題「待ち焦がれる」

 剣八が任務から帰ってこない。
任務が終わるとされていた日からもう5日。何があったのか連絡が来ないので一護には分からない。
あいつの事だから無事だろう。絶対生きてるはずだと自分に言い聞かせる日々。
そんな日が続いたある日、乱菊さんに誘われた。
「なんて顔してんのよぉ〜!更木隊長なら大丈夫よ!そんな辛気臭い顔してる暇あるなら付き合いなさい!」
と居酒屋へと連れて行かれた。
正直、一人でいると心配で気が狂いそうだったから嬉しかった。

居酒屋で他の女性死神協会のメンバーや各副隊長が集まってた。
みんなでワイワイ騒ぎながら酒を飲んだり食べたりした。なんだか久しぶりだ。そう思ったら酒が進んだ。
なんだか頭がふわふわすると思ってたら目が回りだした。気持ち悪い。飲み過ぎたかもしれない。
座ってられなくて机に突っ伏してしまった。ああ、冷たくて気持ちいい…。
「おい、一護は居るか」
慣れ親しんだ霊圧と声が聞こえたけど頭が重くて動かせない。
「あら、お帰りなさい更木隊長。一護なら…あら!どうしたの!一護!」
乱菊さんが心配そうに声を荒げている。大丈夫だと言いたいのに動けない。
「やだ!この子ったら!ちょっと目を離した隙にこんなに飲んだの!?」
一護の周りには空になった銚子が何本も転がっていた。
「飲ませたのか…?」
「あ、ええ。最近浮かない顔してることが多かったので気晴らしなればと…」
「ふうん…。おい、起きろ、一護!」
肩を揺さぶられる。
「うう…」
重い頭をようやく上げるとそこにはずっと帰りを待っていた最愛がいた。


 顔をあげた一護。その顔は酔って目元は赤く染まり、目はとろんと潤んでいた。何より力が入らず無防備な体。
こいつは…!こんな顔を俺以外に晒しやがって!なんだか無性にいら立ってきた。
一護は気分が悪いのか息が荒い。しょうがねえとぐんにゃりと力の入ってない一護の身体を引っ張って立たせる。
「う、うえ…!」
足はガクガクと震えて一人では立てないことがアリアリと分かる。それよりも随分と顔色が悪い。これは吐かせた方が良さそうだと手洗いまで引きずっていく。
個室に入り、一護の口に指を突っ込む。舌を押さえ、喉奥を刺激してやる。
「んぐ!うう!ぐ!はっ!もっ、やぁ!」
涙をボロボロ流しながら抵抗する一護。手加減しながらも続ける。
「やだじゃねえ。吐け」
「んん!んふぅっ!ぐ!うえ!うえぇええ!」
胃に残った酒をすべて吐き出した一護。
「はっ!はぁ!はぁ!げほ!げほ!あっ!はぁ、は…っ!」
手洗い場で口を濯がせ、濡らした手拭いで顔を拭いてやる。
「帰るぞ…」
「ん…」
足に力が入らないので剣八の背に負ぶさる一護。 

 隊舎に戻り、寝室の明かりを点けると布団の上にある着物の山が目に入った。
「なんだこりゃ?」
全部俺の着物のようだ。死覇装に寝間着、襦袢、普段着の着物に果ては褌まで…。よくかき集めたもんだ。
その真ん中あたりにぽっかりと穴が開いていた。まるで巣のような…。
取り合えずその山は横へと退かせ、一護を布団に寝かせた。
しどけない姿で寝る一護の顔をよく見る。良く寝れてないのかうっすら隈がある頬を親指の腹で撫でる。
「うう…剣八…けん…」
フラフラと手を伸ばし俺を探す一護。
「起きたか?」
「うう…」
「飲み過ぎだ。馬鹿」
水を飲ませてやる。自力じゃ飲めないようなので、少し口に含んで口移しで飲ませてやる。
「ん、んく、んく」
それを数回繰り返す。
「剣八…剣八ぃ…」

「剣八…」
「酔いが醒めたか?」
「ん…、怪我とか」
「ねぇよ」
「よかった…」
「こら、寝るな」
「ん…」
口付けると両腕を俺の首に絡めて自分から口付けを深めてきた。
「ん、ふぅ、は、ぁ、ん、ん」
長い口付けを解けば、上気した頬、潤んだ目で俺を見つめ、濡れそぼった赤く色付いた唇を舐め、
「足りない…、もっと、もっとして」
口を薄く開き、濡れて光る舌を差し出して誘う仕草は酷く煽情的で、誘われるままその唇を貪った。

