題「誕生日」〜太陽の下で咲き誇る花の様に〜 | |
7月に入り梅雨も明け、蝉がうるさく鳴くようになった。 そんな暑さを物ともせずに一緒に寝ている剣八と一護。剣八は自分の腕の中ですやすやと寝ている一護の顔を見ながら何かを考えていた。 「すぅ、すぅ、・・・ん、ふぅ・・・」 暑いのか時折身体を離すがすぐに擦り寄ってくる一護の柔らかい頬を撫でながら、 「誕生日か・・・」 と呟いた。 もうこれで3度目だ。一度目は水着を、二度目は薬で狐になった。さあ、三度目はどうする? 「ま、考えてもしょうがねぇ。明日店でも覗くか」 と剣八も一護の隣りで眠った。 翌朝、いつも通りに朝食を摂り、仕事に出掛け、昼休みを利用して呉服屋へと足を運んだ。 女物の着物は仕立てた事があったが男物はまだだったな、と思い出した。 「祭りもあるこったし、ついでに浴衣も仕立てるか・・・」 と反物を見繕う。 色とりどりの反物を見ていくが中々決まらず悩んでいるとふと子供達の事を思い出した。 「ああ、ガキ共も要るか・・・」 この春、子供達は真央霊術院に入学し、幾望を残し全員寮住まいである。 無事に入学出来たのは嬉しいがやはり寂しいのだろう。当初は剣八にべったりで、聞くところによると白もそうであった様だ。 子供達の浴衣の相談をする為にその日は何も決めずに呉服屋を出た。 呉服屋を出た所で京楽とバッタリ出会った。 「おや、剣八さん。珍しいところで会ったねぇ」 「京楽じゃねぇか。またサボりか?」 「人聞きが悪いねぇ。ちょっと休憩してるだけだよ?」 「その割にゃあ、七緒が探してたがな」 「あら〜・・・七緒ちゃんには内緒にしてよ。で?剣八さんは何してたのさ?」 「ああ?もうすぐ一護の誕生日だからな。なんか贈ろうと思ってよ」 「一護君の・・・」 「あ?おめぇ、まさか忘れてるんじゃ無ぇだろうな?・・・おめぇの嫁も一緒だろうが」 「あはは。忘れるわけ無いでしょー!」 「ふん、だと良いがな。じゃあな」 剣八はそう言うとさっさとその場を去って行った。 隊舎に帰ると一護が出迎えた。 「お帰りなさい!剣八!どこ行ってたの?」 「ああ、ガキどもに浴衣でもと思ってよ。呉服屋に行ってた」 「ふ〜ん、もうすぐ帰って来るもんね!楽しみだなぁ!おっきくなってるかな?」 「だな。でよ、どんだけデカくなってっか分からねえだろ?どうする?」 「ん〜、卯ノ花さんに頼んで訊いてもらう?」 「そうするか・・・」 「俺が行ってくる!」 そう言って一護は四番隊へと向かった。 「さて、俺はあいつの着物と浴衣の柄を考えるか・・・」 四番隊に着いた一護は卯ノ花隊長を呼んだ。 「あらあら、お久しぶりですね。今日はどうしました?」 「あのね!今度子供達が帰って来るでしょ?それで剣八が浴衣をあげようって言って、でもおっきくなってるかも知れないし、サイズが分かんないから訊きに来たの!卯ノ花さん、知ってる?」 「もちろん。でもそのまま見せる訳にはいきませんから、紙に書いて渡しますわね」 と紙に子供達の身長とサイズを書いて渡してくれた。 「ありがとう!わぁ、結構大きくなってるんだ」 と嬉しそうな一護。 「ああ、そうですわ。一護君、これを・・・」 と渡されたのは向日葵の花束だった。 「わあ!綺麗!ありがとう!でもなんで?」 「お花の会で使ったんですけど多く発注し過ぎたんです。良かったら貰って下さる?」 「うん!俺向日葵好きだよ!嬉しいな!」 「そんなに喜んでくれて私も嬉しいですわ。向日葵も喜んでいるんじゃないかしら」 そんな会話をして四番隊を後にした一護。 「ただいまー!」 「おう、遅かったじゃねえか・・・、一護」 「あ!剣八!見て見て!コレ卯ノ花さんがくれた〜!」 