題「ホワイトデー」2剣八編
 剣八は隊首会が終わった後、狛村と話し終わった京楽を捕まえてこう切り出した。
「おう、聞きてぇ事あんだがよ」
「なんだい、剣八さん」
「・・・白の、指輪のサイズってのか?どんぐらいなんだ?」
「白の?なんだい、急に」
「うっせえな、一護と双子だろうが。じゃあ同じじゃねえのかよ」
とそっぽ向く剣八に合点がいく京楽。
「ああ、なるほどね。確か9号だったはずだよ。何?ホワイトデーのお返しかい?」
「ああうっせえな!離れろ!」
「良いじゃないか、僕も買いに行こうと思ってたんだ。丁度いいし、一緒に行かないかい?」
「あん?お前とかよ」
「良いお店紹介するよ?」
「ちっ!しゃあねえな」
そう言う訳で昼休みに一緒に出掛ける事になった剣八と京楽だった。

 昼休み。
「遅え」
「そうでもないでしょ。さ、こっちだよ」
と案内する。
訪れたのは、和物、洋物のアクセサリーを扱う店だった。
「僕はもう検討つけてるから、じゃね、剣八さん」
と言って離れていった。
「ふん・・・、さてと、何がいいかね・・・」
と物色していると目の端に赤い櫛が映った。
「へえ、いいじゃねえか・・・」
それは赤い漆塗りの櫛で、牡丹の花の絵が描かれていた。花の回りは金で縁取りされ、花弁は薄紅色だった。
「あいつは赤が似合うからな。これが良い」
と十六夜に櫛を選んだ。次は、一護の指輪だ。指輪のコーナーへ行くとあまりの種類の多さに目がチカチカした。
「多いな、おい・・・。ん?」
ふと顔を上げると、『誕生石の種類』という紙があった。
「誕生石・・・か、あいつ確か7月生まれだったな」
7月はルビーだった。
「ん?11月はトパーズ、か?」
しばし考え、
「よし!おい店主!」
「はい、お決まりですか?」
「おう、これとこの石の指輪を二つだ。一つは9号で、もう一つは俺のだから今測れ」
と言い自分の指のサイズを測ってもらった。
「はい、このサイズですね。出来上がるまで少々お時間頂きますので、どうぞごゆっくり店内を見て回るか、ここでお休み頂くかお好きになさってください」
と言われ、もう一つ何か買おうと店を回った。
指輪のコーナーの隣にはブローチがあった。
「へえ、コレも良いか・・・」
その中でも剣八の目を惹き付けたのは、象牙で出来た桜のブローチだった。
「作りが細けぇな・・・」
それは、一枝に桜が咲き誇る様子を彫った物で、花弁は薄紅色だった。枝にも模様は施されていた。
「おやお目が高いですね。それはもうそれだけしかないんですよ。ブローチにも帯止めにもなりますので重宝しますよ。なにより物が良いので、大切に使えば何代にも受け継がれます。奥様から、娘様、その後の孫子の代までも」
と店の女将が話掛けて来た。
「ふうん・・・、娘、ね・・・」
一護の次は十六夜へ。そしてその子供へと・・・。
「くっ!良いじゃねえか。おいコレも貰うぜ」
「ありがとうございます。先程の指輪も出来あがりましたので、どうぞこちらへ」
「おう」
会計へと向かう剣八。
「ああ、櫛は別に包んでおいてくれ」
「分かりました」
代金を払い、店を後にする。
「またのお越しを」
「おう」

さてどうやってこれを一護に渡すか。時間がな、夜にするか。十六夜は遊びから帰ってからでいいな。今日は幾望の子守りさせちまったからな・・・。

隊舎に戻ると十六夜が帰っていたので、呼んだ。
「おい、十六夜!こっち来い」
「なあに?とと様」
「おう、ホワイトデーのお返しだ。受け取れ」
「わ!なんだろ!ありがと、とと様!」
と包みを受け取った十六夜は、
「開けても良い?」
と聞いた。
「おう、ここより縁側で開けた方が良いんじゃねえのか」
「そうする!一緒に行こ!とと様」
と剣八を引っ張っていく十六夜。
「なんだろ〜、わくわくしちゃう!」
かさかさと包みを開けていくと赤い櫛が出て来た。
「わぁ〜・・・綺麗・・・!ホントにコレあたしに?」
「おう、そう言ってんだろ」
「ありがとう!とと様大好き!」
ぶんぶん千切れんばかりに尻尾を振りながら十六夜は剣八に抱き付いた。
「うおっと!そんなに嬉しいか?」
「うん!だってこれとっても綺麗なんだもの」
「お前も年頃だろうが。ちゃんと使えよ?」
「うん!大事にするね!かか様ー!」
と一護の元に走っていった。
「あんなに喜ぶとはよ・・・」
くっくっと忍び笑いをもらした剣八だった。

