Underparts
#Intermission


「明美君は、かなり危うい状態じゃないかと思うんだが」
「まさか、そちらにも連絡とか行ってます?」
「ああ。私の支援を欲しがってきたよ」
「やっぱり、そうでしたか」
「返事を保留した。わかるね、断ってないんだ。私は聖人君子とは程遠いから」

 東堂さんが電話してきた段階で、だいたい、内容の想像はついた。
 よっぽどの用事がないと電話してこない人が、してきたわけだから。

「こう言っては悪いが、集めるだけ集めて、勝手に解散して、あとは知らない。
 あまり感心できないな。事情があったのは、わかってはいるんだが」
「ええ…」
「解散した以上、行動を縛る事はできない。それもよくわかる。
 だが、明美君については、取り押さえてでも、納得いくまで話すべきだよ」
「…そうですよね。やっぱり」
「どうも、君も混乱しているようだね。私は一番最初に、君に怒られるかと思ったが」
「…あ!」
「ああ、なぜ明美君が、私の本物の連絡先を知っているのか。そう責められると思っていたよ」

 そういえばそうだ。忘れてた…。

「まあ、怒らないでくれよ。ダイレクトに教えたんじゃなく、ヒントを与えただけだから。
 それに残念ながら、電話が来たのは、つい最近クラブが解散してからの話だし、
 会ってもいない」
「……」
「しかし、それにしても、明美君に性転換願望が芽生えたとはね。
 彼は、そういうのには無縁だと思っていたんだが…」
「それは、私も驚いてるんです」
「先ほども言った通り、私はおよそ善人とは程遠いからな。
 もし、君が問題を放置するか、納得した上で、止めない選択をした場合、
 私は自分がしたいようにする。これを伝えておこうと思ってね」
「わかりました」

 電話を切った後、すぐ明美ちゃんにかけたけど、やっぱり出ない…。
 ここ2、3日、いくら電話しても、つかまらない。
 単にタイミング悪くて出られないのか、それとも出たくないのか…。そわそわする。

 何を考えてるんだろう、何があったんだろう?
 本人捕まえないとわからないけど、色々考えちゃう…。

 他に連絡とってそうな人、片っ端からあたるしかないな。
 情報、集めなきゃ。


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