口付けしながら俺の着物を乱していく剣八。胸の合わせから手を差し入れ、しっとりと汗ばんだ肌を撫でていく。
「ん…あぁ…」
剣八の手が、指が俺の身体を撫でまわす。細く節くれだった指がいつも俺を乱していく。
俺の性器を容赦なく扱く手筒、後ろを解していく長い指、一つ一つを思い出していくうちに呼吸が乱れ、早くなる。
「あ…?や…!」
奥が熱い!まだ、触れてもいないのに!なんで!
「あ、あ、やぁ、あッ!んッ!ふぁ、あ〜〜…っ!」
胎内がうねって自分ではどうにもできない波に襲われた。
「おい、どうした」
心配そうに俺の頬を撫でる剣八。その動きにも波が起こる。
「ん!いま、だめぇ…!」
あく、あく、と酸素を欲する俺を見て剣八が、
「…イッたのか?」
と俺の中心を指で撫でる。
「あぅん!」
そこはまだ柔らかいままだった。
「空イキか…」
呟くような、でも熱の孕んだ声にさえ感じてしまう。
「あぁ…!」
「可愛いなぁ…お前はよぉ」
「んむ!」
口に剣八の長い指が入ってきた。俺は必死にそれに舌を這わす。
「ん、ん、んぁ…」
ずるりと指が抜かれ、名残惜しむように舌がそれを追いかけた。俺の唾液にまみれテラテラと光る指が後ろに当てられた。
「あ…」
つぷりと中に入ってくるそれを締め付けた。
「っと…、そんなに寂しかったかよ?」
と笑いを含んだ声。
「…さびしかった」
「うん?」
「さびしかった、さびしかった!」
今まで溜めたものが溢れた。
「寂しかった!怖かった!ずっと帰ってこないあんたをずっと待ってた!」
「一護…」
「帰ってくるって日に帰ってこなくて!この部屋で!誰も居ない、暗い部屋であんたを待ってた!」
涙がぼろぼろと溢れて剣八の顔が見えない。
「こわかった!もう、帰ってこないんじゃないかって!大怪我したんじゃないかって!待ってるしか出来ないのが悔しくて!怖かった!」
剣八が長い指で涙を拭ってくれるけど止まらない涙は後から後から溢れて剣八の指も濡らしていった。
「…ばかぁ!」
そう叫んだ俺の唇をまた口付けで塞いだ剣八の首に腕を絡め、髪の毛がぐしゃぐしゃになるまで貪った。
「悪かった…」
そう言いながら俺の涙を吸い取っていく剣八。
ちゅ、ちゅ、と吸い取りながらも奥を解していく剣八の指。
「もう…きて、おねがい」
早く剣八と繋がりたかった。生きて、帰ってきてくれたんだと身体の奥の奥で感じたかった。
「ああ…俺も早くお前の中に入りてぇ」
解れたそこから指が抜かれ、熱いものが触れた。
「あ、あ…」
期待に、はしたなくヒクつくそこにゆっくりと這入ってくる。
押し広げられ、ぐぷんと一番太い所が入った。
「ああ…っ、あ、あ〜…!」
どんどん入ってくる熱杭が俺を満たしてくれる。
奥の奥までみっしりと満たされた腹を無意識に撫でていると、その手を取られ指先に口付けられた。
「あんま、可愛いことすんなよ。加減出来ねえぞ…」
いつになく余裕を失くした声にさらに奥が甘く疼いた。
「あ、んん・・・、しないで、いい、から…、は、ぁ。もっと、あんたがここに居るって教えて…!」
きゅうきゅうと甘く締め付ける
「っお前は!」
「ああっ!」
容赦なく奥を穿たれた。ずるずると際まで抜かれては最奥を突かれ、その度に俺の口からは嬌声が止まらなかった。
「あっ!あああ!あう!あっ!あ〜〜っ!」
「一護、一護、ああ!クソ!足りねえ!」
とちゅとちゅと最奥を突かれ、しこりを押しつぶされ、喘いでいるとさらに奥に這入ろうとしているのに気付いた。
「あ、ああ、だめ、だめ、奥、もう、無理だからぁ!」
「足りねえ、だめだ、足りねえ、お前が足りねえ…!」
ぐぐぐ、と最奥が拓かれていく。
「ああ!あ!やぁあ!」
ぐぽん!と体の奥から聞こえた。瞬間、痛みと強烈な快感に襲われた。
「ああぁあああ!」
「全部、はいった…!」
呟いた剣八は俺を抱きしめて暫く動かなかった。けれど、胎内に入っているモノが脈動する度に俺は軽くイき続けた。
「あ、あ〜、あうぅ、うう、う、う〜!」
「一護…」
ゆるゆると動き出す剣八。
「は…っ!ああ!や〜!ああう!うう!うう!」
奥でちゅぱ、ちゅぽ、と音が聞こえる度にイっている。
「も…っ!むり…だからぁ!あ、あ!」
「一護、一護…好きだ…」
「へ…、あ、あああ、んあぁあああ…!」
ひと際大きな波に襲われ、ぎゅうぎゅうと中を締め付ければ最奥を熱に焼かれた。
「ぐぅう!」
「あっ!やぁあああ!」
じわじわと広がる熱にさえ快感を拾い、さらにイってしまう。
「けんぱち…すき、すき、あう、しゅき…」
ぎゅうぎゅうと胎内だけでなく、手も足も使って剣八を抱きしめる。
「動けねぇよ…」
「んん…、動いたら、どっか行っちゃうから…だめ…」
「ぐぅ…!」
「だめ…いかないで…ひん!」
胎内でまた熱く大きくなった。
「てめえ…明日起きられると思うなよ…」
地を這うような声とギラギラと燃えるような欲情を宿した目に射抜かれた。
「あ、ああぅ…」

翌日の昼を過ぎても起き上がれなくなるまで身を貪られた。それでも目を覚まして初めて見たのが剣八の顔だったから嬉しかった。
「…起きたか」
「ん…、剣八…」
「なんだ…」
ふわふわと俺の髪を撫でる剣八に言いたかった事を言う。
「おかえり」
「っ…。ああ、帰った」
起き上がれない俺に甲斐甲斐しく世話を焼く剣八は、何処か嬉しそうに見えた。

オマケ。
「んで、あの着物の山はなんだ?」
「あー…と、寂しくて、あんたの匂いがするのがあると、寝れたから…」
「んぐぅ…」
取り合えず、昼からまた食われた。







22 年の作品。
サイトが更新できなくて先にピクシブへ公開した作品です。






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