「かか様!見て見て!コレ!とと様がホワイトデーのプレゼントだって!」
「へえ!綺麗な櫛だねぇ。色も十六夜に似合ってるよ」
と頭を撫でてやった。
「えへへ、嬉しいな。狛むーからもね、あたしは赤が良く似合うって言われたの」
「良かったね、宝物が増えたね」
「うん!かか様は?」
「うん?まだ貰ってないよ。さっき帰って来たんでしょ?とと様」
「あ、そっか!何貰ったか教えてね!かか様」
「うん、良いよ」

 そして夜。
「おい、一護こっち来い」
「なあに剣八」
蒲団の上で胡坐を掻いている剣八の傍に行くと座る様に言われた。
「?なに?一体」
「これ、バレンタインの、返しだ」
と二つの包みを渡された。
「わあ!ありがとう!何だろう?開けて良い?」
「ああ」
丁寧に開けていくと、青いビロードの箱と小さな紙袋が入っていた。
「わ、二つもある・・・」
とビロードの箱を手に取り、蓋を開けると中には指輪が二つ入っていた。
「剣八、コレって・・・」
「指輪、お前持ってなかったろ」
「うん、そうだけどなんで2個?」
と首を傾げてくる。
「これに付いてる石はな、誕生石つってお前の誕生石と俺の誕生石だ」
「うん・・・」
「指、出せ」
と左手を取った剣八がルビーの指輪を一護の薬指にはめた。
「あれ?ぶかぶか・・・」
見てみると剣八はトパーズの指輪を薬指にはめていたが、途中で止まっている。
「剣八?」
「ルビーはお前の誕生石、このトパーズは俺の誕生石だ一護」
「うん」
すっ、と指輪をお互いの指から外し、箱に置くとまだ分からない顔の一護の薬指に今度はトパーズの指輪をはめた。
「あ、今度はピッタリだ」
「次はお前が俺の指にはめるんだ」
「あ、うん」
とルビーの指輪を剣八の左薬指にはめた。
「あ、ぴったり」
「指輪の交換は済んだな・・・。一護・・・」
「なあに?剣八」
真剣に見つめる剣八が触れるだけの口付けをした。
「え、と・・・」
「簡単だけどよ、結婚式のまねごとだ。今のは誓いのキスだな」
「ばか・・・」
「顔赤いぞ」
「もう!もう一つは?」
かさり、と開けると中からは象牙のブローチが出て来た。
「わ、コレも綺麗・・・」
と手に取って、細工を指でなぞっている。
「まだ寒いからな、襟巻やら、肩掛けを止めるのに良いだろ?後、帯止めにも使えるんだとよ」
「へえ!使うのがもったいないくらい綺麗・・・。まるで本物の桜が小さくなったみたいだね」
「物は良いから、大事に使えば、何代も使えるってよ」
「何代も?」
「ああ。お前の次は十六夜だ。その次は十六夜の子供に、その子供ってな」
「すごい・・・、俺!大事にする!絶対!絶対!なくさない!俺と剣八が居なくなってもコレが残っていれば・・・、俺達の家族が続いて行くんだね・・・。嬉しい・・・!」
胸元できゅっ、と握り締め微笑みながらもうっすらと涙を浮かべていた。
「一護・・・、なぁ一護」
「ん・・?」
「愛してるぜ、泣くなら俺の下で泣けよ」
「あ、ばか・・・」
優しく押し倒し、その目の涙を唇で吸い取った。
「お前は?言わねえのか」
「愛してる、剣八」
「一護・・・」
するり、と寝巻きの中に手を入れ、胸を撫で回して行く。
「あ・・・、ふ・・」
大きな手が胸の小粒を掠めた。
「あ!」
「くく・・、今日はいつもより可愛がってやるよ」
「あう・・」

