いつまでも妹みたいに思ってた。
 自分のことを僕と言う少女。

 「旅?」
 「うん」
 「なんで急に……」
 「急じゃないよ、15になったらしようって決めてた」

 お前の中で急じゃなくても、言われたこっちには急だろ。

 「おじさんとかおばさんとかにはもう言ったのか?」
 「うん、びっくりしてたけど反対されなかったよ」
 「……ふーん」

 幼なじみの家の事情を数年前に知った。
 両親と弟と、血が繋がっていないこと。捨て子だったこと。
 だからと言って俺の気持ちとかが変わるわけじゃないけど。
 俺の知らないところで何か……遠慮とか、してきたんだろうか。

 「そんな顔しなくても……僕はひとりで大丈夫だよ?」
 「ん、あぁ」

 俺も一緒に行くと言ったらきっと、子供扱いするなとむくれるだろう。

 「俺な」
 「うん?」
 「プアが好きだ」

 紫水晶色の瞳をまっすぐ見て言う。
 一瞬きょとんとした後、プアはにこっと笑った。

 「僕もイアが好きだよ」
 「……」

 ……がっかり。
 心の中で俺はうなだれる。
 まあ……この様子なら変な奴が寄ってきても平気……か?

 そう思って、数日後、小さな背中を見送った。
 が。
 しばらく俺は女々しく悶々とするのだった……。