Sports Hunting
もう、夏休みの時期になった。
どこにいっても、薄着の子供たちであふれてる。
「子供好き」にとっては、いい目の保養になるだろうね。
でも、目の保養だけで満足できる人は、羨ましいね。
嫌味じゃなく、本当にそう思う…。
今はもう、夜の8時くらいになった。
獲物を探すには少し遅い時間帯かもしれないけど…、今日は違う。
俺の今いる場所は、神社。お祭りをやってるんだよね。
まわりじゅうに、子供がいっぱいいる。
俺は女の子はどうでもいいから、男の子を探す。
・・浴衣を着て、一人で歩いてる男の子をみつけた。
ぱっと見た感じだと、小学校高学年。5、6年生かな。
取りたてて可愛いってわけでもないけど、表情のあどけなさと、浴衣の裾からのぞく細い足が、すごくそそる…そんな子。
チャンスがあったら、この子を……って。決めた。
実はこれって、別に突発的な衝動じゃない。
もともと、そういう目的があって来たんだからね。
そうでなかったら、なんで、わざわざこんな遠くまで来たんだか。
ここは、俺が住んでいる場所から、原チャリを飛ばしても1時間以上軽くかかる場所。もちろん県境は超えてる。
馬鹿みたい、って思うだろうけど、以前に下調べまでしてある。
月に一度くらい、何回かね。ふふふ、偏執狂じみてるって?
そうでもなきゃ、成功するわけないじゃん。
その子に悟られないよう、俺は、常にその子が見える位置にいた。
誰かと一緒に来てないかを、よく確認しとかないとね・・。
自分に対して定めた、鉄則。
「だめそうならおとなしく諦めて、帰る。他に良さそうな子を探したりもしない」
何十回のうちに一回成功すれば、御の字なんだから…。
しばらくたって、分かった事。
その子は一人でお祭りに来てる。親や友達は一緒じゃないようだ。
つまり、たぶん近所だよね。ってことは、下調べが役に立つ。
その子は、神社の出口の方へ歩いていった。
今は8時45分頃。9時までに帰るよう言われてるってパターンかな?
俺は、最初はすごく多く距離を取ってから、その子の行く方向へ進んでいった。
意外と難しいよね、子供を尾行するのって…。
ただでさえ大人より歩くのは遅いし、急に立ち止まったりする。
今日は、ついてるみたい。
その男の子は、俺が一番望んだ通りの方向に歩いてる。
下調べの結果では、この方向に大きな駐車場があるんだ。
地面は土というか砂利で、トラックがいっぱい止まってる…ね。
そう、最高についてる。出来すぎなくらいだ。
俺は神様の存在を信じたね。最近ついてなかった俺に、お恵みかな?
なんとその子は、自分でその駐車場に入っていった。
だいたいの理由はわかる。たぶん、ジュースか何かの飲みすぎで、おしっこがしたくなったんじゃないかな…。
俺は辺りを見回して、誰も近くにいないのを確認した後、駐車場に入る。
少し奥まった場所で、車の影に、人影が消えたのが見えた。
そのとき、もう、俺は走りはじめてた。
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