした物腰と驚異的な童顔。ついでに言葉遣いは常時丁寧語。
誰だって驚くわ。俺なんか声出ちゃったし。
「あ……わ、私はカオンと申しますっ、こちらこそいつもお世話になってます…!」
あわててぺこっと頭を下げるカオンを見てにこにこするハウオリさん。
「……もう少しお話したいところですが買い物の途中なので、失礼します」
「は、はい!」
「また今度」
俺がそう言うとまたにっこりと笑い、くるりと向き直って歩き出す。
いや、歩き出そうとした。
そこで足元の大きな石につまづいてぐらつく。
咄嗟に俺は腕を引っつかんで抱きとめてしまう。
…何か禍々しい空気を感じたが気のせいだと思うことにした。
「うわ…ごめんねフェリス君…!」
動揺したのか言葉遣いが知人仕様に。
「いや、荷物が無事で良かったですよ。気をつけて」
何か後ろでヒートアップしてる気配を無視できなくなってきたので、ちょっと強引にハウオリさんを送り出した。
「……」
「……言っても無駄かもしれないが言う。……友達の父親まで巻き込むのはどうかと!」
「ドジッ子キタアアァアー!!!」
終わった。
「なんか、親しげだったねフェリス君♪」
「……」
危険を察知。
これ以上こいつのそばにいたらろくなことが無い。
撤退。
「詳しく聞きたいな!!」
「拒否する!!」
暇だからってうかつに声かけるんじゃなかったよ! ああ俺のバカ!
追いかけっこを繰り広げる俺らの様子が楽しそうに見えたのか、通りすがったプアがにこにこしているのが見えた。