ちゅ、ちゅ、と口付けを身体中に降らせ、赤い跡を残してはそれを舐めていく剣八。
クニクニと指で乳首を捏ねては転がしていた。
「あ、ああ、んんん、はぁん!」
「胸だけでこんなかよ・・」
と一護の中心を掴むとそこはもう固くなり、蜜をしとどに溢れさせていた。
「だ、だってぇ・・・、すごく感じちゃうんだもん、な、なんか骨盤の中がジンジンするの・・・」
と恥ずかしそうに言う一護。
「そのうちココだけでイッちまうかもな」
と舌で転がし、甘く噛んだ。
「きゃんん!」
とろり、と吐精した一護。
「・・・イッちまったな、一護」
「け、剣八のばかぁ・・・」
「それだけ俺に抱かれてるってこった、ほらこっち来い」
向かい合わせになるように抱っこすると手に残った精を一護の蕾に塗り込めた。
「あ、あうん、あ、あ、やあ・・・」
「や、じゃねえよな、ここ、ひくひくしてんぜ」
くぷん、と指を飲み込んでいくそこはすでに蕩けていた。
「ああん!んん!もっとぉ・・・奥ぅ・・・」
くねくねと腰を揺らし、先を強請る一護。
「強請り方も上手くなったな・・・」
くぷくぷと慣らしていく剣八。
「あ!あ!は!早くぅ!いじ!いじわるしないで?」
涙をたたえた目で見上げてくる一護に剣八の我慢も限界を迎えた。ちゅぷっ!と指を抜くと既に怒張している自身を宛がうと、
「行くぞ、一護」
と一護の耳元で囁いた。
「あ、あぁん、きて・・・」
ぐ、ぐぷぷぷ、と飲み込んでいく一護。
「あ、はぁあああぁあん!」
ぴゅっ!ぴゅく!と吐精しながら全てを納めていく。
「ん、んふぅ・・・、おっきい・・・、熱い・・・」
「くく!善い眺めだな、綺麗だぜ、一護」
「や!やあん!あ!あ!奥に!あふ!こつこつ当たってるぅ!」
ぽふ!と現れた尻尾と耳。歓喜している事を知らしめる様に左右に揺れていた。
「あ、ああん!剣八ぃ、動いてぇ、このままじゃ、ンクッ!またイッちゃうぅ・・・」
「くく!それも見てえがな。俺も限界だ・・・壊れんじゃねえぞ?」
ずく!ずく!を奥を突いては一護を啼かせた。
「あ!ああん!善い!気持ち良いのぉ!やあぁん!またイッちゃう!」
ぴゅくん!と果てた一護の中ではまだ息づいている剣八が居た。
「まだだぜ、もっと、もっとイケよ一護。潮噴いちまえ!」
「きゃああん!あっ!あっ!そこ!そこはぁ!」
一護の前立腺を攻め始めた剣八。円を描くように擦っては、そこを抉るように突いた。
「ひっ!ひいぃああ!きゅううん!んああぁあっ!きゃっ!きゃうう!」
ビクッ!ビクッ!と果てながら、まだ襲い来る快感に一護の呂律は回らなくなっていった。
「も、もうらめぇ・・・!出ないよぉ・・・きゃふ!んふあああ」
「もっと楽しみたかったがな、まあいい、一護最後は一緒にイこうぜ」
と左手を握った。
「あ、ああん!剣八!剣ひゃちぃ!や!や!んあああーーっ!」
ぎゅううぅと締め付けて薄くなった精を吐き出してイッた一護。
「っくう!」
ドクッ!ドクッ!ドクンッ!と灼熱の精を全て一護の中に注ぎ込んだ剣八。
「んはあぁあっ!熱ぅい!剣、八ぃ・・・」
と気絶してしまった一護。それでもその手は離さなかった。
「くく・・・、もう色も付いてねえな・・・」
と最後に出された一護の精を見ては満足そうに笑う剣八だった。
いつものように風呂に入れ、清めてから一緒に眠った。

翌朝。
「・・・お尻痛い・・・」
「ワリィな、はしゃぎ過ぎた・・・」
「もう!今日何にも出来ないじゃない!」
ポカポカと一護に叩かれる剣八。その顔は笑っていてされるがままだった。

お昼過ぎに漸く動けるようになった一護は十六夜に、
「かか様は何を貰ったの?」
と聞かれ、
「この指輪とね、このブローチだよ」
と見せた。
「わあ!綺麗!良いなぁ、素敵・・・」
「指輪はあげれないけど、このブローチは十六夜がお嫁に行く時にあげるよ」
「え?」
「それでね、その次は十六夜の子供にあげてほしいんだ」
「かか様?」
「これは物が良いから何代も持てるって。ならそうやって俺達の家族に持ち続けて欲しいんだ」
「素敵ね、あ、でもあたしに女の子が出来なかったら?」
「その子の子供に受け継いで貰えば良い。このブローチには、俺達の血筋の行く末を見てもらいたいんだ。幸も不幸も、全部ね」
「うん」
「なんの話してんだ?一護」
「剣八、このブローチの話だよ」
「ああ・・・、十六夜も気に入ったか?」
「うん!」
「朔や幾望にも何か、あると良いね」
「そうだな、今度一緒に見に行くか」
「うん」
お互いの左薬指に光る指輪に目を細め、何が良いかな?と思案する一護だった。





第3話へ続く





10/03/19作 指輪はプラチナの台に石が埋め込まれたシンプルな物です。

お次は白のターン!



きつねのおうちへ戻る