題「結晶」15
 京楽が帰った後、一護を抱いた。
「あ!はぁ、ん!剣、八!」
 しつこいくらいに弄られた乳首は赤くなって勃ちあがっている。全身を撫でまわし一護の中心を握り込む。
「ふぁ!んっ!」
 蒲団の敷布を握り締め、顔を枕に埋める一護の頬に張り付いた髪を梳く。
「こうやって、髪が張り付いた顔も色っぽいんだがな・・・」
「な、何言って・・んん!」
 くちゅくちゅと水音を響かせ動いていた指が蕾を這い、解していく。
「入れるぜ?」
「ん!きて・・・」
 一護の身体を反転させ、腰を持ち上げるとゆっくりと中に入り、一護に負担を掛けない様に浅く、ゆっくりと中を擦る。
「ん、ん、あっ!あん!」
 優しく抱かれるのも好きだが、いつもの激しさを思い出して奥が疼くと早く生まれないかなと一瞬だけ考えてしまい、慌ててその考えを打ち消す。
そんな一護の考えが分かるのか宥める様な口付けをしてくる剣八。
「ん!ん!ふあ!ああ!イク、剣八、あ!ああっ!あーっ!」
 一護が達した一瞬後に剣八も達った。
「ん!あぁ、あつい・・・」
 うっとりと呟く一護の髪を梳きながら、
「もうすぐ工事も終わるからよ。ガキが生まれたらすぐ引っ越せるぜ」
 ちゅ、とお腹にキスをする剣八。
「俺達の家かぁ・・・。どんなの?」
「部屋は結構あるみてえだな。台所も風呂も広いぞ」
「お風呂ってヒノキ?」
「いや、現世と同じ様にするって言ってたぞ」
「あ、それ助かる。な、風呂入ろ」
「ああ」
 抱き上げて風呂に連れて行く。風呂で丁寧に身体を洗い、ゆっくりと湯に浸かる。

 風呂から上がり、剣八が一護の身体と髪を拭き、部屋へと帰り蒲団に入る。
「もうすぐ生まれるんだな〜」
「予定日っていつだ」
「一月の初めか半ばだって」
「そうか」
「俺も料理とか頑張らねえとな〜。子供に色んなの食べさせなきゃいけないし」
「ま、ぼちぼち頑張れよ」
「うん」
 うとうとと眠りに落ちる一護だった。

 12月に入り、年の瀬も目前に迫ってきた。
一護のお腹も臨月に入り、かなり大きくなっている。
「だいぶ髪が伸びたな・・・」
 蒲団の中で一護の髪を触る剣八。
「ん・・・、でももうすぐ切らなきゃな」
「なんでだよ?」
「子供の世話するのに邪魔だろ?何でも掴むし、手加減ないからすごいぜ?」
 妹達の赤ちゃん時代を思い出し苦笑する一護。
「もったいねえな・・・」
 と髪を一房掴むと口付けた。
「剣八、あの、大丈夫・・か?」
「んん?ああ」
 臨月になり、セックスも挿入は避けた方が良いと検診の時に聞いた二人。
「口で良いなら、やるぞ・・・?」
「いい、無理すんな。余計な事考えねえでココで寝てろ」
 と一護を抱く腕に力を込める。
「ん・・・」
 力強い腕に抱かれて安心して眠る一護。

 翌朝、一護が起きても剣八はまだ寝ていた。
「良く寝てんなぁ・・・」
 すり、と擦りよると太股に剣八の熱の塊が当たった。
「あ・・、熱・・・」
 すりすりを触っていると大きくなってきた。
なんだかムラムラとして来た一護がモソモソと蒲団に潜るとそれを口に含んだ。
「ん・・・」
 くちゅ、と舌で舐め上げては喉奥深くまで飲み込んだ。
「・・・ん、んん?」
 自分の下肢に広がる快感に目を覚ました剣八が蒲団を捲ると股ぐらに一護が居た。
「何やってんだ・・・」
「ご奉仕、気持ち良くない?」
「良いけどよ、無理すんなって言ったろ」
「無理じゃない。したかったからしてる。それにパパを放って置いたら浮気されるって聞いた」
「しねえよ、ったく。ん!」
 ぺろぺろ舐めていた一護が軽く歯を立て吸い上げた。
「っく!はあっ!」
「んっ!くう!ん、ん、こく、こく」
 と精を飲み干していく一護。
「飲んだのか?」
「ん」
 ぐいっ!と一護を抱き寄せると噛み付く様な口付けをした。
「ん!んん!ふっ!んあ、ん」
 口腔内を舐めまわし、己の残滓を全て舐め取った。
「ん、ふあ、あ・・・」
「朝から煽ってんじゃねえよ」
 その後、朝食の時間まで蒲団の中でじゃれ合っていた二人。

