シークレット
#1
「これ、着るの?」
「着るの」
「…どうしても?」
「どうしても。ていうか興味あるんじゃなかったの?」
うん、興味あった。それどころか、望んでた。
でも…やっぱり現実を前にすると、少し躊躇する。
カレラさんが僕に渡したのは、水色のワンピース。
僕はどちらかといえば小柄だけど、大体の女の子よりは大きい。
そんな僕でも多分着られるかな、そんなかんじのサイズ。
「さあ、覚悟決めて、着ちゃいなよ」
僕はカレラさんに後押しされるように、服を脱いで…。
思い切って、ワンピースを頭からかぶった。
「背中、ファスナー上げてあげるね」
「はい…」
カレラさんは僕の後ろに立って…、背中のファスナーを上げてくれるかと思ったら、いきなり、僕の背中を指でなぞってきた。
「ちょ、な、なにするんですか!」
「お肌のチェック。非常に真面目な動機でやってるんだよ?」
顔は見えないけど、たぶん、笑ってると思う…。
「はいOK。とりあえず、座ってリラックスしてたら?」
カレラさんは、掲示板で知り合った人。20歳くらいかな?
女装どころじゃなく、手術…しちゃってるんだって。
今日、初めて会ってみた印象だと、言われないと男だって気付かないかも?
「どしたの? 私のことなんか、じっと見ちゃって」
「…なんでもないです」
「もしかして、何か期待しちゃってる?」
「……」
カレラさんは、僕のとなりに座った。
「もしそうだとしたら、期待に応えてあげたいけど、諸般の事情で難しいかな」
「…?」
「まず、立場的に、下手に手は出せないから」
とか言いながら、カレラさんは、僕の背中とか、脚とか、触りまくってる。
「もちろん手は出したいに決まってるけどね。そっちも、いっぱい出したいんじゃない? ここからね」
カレラさんは、服の上から、僕のあそこを触った…。
「ま、想像通りというかんじかな。元気なのはいいことです。でもごめんね、まずは役目を果たさないと、みんなに怒られちゃう」
怒られるって、誰にだろう? みんなって?
僕は聞いてみた。
「僕以外にも、誰か…」
「言い直し、僕禁止。俺ももちろんダメ、拙者とか小生とか言い出したらいじめるよ?」
「みんなって、私以外にも、誰か、こういう子と知り合ってるんですか?」
「そりゃあ、いまくり」
「え…」
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