題「初めてのお正月」2 | |
一護に誘われ付いて行った台所では弓親が割烹着を持って待っていた。 「ようこそ!今日は手伝ってね!白君」 弓親の後ろには既に切られた野菜などの材料が用意されていた。 「良いけどよ、俺が手伝って大丈夫なのかよ?」 「大丈夫だよ、出汁は出来てるからね!具材を順番に煮ていくだけだよ。灰汁の薄い物から順番にね!」 「ふう〜ん・・・」 金時人参、ごぼう、里芋、高野豆腐、こんにゃく、干しシイタケ、くわいなどの煮しめの材料に、紅白のかまぼこ、数の子、ぶり、栗きんとん、黒豆、田作り、紅白なます、伊達巻、有頭海老なども並んでいた。 「おせちの食材にはそれぞれ意味があるんだよ」 と弓親が人参を切りながら言いだした。 「意味?」 白が問い返す。 「そう、栗きんとんは金の塊を表してたり、里芋は子孫繁栄とかね。他はおめでたい物って意味で紅白のかまぼことか膾があるね」 「ふう〜ん」 「ごぼうは末永く幸せにって意味だってさ。白君もずーっと幸せにね」 「?俺は春水が生きてれば幸せだが?」 さらっと無自覚に惚気る白。ふふっと笑いながら弓親が、 「じゃあ海老は入れなきゃね。これは腰が曲がっても長生き出来ますようにって意味だって」 「そうか!」 割烹着を着て頭に三角巾をした白に煮ていく順番を教え、白は頑張った。 もうもうと湯気の満ちる台所では、白と一護と弓親が楽しそうに話しながらおせち作りに励んでいた。 いつから居たのか、框の所に剣八と京楽が揃って陣取っていた。 「隊長・・・、そこ邪魔なんですけど」 と弓親が言ってもどこ吹く風。一護が、 「あ、剣八!丁度良かった!お節のお味、これで良い?」 と出来あがった高野豆腐を、 「あ〜ん」 と剣八の口へ運んでいた。 「あ。ん、丁度良い」 「良かったぁ!たくさん作るからね!」 「ああ」 白は一生懸命、鍋の中身をグルグル掻き混ぜている。その鍋の中身を横からひょい!と摘まんだ京楽。 「あ!こら!つまみ食いすんな!春水!」 「え〜?だって美味しいよ?」 「ほ、ホントか?」 「ホントだよ?白も随分と上手くなったねぇ」 にこにこ笑いながら白の頭を撫でてやる京楽。 「お、おぅ!」 白の頬は鍋の熱からか、はたまた別のせいか薄ら赤く染まっていた。 無事におせち料理が出来上がり、それぞれ冷まして3段のお重に詰めていった。 「はいこれ!にぃにの分だよ!」 と一護がお重を差し出した。 「え?貰っていいのか?」 「うん!一緒に作ったんだもん!それに京楽さんも食べたいんじゃないかな?子供達も!」 「そうだねぇ。お言葉に甘えて頂こうよ、白」 「お、おう。ありがとな、一護」 満面の笑みで礼を言う白。 帰り道ではお節の詰まったお重とお餅を持って帰る京楽一家。 「春水、お餅重くねえか?」 「大丈夫!君こそお節重くなぁい?」 「俺一応男だぞ。平気だっつの!」 「とと様、かか様、往来でイチャ付かないでね」 にっこり笑って釘をさす朝月。何処となく誰かに似て来た。 「お、おう・・」 「はぁい」 無事家に着くと鏡餅を飾り付け、お節を涼しい所に置き夕飯を食べた。まだ餅で空腹ではなかったので軽く済ませた。 12月31日大晦日。 なにやら落ち着かない雰囲気で過ごし、夕飯は年越し蕎麦だと京楽が言った。 「年越し蕎麦ってなんだ?」 と白が聞く。 「大晦日の夜に食べるお蕎麦の事だよ。家族が皆健康で長寿で居られます様にって意味もあるらしいよ」 「ふう〜ん」 家族5人で大きな海老の天ぷらが入った蕎麦を食べる。 「あ〜っ」 と大きな口を開けて海老天と格闘している夕月。ちゅるっ!と蕎麦を啜る朝月。黙々と蕎麦を食べるウル。 穏やかな顔で子供達を見ている京楽の隣りには一心不乱に蕎麦のつゆを飲んでいる白が居る。 「っぱぁ!あ〜!美味かったぁ!」 「それは良かったね、白。さ、皆のお腹が落ち着いたら今年最後のお風呂に入ろうね」 ふきふきと白の口の周りを拭いてやる京楽。