と満面の笑みで向日葵の花束を抱える一護。そんな一護を見て剣八は、 (ああ、あの花が良いか・・・) と思った。 「で、ガキのサイズは?」 「あ、うん!これに書いてくれたよ!ねぇねぇ、俺も一緒に呉服屋さん行っても良い?」 「あ?別に構わねえよ。今から行くか?」 「うん!幾望のも要るしね!」 「そうだな」 と二人連れだってさっきの呉服屋に向かった。 呉服屋に入ると一護は早速反物を見始めた。 「どんなのが良いかな〜」 これが良い!コレも良いな!などと一人で楽しそうだ。 「ああ、これが良いな・・・」 と剣八がぼそりと呟いた。その手には白地に大輪の向日葵の花が咲いた柄の反物だった。 「こりゃ男物たぁ言えねえが似合いそうだ」 とこれで浴衣を誂えよう。 「おい一護!ちょっとこっち来い!」 「なぁに?」 ててて!と小走りで一護が傍に来ると店の人を呼んだ剣八。 「はいはい、何でございましょう?更木様」 「コイツにも誂えるから採寸してくれ」 「畏まりました」 「け、剣八!良いよ、俺の分より」 「お前もうすぐ誕生日だろうが!ぐだぐだ言ってねえで採寸して来い」 ペシン、と 「ねぇねぇ、どんな浴衣なの?」 「当日まで教えねぇ」 「あ!ずるい!」 「分かっちまったら楽しみになんねえだろうが」 「ぷぅ〜!」 「お前は決まったのか?」 「あ、うん!十六夜のはねぇ、この青いのにする!お花が可愛いでしょ?」 「ほぉ・・・」 それは深い青に赤と白で花の絵が描かれていた。 「コレねぇ、ブーゲンビレアって言うお花なんだよ。夏に咲くんだって!帯は白いこれで!」 「良いじゃねえか」 「朔はね、黒地に白い井桁絣で、赤い帯!幾望はね〜、朔とお揃い!」 とポイポイ広げていく。 「で、グリは波で、ノイは亀甲!似合いそうでしょ?」 「良いじゃねえか」 と子供達の分も決まり、サイズの書かれたメモを店員に渡した。 「いつ頃出来るの?」 「さて、お前の誕生日ぐらいじゃねえのか?」 「ふ〜ん。楽しみだなぁ!」 「一護、お前先に帰ってろ。俺は勘定支払っとくからよ」 「うん、夕飯の買い物してくるね」 と一護は市場へと向かった。 「やれやれ・・・、もう一反追加してくれ」 「はい、どれですか?」 「こいつだ」 と差し出されたのは水色の地に白の流水紋に赤い金魚が描かれた物だった。 「涼しげで良うございますね、奥様に、ですか?」 「まぁな、帯はこれだ」 と白い角帯を渡した。 「はい、畏まりました」 無事に勘定を終え、家路に着く剣八だった。 そして7月15日。一護の誕生日。 前日から特別に帰宅が許された十六夜、朔、グリ、ノイが特別に料理を作っていた。 十六夜が指揮を取り、ギャーギャー言いながらも一護の為に手伝うグリとノイ。 「幾望!こっちで生クリーム泡立てるから手伝って!」 「はーい!」 「いっちゃん、ケーキ間に合いそう?」 「うん!後はスライスした苺を並べて、生クリームで飾り付けするだけよ」 と生クリームを泡立てながら話す。 「おーい、こっちのコレ、まだか〜?」 「え〜と、もう良いわ。火を止めて余熱で仕上げるから。御苦労さま!」 「おう、他は?」 とグリが訊く。 「後は片付けだけよ。やっておくから、かか様の所に行って良いわよ」 「ん、分かった。ノイ!行こうぜ」 「お〜」 ひょい!と苺をひとつ食べた。 「あ!ノイ!つまみ食いやめなさい!」 「良いじゃねえかよ!こんだけあんだからよ」 「足りなくなったら困るでしょ!もう!」 「お姉ちゃん、クリーム!」 「あっと!このくらいで良いわね」 半分に切ったスポンジケーキにシロップを打ち、クリームを均して行く。 スライスした苺を並べて、その上にまたクリームを均しもう半分のスポンジを被せた。 