 朝食の後、検診へと二人で行く。
もういつ生まれてもおかしくはないので、色々と準備が必要になる。
剣八は出産の場に立ち会うので心構えやら何やらを言われていた。
二人で呼吸法などの練習などもした。
「後は陣痛が来たら、真夜中であろうとここへ来て下さい。絶対に」
 と念を押される。
「陣痛が始まってから出産まで何時間掛かるか分かりません。一護君は初産ですし、男性ですからね」
「はい」
「陣痛が始まって分娩室に入ってからなるべく限界まで我慢してください。お子さんの魂魄が母体と分離しようとしているんです」
「は、はい」
「完全に離れる準備が整ったら私達が赤ちゃんを取りあげます」
「取り上げる・・・」

 取り出す、ではなく取り上げると言ってくれた事が嬉しかった。

一護は大きくなったお腹を摩りながら、
「よろしくお願いします」
 と頭を下げた。
「はい、頑張りましょうね」
 とその日の検診は終わった。

 隊舎に戻ると一護は手洗いとうがいをすると居間にある炬燵に入って編み物を始める。
背中にはやはり、ワカメ大使のクッションが鎮座している。
「一護、昼飯どうすんだ?」
 と居間の障子を開けると炬燵に入ったまま寝ている一護が居た。
「こら、風邪引くだろうが」
 と揺り起こすと、
「ん〜〜・・・」
 と眠そうな声が聞こえて来た。
「しょうがねえな・・・」
 と一護の背中にあったワカメ大使クッションを取ると一護の背後に陣取った。
「ん、んん?」
「起きたか?」
「あ!剣八、どうした?」
「昼飯どうすんのか聞きに来たら寝てたんでな」
「あ、ごめん」
「良いから食いに行くぞ」
「へーい」

 慌ただしい年末も、厳かな年始も無事に乗り越え、予定日が近づく一月上旬。
「もう家の改築終わったんだな」
「ああ、あとは家具やら何やらを運び込むだけだ」
 隊首室の剣八の膝の上でそんな話をしている一護。
「ん?」
「どうした?」
 お腹を触りながら首を傾げる一護。
「お腹痛い、かな?」
「陣痛か?」
 俄かにざわつき出す隊士達。
「ん、まだ分かんね、うあ!」
 ズキン、ズキンと激しくなる痛み。
「来た、かも・・・!」
「四番隊に行くぞ」
「う、ん・・・」

 四番隊へ担ぎこまれる一護。
「うう〜!」
 ベッドに寝かされ、唸っている。
「もう少し掛かりますからね」
 と点滴の針を手早く射した卯ノ花隊長に言われる。
「は、はい・・・。あう!」
「一護・・・」
 一護の背中をさすってやる剣八。
「ん、気持ちい・・・、だいぶ楽・・・」
「そうか」
 陣痛が始まり数時間が経った。
「どうですか?」
「さっきより、ひぅ!」
 最後まで言えないくらい痛い。
卯ノ花隊長が一護のお腹を触る。
「お腹が張って固くなってきましたね。分娩室へ行きましょうか」
「は、い」
 病室から出るといつから居たのか、やちる達がそこに居た。
「何やって・・・」
「いっちー頑張って!」
「元気な子産むのよ!一護!」
 みんなが励ましてくれている。
「はは・・・、頑張んなきゃな・・・」
「そうだな」

 分娩室に入ってもまだ陣痛は続いている。
どんどん酷くなる痛みに脂汗を流しながら耐える一護。
「うう〜!いてえ〜!はっ!はっ!ああっ!」
 剣八の手を握り締めては呻く。
「斬られる方がっ!マシだな、ああうっ!」
「そんな痛えのかよ・・・?」
「ああ・・・。いあああっ!ぐううう・・・」