夕月の顔はウルが拭いてっている。 「おう!分かった!」 夜の9時を過ぎた頃、一年の垢を落とすためにお風呂に入った。 まずは子供達を先に入れ、最後に白と京楽が入った。 「ふう〜!ああ、気持ち良い・・・」 「そう、良かった」 「なんか変な感じだな」 「うん?」 「明日になったら新しい年だなんて」 「そうかい?さ、もうお蒲団に行こ?」 「ん・・・」 二人で部屋に入ると京楽が白を優しく押し倒した。 「ん・・・!なに、春水?」 「あのね、今年最後の睦み事と歳が明けての睦み事を同時に迎えたいんだけど・・・」 「え、う、あ・・・」 「君と初めて迎える年明けだから、ね?君と繋がっていたいんだ・・・」 蕩けそうな欲情を湛えた瞳と声で囁かれ白が堕ちた。 「す、好きにしろ!」 「うん。白、愛してるよ・・・」 「ん・・・」 ちゅ、と触れるだけの口付けから深い口付けを繰り返し、白の官能を揺さぶる。 「ん、ふ、あ・・・」 細く白い首筋が反らされ、そこに顔を埋める京楽。 「ん、んあ!」 きゅう!と吸い付き赤い跡を付け、そこを丹念に舐めると更に舌を這わせていく。 「ん、あ、熱い・・・春水」 「うん・・・」 薄い胸板の色付く小粒を指で摘まんで刺激する。もう片方を口に含んで舌で転がす。 「ん!ん!やぁ!」 優しく唇で食んでは歯を立てる。 「きゃうん!それ、やあ・・・!」 「そう?でも白のここ、嬉しそうに涙流してるよ?」 くちゅ・・・と白の中心の先端に指を這わせる。 「ひゃあうん!あ!あ!」 こぷっ!こぷっ!と透明な体液が溢れて京楽の手を濡らしていく。 「ああ・・・!白!白!」 白の蜜が溢れ、京楽の手を濡らし、その奥にひっそりと息づいている蕾まで濡らしている。 「ああ、なんて可愛いんだろうね・・・」 ぺろりとそこを舐め上げ、口付ける。 「やぁっん!しゅん!すい!そこ、ダメぇ!」 京楽の頭を退かそうと髪を鷲掴むと、にゅる、と舌が入ってきた。 「ひぃん!あ!あ!やあぁ・・・!」 背を撓らせ、ビクビク身体を振るわせる白。 「そんなに押さえ付けられると『もっと』って強請られてるみたいだよ・・?」 「あんッ!バカァ!」 「ふふ・・・」 「っあ!あ、あ、あ!」 グッ!グシュ!ぐちゅぐちゅ、と水音をさせ、白の中を出入りする京楽の指。 「もう大丈夫かな・・・?」 「ふっ!ふぁ!はやく!春水!しゅんすい!」 抱っこを強請る子供の様に両手を差し出し、全身で京楽を求める白。 「・・・ッッ!」 ずるりとすべての指を引き抜き、怒張している自身を宛がう京楽。 「あ、ああ・・・しゅんすいの・・・!」 「いくよ・・・!」 「ん・・・!んあぁあ!」 ゆっくりと白の胎内に自身を納めていく京楽。 「く・・・う・・・!」 「春水、春水、ああ!ああ!春水ぃ!」 ぎゅうぅ!と抱きつく白が可愛くて愛おしくて、京楽も白を抱きしめ返す。 「ああ・・・愛してるよ、白・・・」 「んっ!ンッ!俺、も!あい!愛してる!ああん!」 白の最奥を突き、同時に達した二人。 暫くお互いに息を整えていると遠くの方から何やら音が聞こえてきた。 「?しゅんすい、なに?あれ・・・?」 「ん?あれ?」 「ごぉん・・・って」 「ああ、除夜の鐘の音だよ」 と頬に張り付いた髪を梳いてやりながら教えてやる。 「じょやのかね・・・」 「うん。百八回衝くんだよ、それが終わったら新年だよ」 「ふうん・・・、なんでそんなに衝くんだ?」 「百八って言うのは人の煩悩の数って言われててね。それを払うって言われてるよ」 「ぼんのー」 「うん、それを綺麗に払って新年を迎えましょう。って所かな」 「ふぅん・・・ぼんのーってなに?」 「人の欲。アレが欲しい、これが欲しいとか。御坊さんの修行で邪魔になる物とか、ああそう言えば愛も煩悩のうちだって言うね」 「愛・・・。ぃや!」 突然白が抱きついて来た。 「ど、どうしたの?白・・・!」 「や!じょやのかね、いや!