題「七五三」
 今日は青陽の七五三だ。
この日の為に一護と剣八は青陽に羽織袴を誂え、剣八も非番をもぎ取っていた。
折角の七五三だからと虎白と斬月も呼びだした。
「なんで俺まで行かなきゃなんねえんだよ」
「お前の可愛い弟の為だろ?斬月のおっさんもノリノリだぞ」
 いつものコートを脱ぎ、一護が用意したスーツに着替えている斬月。
「オッサン・・・」
「なんだ、まだそんな格好をしているのか?」
 とネクタイを締め終わった斬月が虎白に言うと代わりに一護が答えた。
「ああ、コイツは良いんだよ。この白い死覇装と俺の黒い死覇装、それに剣八の隊長羽織で良いんだ。オッサンはやっぱ洋装の方が似合うだろ?」
「そういうものか?」
「じじー!」
 と一護に着付けてもらった青陽が斬月に抱っこを強請る。
「おお・・・」
 ひょい、と抱きかかえる斬月。
「じじも高−い!おとしゃんも高いよー!」
「ほらほら、早く御参りに行くぞー。千歳飴買うんだろ?」
「あ、うん!」
 おろしてー、と言い、斬月も少々名残惜しそうに青陽を下ろす。

 小さな体で羽織はかまを着て歩く姿は微笑ましく、よちよちとペンギンの様にも見える。
「んっしょ!んっしょ!」
 神社の階段を一生懸命自分で昇り、神社に着くと6人で御参りを済ませ、千歳飴を買い、記念撮影をした。
剣八、一護、虎白、斬月が後ろに並び、前に青陽とやちるを立たせ、集合写真を撮ったり、青陽だけの写真も何枚か撮った。
「今日はじじとにぃたん遊んでくれるの?」
 わくわくと顔に書いている。
「そうだなー。夜まで居てくれるってさ!」
「やったー!一緒にお風呂入ろうねー!」
 最近たまにしか来てくれない虎白と、更に輪を掛けて来ない斬月が来てくれて居るのが嬉しいのだろう。いつになくはしゃいでいる青陽。

 撮ってもらった写真を貰い、家に帰る一行。
すぐに遊びたいのか、着くなりすぐ着替えたがる青陽を着替えさせ、放り出す。斬月もいつもの服になっている。
「じじー!にぃたん!飴食べよー!」
 と今日買ってもらった千歳飴を一本ずつ渡すと自分も食べ出す青陽。
「甘・・・」
「飴だからな・・・」
 ボリボリと飴を噛んで食べる虎白。口元と手をベタベタにする青陽。
「あ〜あ〜、べったべたじゃねえか!」
 と呆れながら拭いてやる虎白。
「むぅ!っぷ!ありがと!」
 変わったものだとそれを見ている斬月。
縁側でそんな3人を見ている一護と剣八。やちるは飴を持ってどこかに行った。
そのうち庭で遊び始めた。

「にぃたん!これ!」
「あん?」
 青陽が差し出しているのは白い石。ところどころキラキラと光っている。
「なんだよ?」
「にぃたんみたいでしょ?これがじじで、おかしゃんとおとしゃん」
 黒くスベスベの石、赤っぽい石、緑の石を並べて説明する。
「あー、色つーか、イメージか?で、お前のは?」
「う?まだ!」
「青っぽい石なら其処らにあんだろ」
「一緒に探そ?」
「しゃあねえな」
 斬月に石を預け、探しに行く二人。
自分の様だと言われた石を眺めながら待つ斬月。
「子供と言うのは面白いものだな・・・」
「あったぞ。これは?」
「うん!これでいい!後、これはねぇたんの!」
 と赤みの強い石を探し出していた青陽。
「何やってんだー?もう飯だぞー!」
 と一護が3人を呼ぶ。
「はーい!おかしゃん、これー!」
「うん?なんだー?」
「石ー!」
「ああ、石だなー。綺麗だな」
「うん!これおかしゃん!」
 と先程と同じ説明をする。
「そーかそーか!綺麗な石見つけてくれてありがとなー!」
 と頭を撫でてやる。
「ご飯だから、手を洗っておいで」
「うん!」
「お前等も!」
「へーい」
「うむ・・・」

 6人で夕飯を食べ、青陽がどうしてもと言うので虎白、斬月と3人でお風呂に入った。
『キャー!』
 と風呂場から青陽の歓声が聞こえている。
「何がそんなに面白いんだか・・・」
 寛ぎながら剣八が言うと、
「たまにしか来ねえ斬月も居るからな。嬉しいんだろ」
「そんなモンかねぇ」
 と酒を呷る。
「明日は親父達に写真見せに行かなきゃな」
「ああ、よろしく言っといてくれや」
「偶には顔出せってよ」
「そのうちな」

「また来てね?」
「ああ・・・」
「健やかにな」
 虎白と斬月は青陽が寝る前に帰って行った。

 現世の家族達は、青陽が元気に成長しているのを喜んでくれた。
「一護!次の七五三の時はこっちで祝え!お前等ばっかずるい!」
「そうだよー!あたし達も青陽ちゃんと遊びたいー!」
「ヒゲも偶には良い事言うじゃんか」
 と約束させられた一護であった。







11/11/15作 青陽の3歳の七五三でした。ほのぼのだなぁ。ホントは泥団子作って遊んで欲しかったんですけどね〜。
俺がピカピカの作ってやる!ってはしゃぐ虎白とか。
斬月さんはもうじじで良いみたい。



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