 陣痛が始まって半日以上・・・。痛みの間隔が狭まってきた。
「もうすぐですわ。後少し頑張ってください」
「は、い、うああああっ!」
 そんな一護の呻き声は扉の向こうにも聞こえていた。
「いっち〜・・・」
「大丈夫ですよ、隊長が傍に居るんですから!」
 と慰める弓親。

「うああっ!痛いっ!痛あぁっ!」
 戦いの時でさえ見なかったほど苦しそうな一護の顔。
「もうすぐです!イキんで下さい!」
「ぐうぅうう〜!」
 卯ノ花隊長と虎鉄副隊長により、出て来た魂魄を取り上げる。
自分のお腹が熱くなり、ふっ、と痛みがなくなり軽くなった。
「っあ!はあぁ!はあ!はあ!ああ・・・」
「生まれましたよ、一護君、更木隊長」
 言われた途端、
「おぎゃあっ!おぎゃあっ!」
 と元気な声が響いた。
「あ、やっと、生まれた・・・剣八、生まれた・・・」
 と横に居る剣八を見た一護は一瞬固まった。

眼帯に覆われていない左目が、薄らと、だが確かに濡れていた。

「剣八・・・?」
「あ・・・?見てんじゃねえ・・・」
 と顔を背けようとするので腕を伸ばし、剣八の顔を引き寄せた。
「おい、一、護・・・」
 ぺろりと、その目の涙を舐め取った一護。
「ありがとう・・・。お前の子供を産ませてくれて・・・、俺との子供を欲しがってくれてありがとう。俺、生まれて来て良かった・・・」
「一護・・・!」
 剣八も一護の身体を抱きしめた。
「あらあら、仲の良いこと。おめでとうございます」
 産湯を終えた我が子を抱いて戻ってきた卯ノ花隊長が居た。
「あ!」
「さ、お母さんですよ」
 産着に包まれた赤ん坊を抱く。
「猿みてえだな」
 と剣八。
「第一声がそれかよ、お前・・・」
 父親譲りの黒髪の男の子だった。
「顔はお前に似てるな」
「そうか?」
「ああ」
「さ、検査も有りますからね。新生児室で休ませてあげてください」
 と子供を連れて行く。
体力を消耗した一護は絶対安静を言い渡され、病室へと連れて行かれた。

 病室のベッドでウトウトしてる一護の髪をずっと撫で続ける剣八。
「ありがとよ・・・」
 とぽつりと呟いた。

 翌日。
一護の子を見ようとやちるや乱菊、ルキアがやってきた。
「どれ?どの子が剣ちゃんといっちーの赤ちゃん?」
「ほら、あそこ。黒い髪の」
「おお!愛らしい!」
 仕事の時間になるとちゃんと仕事には出た様だ。

 ミルクをあげるために一護の病室へ連れて行かれる赤ちゃん。
「あ、卯ノ花さん。剣八」
「おはようございます、良く眠れましたか?」
「はい、ありがとうございます」
「赤ちゃんにミルクをあげて下さい」
 とミルクの上げ方を教えてやる。
「んっく!んく!んっく!んっく!」
「すげぇ・・・」
「ふふ、勢いがすごいでしょう?体全体で生きようとしてるんですよ」
「はい!」
 ミルクを飲み終わるとゲップのさせ方を教える。
「こう、縦に抱いて、背中をさする様にポンポンと叩いてください」
「こ、こうですか・・・?」
 恐る恐るポンポン叩く。
「もう少し強く」
 ポンポン!
「んっぷ!」
「あ、出た」
「また後でおしめの換え方も教えますね」
 と部屋を出て行った卯ノ花隊長。

「生まれたな・・・」
「ああ・・・」
「なぁ、お前あの時さ・・・」
「・・・・・・知らねえ」
 一護の顔を見ずに息子の顔ばかり見ている剣八。
「甘かった」
「はぁ?」
 漸く一護の顔を見た剣八。
「あれ、初めてだろ?」
「・・・・・・・」
「やっとお前の初めて貰ったな〜。俺の初めてって全部お前が持ってったもんな〜」
「あほか・・・」
 お前こそ、俺に与えているだろう、初めてを・・・。

 一護の腕の中でウトウトし出した赤ん坊。

 ようこそ。
ようこそ、この世へ。

 生まれて来てくれてありがとう。

 俺達の結晶。







11/02/25作 祝!出産! 初めて泣いたと思われる剣八氏。
出産法は鬼道か何かだと思ってください。




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