「後少し・・・」 残ったクリームを半分残して後をケーキに塗りつけていった。 「後はデコレーションね!」 残ったクリームを少し泡立て、絞り袋に入れると飾り付けしていった。 「朔にぃ、横の方するからケーキ回してくれる?」 「うん」 「わあ〜、美味しそう!」 と幾望の目がきらきらしている。 8つの苺を飾り付け、文字を書いていく。 『HAPPYBIRTHDAY かか様』 「出〜来た!完成〜!」 「すごいすごい!かか様喜ぶよ!」 「お姉ちゃんすご〜い!」 「さ、早く冷蔵庫に入れなきゃ!暑さで溶けちゃうわ!」 と箱に入れ、冷蔵庫で冷やし、後片付けを済ませエプロンを外した。 「さ!あたし達もかか様に甘えなきゃ!行こ!朔にぃ!」 「うん!幾望、おいで」 「うん!」 夕飯の時間まで一護にべったり甘えた子供達。 そしてメインイベントが始まる夜になり、子供達は自分達が作った料理を並べ始めた。 「わあ!美味しそう!もうこんな料理が作れる様になったんだねぇ!」 と満面の笑みで喜ぶ一護。 鶏の唐揚げやハンバーグ、ローストビーフ、鯛のお頭付き、お赤飯等が並べられた。 「鶏の唐揚げはね、塩唐揚げといつもの唐揚げの2種類なの!」 「すごいすごい!」 「グリとノイがお肉を切ってくれたの。ハンバーグも作ったのよ」 二人とも照れている。 「いかのグリルサラダもあるからお野菜も食べてね!あとは夏野菜のお味噌汁!」 「十六夜もお料理上手になったね」 「うん!あ、まだケーキもあるからね!」 「ありがと!」 「おい、一護。これやる」 「なあに?」 もうすぐ食事が始まると言う時に剣八から包みを渡された。 「良いから開けてみろ」 「うん」 包みを開けると中から出て来たのは新しい着物と浴衣だった。 「剣八!これ・・・!」 「誕生日プレゼントだ。今から着て来いよ」 「わぁ〜!綺麗なお着物!かか様着てみせて!」 「うん!僕も見たい!」 子供達に勧められ部屋で着替えてくる一護。 「お待たせ〜。どう?似合う?」 「わあ!かか様綺麗!」 「綺麗!」 「おお〜!」 水色の涼しげな地に、白い流水に泳ぐ赤い金魚。白い帯がまた涼しげだ。 「良く似合ってんぜ」 「ありがとう!嬉しい!」 「さ!かか様、もう始めましょ!」 「うん!」 そして一護の誕生パーティ―が始まった。 子供達の作った料理はとても美味しかった。 「美味しい!美味しい!」 と何度も言う一護。 「まだまだかか様の料理には敵わないわ」 と十六夜。 「ケーキも食べましょ!朔にぃ、手伝って!グリ、ノイ、お皿とか出して」 「うん」 「ああ」 とそれぞれが動いた。 出されたケーキに蝋燭を立て、火を吹き消した後、皆で食べた。 「美味しい!十六夜すごいねぇ!」 と口の端にクリームを付けた一護が褒めた。 「えへへ。結構練習とかしてたのよ。朝月と一緒にね」 「へぇー、朝月も作れるの?」 「うん、白にぃと一緒に作るんだって頑張ってた」 ケーキを食べながら学院の話をする。 ケーキを食べ終え、お腹いっぱいになった子供達は久し振りの我が家の自分の部屋へ帰って行った。 「ふふ、後片付けが大変だね」 「明日すりゃあ良いじゃねえか」 「今やる。明日までしか居ないし」 「どうせすぐ夏休みになって帰ってくんだろ」 「だ〜め」 一護は後片付けを済ませてから寝室に帰った。 「ふう!そんなに多くなかったや。ほとんど十六夜達が片付けてたみたい」 「へえ」 既に敷かれた蒲団の上、剣八が座っている。 「早くコッチ来い」 グイッと引き寄せられた。 「わ!な、なに・・・?」 「決まってんだろ。男が着物を贈ったらそれを脱がせるまで入ってんだよ」 そう言いながら一護の帯を解いていく。 