聞きたくない!」 「どうしたのさ・・・」 「やだ、春水、除夜の鐘聞いたら俺を愛さなくなる!やだ!」 いやいや!と顔を横に振り、 「やだ・・・聞かないで、どこにも行かないで!春水!春水!俺を愛して!ずっと!いやぁ・・!」 泣きながら切に訴える白。 「白・・・ッ!ああっ!ごめんよ!そんなつもりじゃなかったんだ!僕が君を愛さなくなる事なんてこの世の終わりが来ようとありえないよ!」 泣かないで・・・。と流れる涙を優しく唇で吸い取ってやる京楽。 「ほんと・・・か?」 「本当。君に誓ったでしょう?」 「ん、うん・・・」 「それにね・・・」 「?」 「僕の君への愛情は除夜の鐘如きでは払えやしないよ・・・。尸魂界と現世の煩悩を掻き集めたって足りやしないんだから」 「・・・ばか・・・」 「さ、続き、ね?」 「あん・・・」 ごおぉん・・・。 「んあ・・・!」 ゆっくり鳴る鐘の音と共に動き出す京楽。 「ふふ・・・あと何回かな?」 ごおぉん・・・。 「やぁ、ああん!」 ずるりと引き抜かれ、ずるんと奥まで埋められる。それを繰り返されるうちに白の中心からは止めどなく白濁が零れていた。 「ああ、白、白、僕の白・・・愛してる、とっても、とっても・・・!」 「ひぃんっ!しゅんすいぃ!変、だよぉ・・・!か、身体の奥ぅ!ジンジンしてるぅ・・・!」 「ココとか?」 ぐりゅ、としこりを抉ると、 「ひゃあううん!あ、あ、あ・・・・!」 ぴゅくん!と吐精した白。 「も、もう!いつも、みたいに・・・!」 ごおぉん・・・。 「ひんっ!・・・しゅんすいぃ・・・!」 ちらりと部屋の時計を見る京楽が動きを止めた。 「?」 ふっ!ふっ!と荒い息の中、自分を見上げる白に、 「明けましておめでとう」 「ふ、ふぇ?」 「今年もよろしくお願いします。これからずぅ〜っとだね」 にっこりと笑いながら白に口付けた。 「ん・・・あ、あけまして、おめでとう・・・春水」 「うん。さぁこれから姫始めだよ」 「え?ふあ!ああん!あっ!ああっ!やあぁああーーっ!」 「くうっ!」 二人の睦みあいは陽が昇るまで続いた。 ハッ!ハッ!と二人の荒い息遣いだけが聞こえている部屋。 「白、白・・・」 「ん、んあ?」 「ほら、お陽様昇ってる。初日の出だよ」 「はつひので・・・?」 まだ体に力の入らない白の身体に寝巻きを二人分掛けてやると障子を開けた。 「今年初めてのお陽様だよ。白と見たくて」 「ん・・・」 すり・・・と温かい京楽の身体に擦り寄りながら日の出を見る白。 「綺麗だな・・・」 「そうだね」 「・・・日の出がこんなに綺麗だなんて知らなかったな・・・」 「ん?白は日の出を見るの初めてかい?」 「いや、日の出はしょっちゅう見てたけどよ。昔は『ああ、今日も生き延びれた』って感じだったし・・・、い、今は、お前の横で、朝まで、ね、寝てるし・・・」 「ああ・・・。そうだね、もうずっと僕の腕の中で目覚めるんだもんね」 「うっせ・・・」 「さ、もう冷えてきたね・・・」 ぱたん、と閉じられる障子。 「もう少しおやすみ。朝みんなでお節を食べて初詣に行こう」 「うん。おやすみ・・・しゅんすい・・・」 とろん、とした眼差しで京楽を見つめながら眠りに落ちた白だった。 朝、晴れ着に着替えた子供達と一緒に雑煮とお節を食べてから初詣に行った白。 初めての御神籤にはしゃいぎ、絵馬を書き、屋台を制覇していった。 「しゅ〜んすい!早く!こっち!こっち!」 「はいはい。今すぐ行くよ」 フワフワの襟巻を巻いて飛びきりの笑顔の白を見る京楽の顔も笑顔だった。 第3話へ続く 12/01/19作 去年から丸一年ほったらかしとか・・・! そんな訳で漸く書けました。次は一護のターン。一護は初めてじゃないけど、そこはそれで(笑) |
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きつねのおうち |