「父親って女の子のことは溺愛するっていうじゃない?」
 「あー、それが何か?」
 「ハウオリさんもプア君にデレデレなのか気になるってわけよ!」
 「……えー?」
 「何その顔とリアクション」
 「カオンもそういう普通のこと言うんだなぁと思って……」
 「いくらあたしだからっていつでもどこでも妄想してるわけじゃないっつーの!!」
 「まじでー?」
 「その顔むかつく…」
 「うん、まあ、普通に大事にしてるのはわかるけどいつも穏やかな笑顔だからデレデレかどうかは良くわかんないなぁ」

 (失礼だけど)ネジが一本抜けてる人だから、何かと危なっかしい場面とかには遭遇してるけどな。

 「うん、じゃあ確かめてきてよ♪」
 「は?」



 そして今俺が立っているのはプアの実家の前。
 「……」
 ハメられた。
 いや、乗ってしまう俺もいい加減お人好しなのか。
 「あれっフェリス君、こんにちは」
 「おー……」
 「どうしたの? 僕に何か用事?」
 「えーと……」
 どうして都合良く居るんだ。
 出かけてろよ! 冒険行っててくれよ! 最近図鑑を自力でまた少し埋められそうだって言ってたじゃんかよ!
 あとスキル調整もするんだーとか言ってたじゃん! まったくこの子はー!!
 口ごもる俺を見て首をかしげるプア。
 カオンがGOサインを出している。楽しそうでいいなおい…
 「……」
 意を決して、少しプアの方へ歩み寄る。
 「……?」
 身体に触れようとした。その時。
 チリッ…と何か静電気のような感覚と、気配を感じた。
 「フェリス君」
 「うわあああああああああああああぁぁ!!!」
 「ひゃあっ」
 すぐそばにハウオリさんが居た。
 ついさっき家の中にいるのを見たはずなのに。
 俺の絶叫に驚いてプアも声を上げる。
 「こんにちは、どうしたの?」
 「……あっ、ぁ……い、いつ、いつの間にそこにっ……!」
 「いくら何でも驚きすぎだよ、そんな幽霊にでも会ったみたいに」
 いつものようににこにこと微笑む。
 いや……
 いや!!
 違う!
 明らかにいつもと違う!
 俺が何しようとしてたかわかってるんだ!
 あのままプアに触ってたら俺どうなってた!?
 ……死んでた!?
 「……」
 笑おうとしたが顔が引きつって全く笑えなかった。
 「……近くに来たついでに寄っただけなので、別に用は無いです、よ……それじゃ、ま、また!」
 脱兎の如く逃げ出す俺。
 カオンは何が起こったかわからずにぽかんとしている。

 イア……お前、とんでもない相手に挑もうとしてるぞ……!!!