「ちょ、や、剣八!」 その手を押さえる一護。 「あん?なに嫌がってんだ?」 「だって、折角剣八がくれたのに」 「だから脱がすんだろーが。着物ってのは脱がすためにあんだろ。着物贈るってのは後で脱がす楽しみがあるからな」」 「・・・なにそれ、似合ってるとかじゃないの?」 ぷぅ!と頬を膨らます一護。 「似合ってるぜ?お前に一番似合うのを選んだんだからな。脱がすのが勿体無いって思うくらいにな」 「だったら!」 「他のヤツもそう思ってるだろうよ。コイツを脱がすのは俺だけだ、そのためにコイツを贈ったんだからな」 シュルシュルと腰紐を解くとパラリと開いた袷から手を入れ襦袢も乱して行く。 「ん!あ!」 一護の首筋に顔を埋め、肌に吸い付いては赤い跡を舐めた。 そのまま首筋に舌を這わせ鎖骨まで来るとカリカリと甘噛みしながら胸を撫でまわし、小粒を親指で捏ねる。 「あ!やぁん!」 ビク!ビク!と震える一護の背に手を入れ、少し浮かせると乳首に吸い付いた。 「あ!あぁん!」 ピチャと音を立て口を離すと行燈の明かりの中でも分かるくらいに色付いている。 「クク、もう感じてんじゃねえか」 カリッと歯を立てると跳ねる一護の身体。 「きゃう!も、もう、剣八のばかぁ」 「可愛いなぁ、お前はよ」 そのまま一護の中心を握り込むと手筒で扱いた。 「あ!あ!やっ!だめ!だめ!おねが!」 ばしばしと叩いてくる一護。 「んだよ、まだ嫌か?」 「ち、違うの・・・、このままだとお着物汚れちゃう・・・!」 脱がせて?と涙目で懇願してくる。 「そうだな・・・」 と剣八は一護を一糸纏わぬ姿にした。 「ふ・・・」 安心した瞬間、一護の中心は剣八の口内に含まれた。 「あ!ああ!んん!」 あっけなく果てた一護。解放の余韻に浸っている一護の膝を抱え上げるとその奥で息づく蕾に舌を這わせた。 「ひゃ!はぁっん!ん!ん!ああぁ!」 舌で指でそこを解していく。 「け、剣八ぃ・・・も、きて!」 手を伸ばし剣八を求める一護。 「ああ・・・」 熱く滾る自身を宛がうと一気に奥まで貫いた。 「ッあーー!あ!あ!剣!八!ん!ん!あん!」 「は!気持ち良いか?一護」 「ん!ん!いい!気持ち、良い!ああ!」 夢中になって答える一護。 「そりゃあ・・!良かった。俺も気持ち良いぜ・・・」 と一護の耳に熱い吐息と共に囁き、耳朶を食む。耳の裏の薄い皮膚に跡を付け、耳穴に舌を差し込んだ。 じゅぷじゅぷと聞こえる卑猥な音に感じる一護。きゅうきゅうと剣八を締め付け、もうすぐ絶頂だと剣八に教える。 「はぁん!や!や!もう!イく!」 「イけ!遠慮すんな!今日はいつもより可愛がってやるよ」 グリ!と前立腺を抉り、一護をイかせた。 「ひッ!ひゃあぁあん!あ・・・っく!」 「くう!」 一護が達した一瞬後に剣八も最奥に熱を注ぎ込んだ。 「ん、ふあぁあ・・・、奥、熱い・・・」 ピクッ!ピクッ!と震える一護。 「まだ終わんねえぞ?」 夜は長いぜ?といつもより啼かされた一護。 翌日、なんとか起きれた一護は朝食の用意をしていると十六夜が手伝いに来てくれた。 「とと様とかか様っていつまでも新婚なのね〜」 と言われてしまい、皿を一枚割ってしまった。 「い、十六夜?」 「良い事じゃない。夫婦円満なんだから!」 バチン!とウィンクまでされた。 その日のお昼には学院に戻った子供達。次に帰ってくるのは夏休みだ。 終 11/07/26作 卯ノ花さんが子供達のサイズを知っていたのは、健康診断でと言う事で・・・。 向日葵活躍してないな。まぁ次の話で着てもらいますからねぇ。 |
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