題「世界の最後で」2 | |
白が護廷に来てから約一ヶ月。満月の夜だった。 『ん〜、むずむずする・・・』 寝苦しくて目が覚めた白は障子の外がやけに明るいのに気付いた。 『ん?春水まだ帰ってないのか』 同じ部屋で寝起きしている白は座布団の横の蒲団に京楽が居ないのに気付いた。 『また酒飲んでんのかな?』 私服に着替えたのか羽織りや女物の着物は部屋に置いてあった。 カリカリと障子を開け、外に出ると見事な満月が空にあった。 『でっかい月だなぁ・・・』 と見ているとヒゲがピリピリとしてきた。 『な、なんだ?あっ!』 ドックンッ! と心臓が大きく脈打った。 「ぐぅううう!うう!うう!」 メキメキ、みし!みし!と骨が軋む音が聞こえ、身体中が痛かった。 「うああぁッ!」 痛みが治まり、蹲りながら息を整えていると何故だか目線の位置が高いのに気付いた。 「な、なんだ、・・あ、毛が無くなってる!脚も長い!は、はっくしょん!」 大きなくしゃみをして身震いすると、 「さ、寒い!なんで?!何で毛皮が無くなったんだ?!なんか、あ・・!」 京楽がいつも羽織っている着物を思い出した白は部屋にあったそれを身体に掛けた。 「うう・・・、ちょっとはマシか?春水はこうやってたよな?これは?ここに前脚を入れるのか?」 と袖に腕を通した。 「怖い、怖い、何が起きたんだ?俺はどうなってる?早く帰って来いよぉ、春水」 数十分、蒲団の上でブルブル震えていた白。 部屋の障子が開けられた。 「・・・!しゅんすい?」 「誰だい?何で僕の着物を着てるの?白は何処?」 きょろきょろと部屋を見回す。 「しゅ!春水!俺!」 京楽の身体に縋りつく白。 「おっとぉ!ん?」 (この霊圧は?) 外の満月の光に照らされる白の身体。 銀色に光る髪、月光を弾く絹の様な肌、潤みきった瞳。 「白・・・?」 「うん・・・!」 ぎゅううぅ!と着物にしがみ付く白。 「どうしたんだい?こんなになっちゃって?」 「わ、わかんね!満月見てたらこんなんなった!」 「満月を?ふうん。それにしても綺麗になったもんだねぇ、白」 「き、キレイ?変じゃないのか?こんな前脚も長くなったんだぞ」 「前脚じゃなくて腕ね。今の白の身体は僕と同じ形になってるんだよ。僕の身体はおかしいかい?」 「ううん。おっきくてカッコいい」 「おやま、嬉しいね」 「はっくしゅ!」 「おや、寒かったね。今日は一緒のお蒲団で寝ようか?」 「う、うん」 京楽の蒲団に入って眠る白。その身体を軽く抱きしめる京楽。 (あ・・・、春水の匂いだ・・・) すりすりと擦り寄る白。 (まいったね。一目惚れってあるんだねぇ) 腕の中の白を見た瞬間に恋に落ちてしまった京楽だった。 朝になっても白は人間のままだった。 起きてすぐ身体の異変に気付いた。 「あ!何だこれ!春水!春水!」 ばしばしと隣で寝ている京楽を叩いて起こした。 「なんだい?どうかし・・・」 最後まで言えずに絶句した。そこには着物の前を肌蹴て肌を見せている白が居たのだ。 「何、してるの・・・」 「しゅ、春水!なんだこれ!ここ腫れてるぞ!」 白は自身の中心が勃ち上がっているのを見て怯えていた。 「ああ、うん。大丈夫だよ、男は誰でもなるから安心して」 「男?お前もなるのか?」 「まぁね、それと僕以外にそんな格好しちゃダメだよ?特に女の子にはね」 「お前は良いのか?」 「うん、僕は君が好きだからね。・・・君は、どうなのかな?」 大きな手で白の顔を包み、覗きこむ。 「お、俺は・・・」 「うん」 (俺はどうなんだろう・・・?春水が好きなのか?) 「俺、は・・・。あ!」 「どうしたの?」 「や!ココ、なんかビクビクしてきた」 ぎゅっと自分の股間を押さえる。そんな白に京楽は笑いながら、 「白も僕の事が好きなんだね、嬉しいな」 きゅ、と抱き締めると恐る恐る白が、 「しゅんすい?」 「ね、キスしても良いかな?」 「?したいのか?何のことか分かんねえけど春水がしたいなら良いぞ」 「ありがとう」 大きな手で白の小さな顎を持ち上げると触れるだけの口付けをした。 「ん、ん・・・あ!」 するりと白の中心を撫であげると声を上げる白。 「嫌かい?」 「わ、分かんね・・・!ああ!」 やわやわと揉みこんでいくとそこは濡れ始めて来た。 「や、や、変、変な感じ、やめ・・・」 「変?でも気持ち良いでしょ?男はね、ココを触られると気持ち良くなるんだよ。好きな者同士ならもっとね」 「ひあ!」 裾を割り、直に触れる京楽。そこは熱くひくひくと震えていた。 「可愛い・・・」 トロトロと先走りで濡れ、誘うかのように光っている先端を舐める京楽。 「ひゃん!」 ビリビリ!と電流の様な快感が背中を走り抜けた。 「そんな、こと!舐めんな!汚い!」 「汚くないさ、ましてや好きな子の身体なんだから・・・」 そう言うとぱくりと口に含んだ。 「はぁあっ!あ!熱い!ん!んん!あ・・・っ!」 トクン!と京楽の口内に精を吐き出す白。 「あ、あ、あ、あ!」 ちゅう!と全てを吸いつくす様に執拗に吸いあげる京楽。 「や!あ!もう、出ない・・・!」 ちゅる、と口の端に溢れた精を舐め取ると、 「御馳走様。美味しかったよ」 「な、なにが」 「君の初物。若返りそうだ」 「知らん!」 傍にあった枕を投げつけるが手で受け止められた。 「最後までしたいけど無理だろうから、ゆっくりしようね」 額に口付けながら白に着物を着せると自分も着替えて朝食を食べる。 白は箸が使えなかったのでスプーンを使って食べた。 「七緒ちゃんにお願いして教えてもらおうかな」 と呟いた。 「ん?なんだ?」 「ん〜?お箸の使い方ね、七緒ちゃんに教えてもらう?」 「七緒に?」 「そう。彼女、優しいでしょ?」 「んー。春水が言うならな」 「じゃあ決まりね」 と仕事に行く。白も付いて来た。 「おはようございます、隊長。あら・・・?」 「おはよ、七緒ちゃん。この子ね・・・」 説明している京楽の横を通っていつもの自分が寝ているソファに寝転んだ。 「え・・・?あの子が白ちゃんなんですか?本当に?」 「うん、昨夜の満月の光でああなったんだって」 「はあ・・・。それで私に何か?」 「うん、勝手なんだけどね。あの子にお箸の使い方とか一般常識を教えてあげてくれるかい?僕だと偏りそうなんだ」 「なるほど。分かりました」 クイッ!と眼鏡を上げると寝ている白の傍に寄った。 「白ちゃん、起きてますか?」 「んあ?」 「今日から私が貴方に色々教えますので、よろしくね」 「んー。分かった。何でも聞いて良いのか?」 「私に分かる事ならお教えいたします」 その日から、七緒に色々教わる白が居た。 第3話へ続く 11/08/30作 人になった白ちゃん。教育係は七緒ちゃん。厳しいけど優しいです。 |
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